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何でも書けちゃうんだなー、宮部さんは。手の込んだミステリーで秀逸な作品を残したかと思うと、ちょっとした下町時代小説をさらっと書いたり、この本に納められている超能力者を題材とした中編小説を残したりと。本当に才能豊かな人だと改めて敬服した次第。
というわけで今回読んだこの文庫には、超能力を持った女性たちが主人公の3編が収められている。「クロスファイヤー」の前作となる「燔祭」だけは主人公ではないが、重要な役目を持つ登場人物として。いずれも超能力が小説の骨組にはなっているけれど、それが決してオカルト的に取り扱われているわけではなく、普通の生活をしている3人の女性のひとつの能力として描かれているのが宮部作品らしいところ。彼女たちがあくまでも等身大の登場人物として描かれているからこそ感情移入もしやすく、作品にどんどん引きこまれてしまう。とくに冒頭に収められている「朽ちてゆくまで」と「燔祭」はクライマックスに近づくにつれてテンポよく読み手を誘導していくので、思わず通勤電車で読んでいても小説の終わりまで読み終わるまでは駅のベンチで読みつづけることを余儀なくさせる(^^ゞ。そして標題作の「鳩笛草」。すごく雰囲気のいい作品だった。少しづつ消えていく主人公の超能力。その能力が消えていくことイコール、自己否定に陥りつつあった主人公を見守り、立ち直らせる同僚。その同僚以外の職場の皆が素晴らしい人たちばかりで、ちょっと切ないこの小説を暖かい雰囲気に仕上げている。 この本に出てくるような超能力者が本当にいるのかもしれないような気がしてきた。僕から見るとこの本の作者である宮部みゆき氏のように才能溢れる人はもう超能力者の一人のように思われるし、撮影に入ると人格まで変わってしまうという大竹しのぶのような俳優も超能力者に思えてしまう。ちょっと解釈が極端かな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jan 20, 2004 01:36:22 PM
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