2007/11/01(木)22:11
秋の灯や ただぼんやりと 父の椅子
あぁ、今日は…
海峡を越えて我が故郷へ。
その前に午前中は本州側で一仕事。
昼にトンカツ屋へ連れて行かれて、「中とジャンボとどちらにしますか?」と問われた。
我が集団のメタボ腹を見れば、答えは自明だ。
が、出てきたトンカツを見て皆絶句した。
大きい。
面積も普通のトンカツ屋よりひと回り大きいが、その上、厚みが1.5倍はある。
これが中なら、ジャンボっていったい…
食べ始めると皆無言。
一度箸を休めると、そこでくじけそうな気がするからだ。
一気呵成に食べなければ完食できそうにない。
肉の味がいいのがせめてもの救い。
そして、トンカツ早食い競争を制したのは、私だった。
疲れた。
パンパンに張った腹を抱えて海を渡った。
最初は揺れていたが、一眠りして目覚めると、揺れは消えていた。
故郷に帰ったとはいえ、仕事を終え連れと別れたらもう夕方である。
墓参りに行くには日が暮れてしまった。
家に寄ってみたが、父は兄の家に身を寄せているため、誰もいない。
それでも、仏壇に手を合わせ亡き母に帰郷報告。
ただ、すぐに帰るから、ろうそくも線香もつけられないのが不憫である。
私が帰った後に、火の不始末で丸焼け何てことになったら、一族に顔向けできない。
中途半端に時間が余った。
食事をするには十分な時間だが、まだ少しお腹がきつい。
薄闇の中、眠るでもなく、物思いに耽るでもなく、父がいつも座っていた椅子にぼんやり座って時を過ごした。
五稜郭に出て、土産にべこもちを買った。
木の葉形の白と茶色のまだら模様の餅だ。
物心ついた頃から普通にあったおやつだったので、どうも他の地にはないらしいと気付いたのは、だいぶ大人になってからである。
餅屋の主が30円引き券をくれたが、次はいつ来るか分からないと返した。
すると主はにっこり微笑んで、「期限無いからさ。もってきなよ。また来てよ」ともう一度、券を差し出した。
この割引券を使うのはいつの日のことだろう。
長生きしてくれよ。爺さん。
満腹、満腹