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空想世界と少しの現実

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少しだけ、わくわくするような気持ちで街中をドレス姿で歩く。なんて贅沢で楽しい時間なのかしら。女性である事を誇りたくなるのは、きっと美しいドレスに身を包んでいるからなのね。

高めのハイヒールを履くと心がときめくのは、幾つになっても変わらないんだわ。初めてヒールを履いたのは、初めてのデートだったと記憶している。
高校の先輩との港でのデート。背の高い先輩に合わせるようにして、姉のヒールを借りて、ドキドキしながら待ち合わせの場所に向かった。

港

たくさん喋って、たくさん歩いてかかとに靴擦れが出来た。彼に悟られないように我慢して歩いたのよね。今となっては懐かしい想い出。

精一杯の背伸びをしたくて、大人の真似をしたくて初めて履いたヒールは、かかとが5センチの黒いハイヒールだったわ。

大人になった今でも、ヒールを履くと背筋が伸びる。ハイヒールは女性の特権だもの。常に見られる事を意識して、歩き方に気をつけながら音を立てて歩く様は、大人の女性って気がしてずっと憧れだった。

寒さを忘れるくらいの、カシミヤのショールの暖かさ。過去の事を想い返しながら歩いていたら、ホテルに着いてしまった。

ホテル

ホテルのロビーは絨毯が敷きつめられていて、ヒールの音をかき消す。
エントランスを通り過ぎ、少し灯りを落とした廊下を10メートルほど歩く。

一台だけの鏡のように磨き上げられた、銀色のエレベーターのドアの前に立つ私達。
上に昇るエレベーターのボタンを、浄瑠璃が押してくれる。

エレベーターを待つ間、彼が話し掛ける。
このエレベーターは、スイートルームがある階しか停まらないんです。特別なお客様専用のエレベーターになっているんですよ。

静かに話す彼の声。そうだったのね・・・納得する私。
フロントのすぐ側にある、三台のエレベーターを使わないのは何故だろう。小さな疑問を抱いたからだ。

何だか緊張してきたみたい。素直に気持ちを吐き出すと、浄瑠璃が少し微笑みを浮かべる。


このエレベーターに乗り込むお客様は、皆様同様の事を仰られます。
緊張するのは、わたくし達バトラーも同様なんです。

もちろんホテルマンとして、一般のお客様も大切に思っております。
わたくし達バトラーは、スイートルームにお泊りになられるお客様専属なのです。
特別意識を持つわけではありませんが、訓練を受けた者だけしか出来ないサービスを
したいと、心より願っております。


音を立ててエレベーターが到着し、乗り込む私達。プロに徹するって並大抵の事ではないわよね。少なくとも貴方の立居振る舞いからは、最高のサービスでもてなそうという心が伝わってくるわ。

そのように仰っていただく事は、バトラーとして何よりの幸せでございます。俯き加減の横顔が少し微笑んでいた。

エレベーターを降りて左に曲がる。大きな木製の両開きの扉の前に立ち、彼がドアをノックする。
つい先ほどまでいた空間なのに、初めて入るような緊張感。

中から鍵の開ける音がして、厳が姿を現す。薄い紫色のネクタイに黒地にストライプのスーツで身を包んだ彼。眼が合うと柔和な視線で見つめ返される。

一瞬で心を奪われた気がした。隣にいる浄瑠璃の存在を忘れるくらいに・・・

部屋に招き入れる厳に従う。浄瑠璃から荷物を受け取ると礼を言って、扉を閉めて施錠する。カシミヤのショールを外し彼を見つめる。


厳と翠嵐

お前のドレス姿は久しぶりだな。瞑月の結婚式以来か・・・

私の背中に彼の右手が触れる。温かな大きな手に軽く背中を押され、部屋の奥へと導かれる。重厚な茶色の両開きの扉の前で立ち止まると、

いいと言うまで眼を開けるなよ。静かな囁き。
頷いて瞳を閉じる。ドアの開く音がして彼が再び背中を軽く押す。


眼を開けていいぞ。小さく囁く厳の言葉に瞳を開けると部屋の中には、蝋燭が飾られていた。ごく僅かの部屋の灯りの中で、ゆらゆらと幻想的な明かりを灯す、蝋燭の美しさに眼を奪われる。

灯り


大人時間へ





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Last updated  2007/12/04 08:18:39 PM
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