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空想世界と少しの現実

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「ねぇ朱砂、浄瑠璃ちゃんを、お母さんに会わせてあげないの?彼もう20歳になったでしょう?」温もりが心地良くて抱きしめていたら、彼女が問いかける。「・・・その事か・・・」深く長い溜息をついて話し出す。「あいつに会わせてやれたらよかったんだけどな。彼女は他界していないよ」

エリザ、朱砂

「!!えっ!!嘘でしょっ!元気だって言っていたじゃないっ!!モスクワで暮らしているって!」

「ついこの間まではな。お前、モスクワで起きた、大規模な商業ビル火災憶えているか?」静かな問いかけ。動揺を抑えながら、必死に過去の記憶を辿って、約一ヶ月程前、TASS通信がそのような報道をした過去を思い出す。それを告げると、彼は小さく溜息をついてゆっくりと頷いた。

「帰国した後に名前をAfanasii A. Fet、通称フェート。向こうで彼女はロシアの詩人の名前を、本名として名乗っていたそうだ。本当の名前はAfanasii A.Fokine フォーキンだ。1人の女性だけが、身元が不明っていうTASSの報道だったからさ、それにモスクワだったし、まさかと思って、念のために問い合わせしてみたら彼女だったんだよ」深く溜息をつく。

母

「パスポートは焼失していたし、偽名を名乗っていたからな。現地での歯の治療痕と日本でのレントゲン写真を照合して、身元が判明したそうだ」
「そんな・・・暁闇さんと浄瑠璃は知っているの、彼女が亡くなったと?「知らせていない。そんな残酷な宣告を俺からしろって言うのか。幼なじみのあいつとその息子に?」

苦しそうに瞳を伏せる朱砂。「sorry・・・」胸元に頬を埋めて小さく謝罪をすると、力強い腕で抱きしめられる。そうよね、貴方から彼らには言えないわよね。同意して、彼同様に瞳を伏せる私。誰にも打ち明けられずに、1人で悩んでいたんだわ。

神様ってなんて残酷なの。浄瑠璃が二十歳になったら、実の母親と逢わせると彼に約束をしていた朱砂。彼らに打ち明けるのを、迷っているんでしょうね。私も苦しい秘密を知ってしまった。共に共犯者なんだわ。

でもいつか、言わなくてはならない残酷な現実を、隠し通せたならばいいのにね。事実が全て幸せな出来事とは限らない現実に、人は皆絶望という闇夜に堕ちて行くんだわ。苦しさを抑えながら、皆が傷つかない方法はないかと思案する。でも答えは、簡単に出せそうになかった。





「浄瑠璃、君のお母さんてどんな人?きっと君に似て、綺麗な人なんだろうね!」ももの問いかけ。「2人の母親がいるんだ。育ての母はもういないし、産みの母とは、生まれてすぐ別々の暮らしをしているよ。着物の似合う薄いブロンドの女性って聞かされている。大きな瞳が印象的な美人だって。今はモスクワで暮らしていて、僕が20歳の誕生日を迎えたら、逢わせてくれるって朱砂様が約束してくれているんだ」

もも、浄瑠璃

「朱砂様は、僕の生活面全て支えてきたpatronだよ。実の父親の幼なじみで、ビジネスパートナーでもあるんだって。でも詳しい事はあまり話してはくれないんだ
『余計な詮索はするな』って言われちゃうとあまり聞けないしね」
「つまり浄瑠璃は、patronである朱砂には逆らえないってことか」「まあそういうふうに言えるよね。おまけに姉さんも白雅も絡んでいたからさ、情報網と資金力ではあの人には敵わないよ。おまけに怖ろしく頭が切れる人だから、隠し事や偽りは通用しないんだ」

「逆らったりしようとか、自由になりたいって思わないの?」「自分から波風起こそうとは思わないよ。余程の出来事が起きない限りね。月一のベットの中での行為さえ我慢すれば、自由にはさせてもらっているし。高校の留学先を僕が見つけてきた時だって、『お前が決めたならそれでいいだろ』って決めた事に口を挟んだりしないんだ」

「ただ知らないところで、秘書を使ってちゃんと手は回している。本当は白雅と同級生じゃないのに、skippingで彼と同じ学年にさせたのは、朱砂様じゃないかなって思ってる。白雅は僕が同じ年だと思ったままだよ。今更言う必要もないしね」

「ふーん。patronはいると良い部分も悪い部分もあるよね。浄瑠璃の初めての人って、patron朱砂様というわけか。財力と人の繋がりを駆使して、人を縛り付けるか・・・そんなに計算高いと足をすくわれそうだけどな。そうならないのは、余程の人望があるからなのかな?でも孤独な人だろうね」

ももの言葉に頷く。「そうかもしれないね」誰かを支え護ろうという意思が強ければ強いほど、人は自身が大きな存在になろうと意識し、役割を演じていくのかもしれない。まるで俳優のように。

「孤独であっても弱音を吐くことは出来ないんだろうね。朱砂様は僕に何も言わないけれど、瞳の奥底にはいつも大きな秘密を隠している。そんな瞳で見つめられると、問いかける言葉を発するのを躊躇ってしまうんだ」


彼の言葉に頷く。「浄瑠璃は僕と同じだね。人の感情を先読みして行動や心を探るでしょ。そして事実を解かっていても知らないフリをする。大人ぶった子どもだよね、本当は事実を受け止められないから、逃げているだけなのかも」

「とくによくない出来事なんかは、事実を言葉に出されると苦しくなるよ。それに大人になれば成る程、本心を出せる人間は少なくなる。孤独だけが、どんどん深くなっていくんだね。ねぇ浄瑠璃、ももは君が本音を出せる人間になれる?僕はパパの二番目に君が好きだよ!」


彼からの無邪気な問いかけ。少し微笑んで「sure thing」と答えると嬉しそうに抱きついてくる。僕には君という、本音を受け止めてくれる優しい存在がいる。それだけで、苦しい現実が少しでも楽になれるように感じたんだ。

常に感情を、押さえ込んできたんだもの。「白雅にすら、打ち明けられなかった本音をもも、君が受け止めてくれる?」想いを込めて囁くと背中から強い力で抱きしめられる。耳元で小さく笑って
「Oh,yeah. l'd love to. Anything you say, 浄瑠璃・・・」と囁きキスをした・・・

浄瑠璃ごめん。僕、本当は朱砂を知ってる。でも君には言えないよ。客のプライベートは、親しい間柄であっても話せない。それがこの世界に生きる掟だから。どうか許して!心の中で彼に謝罪していた。

親父を超えるへ





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Last updated  2008/08/24 12:11:33 PM
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