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空想世界と少しの現実

空想世界と少しの現実

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緋褪色

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バレンタインの夜を共に過ごした夜、白雅が寝入っているうちに、ベットから起き上がり、彼の携帯電話の中から、浄瑠璃の携帯の番号を探りだす。ごめんね、こんな事して。疚しい思いを抱きながらも、今自身の状況を包み隠さず話せるのは彼しか、弟しかいないように思われたからだ。

電話番号とメルアドを、赤外線通信で自身の携帯に送信する。私を信用しているのか、白雅の携帯電話にはロックが掛かっていなかった。それがますます私を疚しい気持ちさせる。

酷い女・・・嘘をついているだけでなく、人の電話から、個人情報を盗み出しているなんて。ヒリヒリとした乾いた痛みに、強く目を閉じて堪える。小さな罪がどんどん大きくなる。きっと神様は、近い将来私に罰を与えるだろう。私の犯した罪の代償を払えと。

携帯電話を彼のベットサイドに戻し、再びそっとベットに潜り込む。心地良い眠りに身を委ねているのだろうか、彼は規則正しい寝息を立てている。横向きのまま、無意識なのだろうけど傍らの温もりを探すように、私の身体に手を伸ばし背中に手を回した。どきりとして心臓が竦むよう!きっと朝まで眠れないだろう。今は深夜3時14分・・・深く溜息をついて、安らかな白雅の寝顔を見つめていた。



窓から射し込む日差しの明るさに刺激され、眠りから現実世界へと引き戻される。傍らにはいつものように彼女がいた。「おはよう・・・?お前目が赤くない?眠れなかったのか?」問い掛けると黙ったまま首を縦に振る。
「今日休みだろ、まだ寝てれば。寝不足はお肌の大敵だぜ!俺、仕事行ってくる。もしも出かけるなら鍵はリビングのキーボックスの中に、ピンクの鈴のついたスペアキーがあるから、それ使って!」


微笑を浮かべて私の頬にキスをすると、ゆっくりと身体を起こして、クローゼットに掛かっているシャツを羽織る。一連の動作をベットの中から見つめている私に、柔和な視線を投げかけて寝室を後にする白雅。

どうせ眠れないんだもの、仕事に向かう彼に朝食の用意をしなくちゃ。慌ててベットサイドに畳んでおいた、衣服に袖を通す。リビングに向かうと、amadanaのトースターにパンを並べている最中だった。



「なんだ、起きたの?お前もパン食うか?」「頂きます、お腹空いちゃいました!私コーヒー用意しますね」ごく普通のやり取り。まるで夫婦みたいな会話だと、頭の片隅で考える。

「白雅、これキューリグ・エフイーのコーヒーメーカーですね!日本茶も紅茶も、淹れられるっていう製品ですよね?」アマダナのコーヒーメーカーの隣に置いてある、キューリグ・エフイーを見つめ、手を動かしながら話し掛ける。きっと彼のことだから、二台を使い分けをしているんでしょう。



「そう!30秒で出来上がるから、忙しい朝は重宝するぜ!買ったばかりなんだ。デバイスタイルのHA-12と、どっちにするか悩んだけどキューリグ・エフイーにしたのは、日本茶も淹れられるから。ウーロン茶も淹れられる製品なんてなかなかいいだろ?」




「えぇ。優れものですね!白雅のところに来ると、面白い家電がいっぱいあって興味深いです。私はそのオカモチ2005が好きですね!おしゃれなのにアナログチックで」

「そうそう!俺もそういう部分に惹かれてこれ買った。デジタルよりアナログのほうに魅かれるんだよ。壊れても直しやすいしな」

夜中の出来事を何も知らない、普段と変わらない、彼の様子に小さい痛みが走る。罪悪感を抱くくらいなら、やらなければよかったのよ!朱砂にでも、頭を下げて聞けばよかったのかも。その代償に何かを求められたとしても、白雅に嘘をつき続けるよりも、楽だったのだろうか。「お前ボーっとしてると火傷するぞ。お前パン見てろ、俺が淹れるよ」

頭をくしゃくしゃと撫でられて、私に微笑み掛ける様子に、益々疚しい気持ちが大きくなる。浮かぶ感情を悟られないよう、彼の首の後ろに腕を回し、自分からキスを求めた。罪悪感を消し去る為のキス。ごめんね・・・貴方が思っているより、私はずっと卑怯でずるくて最低な女なの。心の中で呟いている。

「どうしたんだよ・・・甘ったれみたいだぞ。俺が仕事に行くのが寂しいとか?」小さくキスを交わした後に抱きしめて囁き掛けると、黙ったまま頷いた。「お前みたいに、素直に感情を出す女は好きだよ」

抱きしめた腕に力が込められる。彼の囁きかけはとても嬉しいのに、白雅につく小さな嘘がどんどん積み重なって、いつか私を雁字搦めにしてしまうだろう。貴方に偽りを重ねていくことはとても苦しい。本心は、然程遠くない未来を想像して、竦みあがりそうなのに・・・



朝食を終えた彼は、慌ただしく身支度を整えて出て行った。玄関で見送る私の頬に、小さくキスをして。部屋に取り残された私は、自分の携帯電話を手にとって、夜中に入れた浄瑠璃のメールアドレスを探し、逢って話がしたいと文章を打つ。

すぐに返信が届き確認すると、正月の代休をもらって、自宅に居るとの内容だった。住所と自宅の電話番号を確認して、彼の元を訪れる時間を送信する。お待ちしています。短い返信の言葉を確認して電話を閉じた。




インターホンの電子音が部屋に響き渡る。リビングの時計を確認すると、約束した10時きっかりだった。玄関に用意をしたスリッパを確認し、施錠を外してドアを開けると、彼女が遠慮がちに瞳を伏せて立っていた。

浄瑠璃

「どうぞ!狭い部屋ですけど上がって下さい」彼女を玄関に招き入れると小さな声で
「お邪魔します、せっかくの休みなのにごめんなさい」と俯いたまま話す。

「いぇ、僕も話し相手欲しいと思っていたところです。中へどうぞ。シャトー・イェリング以来ですね、姉さん」彼の言葉の中に、戸惑いとぎこちなさを感じ取る。「無理して姉さんなんて呼ばなくていいわよ、浄瑠璃。染姫って呼んでくれたほうが私も楽よ」

「すみません・・・やっぱりぎこちないですよね。それにちょっと照れくさいって思ってしまいます。でも嬉しいんですよ!自身に姉弟がいるって朱砂様聞かされた夜、興奮して眠れなかったくらいにね」リビングに招き入れながら答える僕を見つめて、姉が微笑みを浮かべる。

綺麗に整えられたリビングは黒で統一されていた。白雅と同じだ・・・こんな所にも貴方達の共通点があるのね。白雅の想い人の浄瑠璃。女性の私から見ても綺麗って思うほど、美しい澄んだ青い瞳と艶々の髪。この子に抱く感情は、嫉妬心よりも羨望なのかもしれない。

私の視線に気がついた彼が微笑み掛ける。「どうぞお座り下さい、染姫」イスを引き掛けるように促され素直に従う。「コーヒーで大丈夫ですか?」「えぇ、ありがとう!お構いなく」デバイスタイルのサーモコーヒーメーカーの、ダークブラウン。浄瑠璃の使っているコーヒーメーカーを見つめる私。




「浄瑠璃もデバスタイル好きなの?」「えぇ。インテリアに馴染むデザインが気に入って、購入したんです。まだ買ったばかりなんですよ。」話しながらジノリのベッキオホワイトに、コーヒーを注ぎ入れる。「そのカップベッキオホワイトね。私も買おうと迷ったのよ!」「染姫も好きですか?ジノリ。一度に沢山は購入できないけど、特別な日には、いいカップを使おうと思ってね」



「私が来たから?」「そうです。今日は特別な日。初めて姉が私の所に訪れた記念日です」トレーに2客のカップを載せてテーブルに運び、「ブルマンです。お気に召すといいのですが」彼女の前に静かにカップ&ソーサーを置く。

「ありがとう」礼を言う彼女は微笑んでいた。特別な日って言ったからだろうか。反対側に腰掛けて姉を見つめる。シャトー・イェリングで逢った時よりも、更に美しくなってる。それなのに、瞳に浮かぶ色は心を映すように悲しげだ。「染姫、何かあったんですか?」不安を抱いた僕は尋ねずにはいられなかった。

染姫


姉と弟へ





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Last updated  2008/08/25 10:15:53 AM
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