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カテゴリ:ダンシング・オン・ザ・ウォーター
「鳳梨君、お姫様抱っこ出来る様になったの?」私の問い掛けに、「俺っすか?まだ出来ないんですよ~!ゥヮァ─・゚・(゚`Д´゚)・゚・─ァァン ・゜本当は彼女をお姫様抱っこしたかったけど、結局振られちゃったし。俺は抱っこされる側になりたいなぁ~!」 *゚Д゚)*゚д゚)*゚Д゚)エエエエェェェ「うっ受けですかっ!!」「そう!(。-∀-) ニヒ♪
屈強な身体の男性に、ぎゅうって抱き締めて欲しいじゃないですかっ!!」 ∩(´∀`∩)ヮショーィ(∩´∀`∩)ヮショーィ(∩´∀`)∩ヮショーィ 「そっそうかなっ!!(艸дo`;) 私は細身の身体が好きだから、マッチョは駄目ぇ」ΣΣΣ( ゚д゚)「マッチョ駄目っすかっ!!俺はね、俺はね、胸板が厚い男って好きですよっ!!少なくとも俺よりいい身体してないと萌えないですっ!!」 '`,、'`,、 '`,、'`,、('∀`) '`,、'`,、 '`,、'`,、 (>д<;) ちょっと前まで泣いていたのが嘘みたい。一時間ほどスタジオで、彼の考えたダンスリハーサルに付き合っていた。スタジオの電気を消しながら、私に明るい声で話し掛ける。鳳梨はショーの演出と、振り付けも担当する。彼自身、幼い頃からソーシャルダンスを習っていて、普段の陽気な彼からは想像できない、しなやかな体の動きで優雅にステップを踏む。 教え方も上手で、踊りの経験など皆無な私を、うまくエスコートしてくれる。 「そうそう!ゆっくりとした足取りでいいですよ!メインの踊りは俺ですから。ここでターンした後に、染姫さんは俺が手を差し出したら手を取って下さいね。手を添える時はちょっと戸惑った表情で!練習ですが、代役をやるからには、舞台女優になったつもりでお願いしますね!」 何度も何度も同じ動きを繰り返す。彼にとっては演出を担当する以上、ダンスも作品の一つなのだ。教える鳳梨君の表情が引き締まる。私も彼の要求に応えようと気を引き締め、正清がやるはずの役の代役を務める。私の体を気遣ってくれて、2回の休憩を合間に挟んでくれていた。 本当はプロを目指したかったらしいのだけど、幼なじみの彼女から、「そんなにプロの世界が甘いわけ無いでしょ!第一、この世界で食べていけるほどのダンスの実力、鳳梨に無いわ!」との一言で、あっさり断念したそうで。 「俺の彼女は凄い現実的なんでねぇ~!『地に足がつかない生活って絶対嫌だ』って言うんですよ!」 「でも男って、夢やロマンを追い求めるじゃないですかぁ~!いくつになってもね。仮に彼女と結婚していたら、将来価値観の違いで、離婚していたかもしれませんしね。それなら結婚に至らずに、振られて良かったって思えますよ」 「うーん、なんとも答え辛いけど、もしかしたらそうなのかもね」 工房に向かって白い壁紙の廊下を、二人で言葉を交わしながら歩きだす。規則正しい、コツコツと彼の靴音が壁に反響して、その音に耳を傾け感心してしまう。 音感とリズム感が無いと、ここまで規則正しい歩きは出来ないのでしょうね。姿勢良く優雅な身のこなしで、ゆっくりとした流れるように踊る様を初めてみた時、湖上の氷を滑るスケーターを連想させた。立ち姿も実に美しい鳳梨君。 「きっとすぐに素敵な彼氏が出来るわよ」慰めなどではない。彼に抱いていた印象で、言葉を選んで静かに語りかける。 「本当に貴方って踊っている時と、普段の様子が180度くらい違うように感じるわ」ァヒャヒャ(ノ∀`*)ノ彡☆「みんなに言われますねっ!!でもこんな俺も嫌いじゃないでしょっ!!」染姫さん!っ!! ァ'`,、'`,、(ノ∀`*)'`,、'`,、「ギャップがあるから人間って面白いんですよ!ステップ踏んでいる時は真剣だけど、舞台から降りたら素の俺でいたいですからねぇ~!」 「練習付き合って貰ってよかったです。踊っていたら失恋なんて出来事が、ちっぽけに感じましたよ!」 本心なのだろう。いつものいたずらっぽい陽気な笑顔で、声を上げて笑う鳳梨君を見上げて、ほっと胸を撫で下ろしていた。 「城邑の料理はみんな絶品だね!しかも周り見渡すと客はTVで見るセレブばっかリ!あんな所で食事できるなんて思ってもみなかったよ!ァ'`,、'`,、(ノ∀`*)'`,、'`,、ごめんね、浄瑠璃、ご馳走になっちゃって!ご馳走さまでした!」 無邪気な様子で、オーバーアクション気味に大きくお辞儀をした後、勢い良く僕の背中に抱きつく。「浄瑠璃、だーいすき!」耳元で囁く声には軽くウイスキーの香りが漂う。食後にダルモア12年をロックで5杯。今日の彼は相当ご機嫌だ! 3月29日。今日がももの誕生日だった。食事をご馳走して彼の誕生日を祝おうと考えた僕は、朱砂様に頭を下げて、城邑に予約を入れてもらった。セレブが美味しい食事を求め、会員制のレストランに足を運んでくる。たまに、国主厳様も訪れる時もあると聞く。「お気に召したなら光栄です。誕生日おめでとう、もも」彼の様子に微笑んで、小さく呟くと頬にキスをする。 「ありがと、浄瑠璃。僕の部屋においでよ!(´∀`*))ァ'`,、 もう今日は寝かせて上げないよ~!一晩中あんな事やそんな事しよっか~!」( ´,_ゝ`)ィ ヒ (艸дo`;) うああ!ノリノリだしっ!!「実際行動に移すからなぁももは・・・それに酒が入ると更にHになるし、欲望に忠実に行動するんだもん。えっちいだね~!」 「あたりまえでしょ!僕は健全なる男の子ですからっ!!'`,、'`,、 '`,、'`,、('∀`) '`,、'`,、 '`,、'`,、それ無しじゃ生きられないのよーんっ!!」 言葉掛けに明るく笑い声を上げて、僕の腕に絡みつく。まるでじゃれつく子犬のようだ。心の中でももに対する印象を想っていたら、彼が急に歩みを止めた。 ?「どうしたの、もも?」僕の問いかけなど聴こえないかのような、彼の表情に驚いてももの向けている視線の先を追う。視線の先には細身の、ストライプのジャケットを羽織った1人の長身の男性が立っていた。少し俯き加減で、櫻の花がディスプレイされた、壁に寄り掛かっている。 「パパ・・・」かすれて聴こえる切ない声で一言呟いた瞬間、ももは僕の腕を解放し、男性に向かって走り出していた。見つめる背中がどんどん小さくなる。大きな声で男性の名前を叫んで、彼の胸に勢いよく飛び込んでいった。そうか、君の想い人が帰ってきたんだね。それならもうこれから先、僕達は逢えないよ。 深く大きく溜息をついて、抱擁を交わす二人から、固く目を瞑って視線を背ける。苦しくて、見続けることなど今の自分には出来そうに無かった。「別れってあっと言う間なんだね。また僕は、一人ぼっちになっちゃったよ。白雅・・・」 おぼろげに輝く街灯の灯りを見つめながら、ふらふらとした足取りで歩みを進める。嫉妬とは違う、ただ僕は、幸せそうに抱き締めあい、再会に歓喜する、二人の姿など見ていたくなかっただけなんだ・・・ 僕の中のold maid へ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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