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空想世界と少しの現実

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緋褪色

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カテゴリ:オンナ心
その日の俺は、執拗に美香を何度も求めた。彼女の脳裏に、俺との記憶を刻み込みたかったから。
ベットだけじゃなく黒の皮製のソファーでも、風呂場でシャワーを浴びながらも美香を攻め続けた。

時に激しく淫らに乱れる、可愛い女。愛し合う行為は、俺のが出なくなるまで続いたんだ。
もう、くたくたになるくらい多くの快楽を味わって、最後には酷く腰も痛くなるほど愛し合った。

その後美香を抱き締めて、先に眠りにつく彼女。その右の扁桃腺付近に、小さなしこりのようなものを見つけた。「えっ!!これって・・・」嫌な予感が胸を貫く。
彼女を起こさないように、そっと触れてみる。「リンパに転移が始まっているのか?嘘・・だろ?」

リンパに転移という事は、まもなくがんが全身にまわるという前触れだ。「美香・・・」
最悪の想像が頭を過ぎる。もしも今後、脳に転移したら彼女は、彼女でなくなるのだろうか。

以前は穏やかだった、同じがんと戦う中年男性が、抗がん剤の薬の副作用のため、病院の待合室で攻撃的な言動をして暴れているのを見た。もしも美香がそうなってしまったら・・・

いや、そんなはず無い!美香はそうならないっ!!しっかりしろよっ!!俺っ!!一番しんどいのは美香なんだぞっ!!ただ、悟った。俺達に残された時間は、そう長くはないと。
軽い寝息を立てて、気持ちよさそうに眠る彼女。その髪を撫でながら頬にキス。

ベットの中に入る前、密かに決意していたことを美香に伝えた。男としての俺の決意であり、きちんとけじめをつけたかったからだ。触れながらその出来事を思い返す。

行為が終わって、裸身のまま彼女はピアスを外しに、ドレッサーの前に腰を下ろした。それを横になりながら見守る俺。鏡に映り込む綺麗な身体。また痩せたみたいだ。見つめる視線に気がついたのか、鏡の中の彼女は柔和な視線で微笑み返した。俺も美香にウインクで返す。

艶のある自慢の黒髪を、丁寧にブラシで梳かしている。少しずつ髪が抜ける量が増えてきて、ドレッサーの前で不安そうな顔を浮かべている姿を見るたびに、ベットで見守る俺は心が痛くなるんだよ。

「美香、ごめんな、何もしてやれなくて」声を掛けると無言のまま、作り笑いをして首を左右に振る。


「雅夢、そんな顔しないで。大丈夫だよ!私は強いんだから!ねっ!!」
「ばっかやろー!たまには苦しいって弱音を吐けよ!強がりは損するぞ!」ベットから立ち上がって美香を背中から抱き締めると、軽く鎖骨に頭を預けて甘える仕草。「もっと我儘言ってくれよ、美香」

「うん・・・ありがと。正直ね、不安になる時もあるよ。だけど君が側にいてくれるから、勇気を貰える。こうやって抱き締めてくれる仕草一つ一つが、生きる希望になっているんだよ」

「希望?」
「うん。好きな人の愛情で、包まれているっていいね。あったかい・な。身体だけじゃなく心も満たされていくよ・・・」

「ん。そうかも。抱いてる俺も満たされてくよ。お前の温もりで」
彼女を看取ると決めてから、いつしか美香をお前と呼ぶようになった。好きな女を、最後まで護り抜きたいと考えたからだ。俺達の終焉が生死であっても、最後の瞬間まで彼女と共に戦い抜きたかった。自分なりの決意ってやつだな。

「な、美香。俺と結婚式挙げない?お前にセクシーなウエディングドレス、着させてあげたいんだけどな。美香、最高の花嫁になるんだぜ?」


「っ!!私が?雅夢と結婚っ!!」
「なんだよ!そんなに驚くか?ふつー!こういう時って、感涙に咽んだりするもんじゃねーのか?ちゃんと夫婦になって、美香と戦っていきたいんだよ。そんなのって変か?年下だけど、俺、男なんだぜ?好きな女を、護りたいって想うものだろうが!」

「はっはぁ・・」
なんじゃその返事っ!!「なんだよ~!その反応~!(>д<;) もうちょっと喜べよ~!プロポーズのタイミング計ってた俺が、あほみたいじゃんっ!!」

「いやぁ・・驚きすぎて・・言葉が、ねぇ・・私と結婚したいの?君は?」
「したいよ!いい女だから。それだけじゃなく、また来世でお前に逢いたいから。な、返事、今すぐしてっ!!美ー香ちゃんっ!!」左耳に囁いたあと、綺麗な首筋に甘噛みして意地悪をする。

「あっ・・んン・・もう!意地悪ね!今すぐ返事するの?ふえぇ~強引だなぁ~!」
「まさかと思うが断るなよ!(´Д`;)それはそれでショックだから」

「えー!どうしようかな~!駄目よ、雅夢。貴方とは結ばれない運命なのっ!!とか言ってもいい?」
「勘弁してくれっ!!もう指輪も買っちゃったんだぜ!ほら!」彼女に見せたのは、EASE DESIGNのゴールドレリーフのアップルリング二つ。美香が前から欲しいといっていたやつだ。
それほど高額じゃないけど、仙台に里帰りしている間に購入していたリング。

「はめてやる。左手出して」素直に従う彼女。その表情は少しばかりはにかんでいて、少女のように見える。リングは引っかかることなく左の薬指につけられた。「うん!いい感じ!サイズもぴったりだ!」


「わぁ~!嬉しいなぁ~!アップルリングだぁ~!自分で買わないでよかった~!ありがとう!雅夢!じゃ、君も左手出して!つけてあげる!」
俺も素直に左手を出し、彼女に薬指にはめてもらう。
「おお~!なんかよくね~?式挙げてないけどちょっとしたセレモニーだ!裸ってってところが俺達らしいよな!」クスクス笑う美香。

「お前が輝いているうちに、すぐにでも式挙げよう!結婚して下さい」見つめる瞳にはうっすらと涙が浮かんでる。「お前はもう一人じゃないんだぞ。この瞬間から俺は、恋人からお前の旦那になるんだからな」

「雅夢・・・ありがと・・」胸がいっぱいでそれしか言葉が出ないよ!ただ、無性に嬉しくて、遥かに若い年下君がとても頼もしく見えたんだ。瞳を閉じた私に、彼は小さなキスをくれた。何度も何度も。

「そんな可愛い顔してっと、襲いたくなっちゃうだろっ!!つーか、旦那に昇格記念に抱かせてっ!!」
「はぁっ!!またするのっ!?ヮ(゚д゚)ォ!ゼツリンかぁ~?君はっ!!」

「またまたっ!!好きなくせに~!(。-∀-) ニヒ♪よっ!!お姫様抱っこだぜっ!!」
「うあぁっ!!そんな強引にっ!!てか、力あるね~!凄いよ、雅夢!結婚式でもしてね!」

「当ったり前でしょ!」抱き上げたまま彼女にキス。美香は首の後ろに腕を回して、更に深く舌を絡めてくる。情熱的でいいね!悲しいのは身体がやけに軽く感じること。すでに、全身に病魔が巣食い始めているんだな。「美香頑張ろうな。最後まで支えるからな」軽く寝息を立てて眠ったまま、口元が微笑んだ気がした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

どうも~!美香でーす!ちょっと間が空いちゃったけど、更新です!
実は私、×1なんですけど、大好きな彼がプロポーズしてくれたんです!

もう、想像もしていなかったし、予想もしてなかったんで、驚いちゃって「っ!!私が?雅夢と結婚っ!!」なんて言ってしまい、呆れられました。。゚(゚ノ∀`゚)゚。ァヒャヒャ

リングも貰って今薬指につけています。あーなんか幸せだなぁ~!私っ!!
病気にならなかったら、ホストクラブ行こうとも、多分縁もなかった彼との出会い。
なんだか不思議ですよね。

私は40だけど、彼はまだ24ですからね!超若いでしょ?((´∀`*))ヶラヶラ
もうね、とっても素敵な彼なんですよ!男気があって、ちょっぴりやきもち焼き。

いや、ちょっぴりじゃない。大分やきもち焼きだな。他の男性の話が出るだけで、嫉妬心を露にするんですよ。そんな雅夢が可愛くて仕方ないです!オネーさんは!

あ、もう奥さんかぁ~!うああっ!!ちょっとっ!!新婚ですよっ!!
私、新妻ですよっ!!'`,、'`,、 '`,、'`,、('∀`) '`,、'`,、 '`,、'`,、

リング貰った翌日に、二人で市役所に婚姻届出してきちゃいました。
金井美香は、遠藤美香になっちゃいました~!
というより、雅夢の苗字、遠藤って知らなかったです。((´∀`*))ヶラヶラ

下の名前で呼び合っていたから、苗字なんてどうでも良かったしね。雅夢も本名だったんだ~!と
新鮮な驚きでした~!

私はあんまり、お掃除もお料理も得意じゃないんですけど、雅夢はお料理も上手です。
ついでにお掃除も上手です。感心しちゃうくらい。で、かなりまめですね。

料理上手な男って素敵よね!まぁ、びっくりするくらい手際がいいんです。
彼の意外な一面を知って、ちょっとニヤニヤしてる美香ですわ!(。-∀-) ニヒ♪

さーて!そろそろ仙台に出発してきます。彼のお母様に結婚のご挨拶とご報告と、
お父様のお墓参りに行かないと!少しでも長く、彼と一緒に居させて下さいって
お願いしてきます。

雅夢のお母さん、楽しい人だと伺っているので、今からとっても楽しみでーす!
では、彼と共に行って来まーす!


オンナ心 望みへ





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Last updated  2008/09/10 12:38:43 PM
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