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伊奈利短歌集 ① トンカツ未来 伊奈利短歌 小説…伏見稲荷大社の物語 小説西寺物語 小説盆栽物語 小説鯖街道 小説老人と性 音川伊奈利

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2007年06月06日
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カテゴリ:ブログ小説
★~真弓…5話


 一豊と真弓は、駅から大きな道路を通らず路地から路地に抜け真弓のマンションについた。森本からの電話で妻里子へのいやがらせ電話を聞き、里子に電話を要れ今すぐ実家に帰れと命令したが、しかしと一豊は考えている。もし里子実家に帰る途中、西沢につけられ実家に迷惑がかかったら…まさか!そこまではと思ったが…やはり帰れと命令していた。
 里子は訳がわからないまま当面必要な物をバックに詰め込み駅へと急いだ。一豊の命令通りになるべく細い路地を選びそこから本通り出た瞬間左からきたタクシーに跳ねられていた。里子は救急車で京都市民病院に運ばれた、外傷はカスリ傷程度だが頭を強く打ったのか意識不明の危篤状態だった。
 一豊と森本は京都市民病院に飛んで行き事故を起こした塔南交通の事故係りから説明を受けていた。その事故係りはタクシーが客を見つけて左に寄ったところその客のいる手前の路地から奥さんが飛び出してきてやむなく跳ねた、運転手も不覚反省をしていますからなにとぞ穏便にと頭を下げている。
 そこに事故を起こした運転手がお見舞いの果物籠を持って病室に入ってきた。運転手は長身で紺の制服を着ている、「この度はどうもすいません」といいながらも「ニャリ」としている。そしてこの顔をみて一豊も森本も唖然としている。そこには真弓を追い掛け回していた西沢がそこにいた。

 一豊は桂警察の有田刑事に電話をした。有田はサイレンを鳴らして急行してくれた、そして西沢を任意でパトカーに連れ込み質問をしている。
「おい、西沢、一豊さんと真弓さんをストーカーしたあげくに今度は高木里子さんを故意に跳ね飛ばしたお前は殺人未遂だ!」
「これは普通の交通事故です」
「西沢、お前はなぜ事故現場にいた」
「そら~私はタクシー運転手ですから京都市内を流していただけです。日報とタコグラフで調べればすぐわかります。刑事さん…」
「そんな物、信用できるか。で、どんな客がお前のタクシーを拾おうとした?」
「さあ~たしか女性でしたが、そんなものは覚えていません」
「お前は、人間じゃない!」
「刑事さん、パトカーから出してください。私は交通事故の現場検証も取り調べももう受けていますから自由の身です」
西沢、俺はお前を必ず殺人未遂で逮捕してやる!覚えていろ!」
 森本がミステリーなんてものは謎が解けたら簡単なトリックなものだ!西沢がタクシーの運転手なら、ホテルへの道も帰りも、そういえば後ろには必ず空車のタクシーがついていたあれが西沢だったのかと有田の覆面パトの中で話し合っていた。
 有田は明日から西沢は真弓の居所をやっきになって探すはずだ、西沢の目は法律に挑戦してやるといっている。これからは一豊さんや奥さん、森本さんの目の前にも堂々とでてきて挑発をしてくるだろう。それが1年も2年もいやもっと続くだろう、その前に手を打たねば…。
 有田は少し考えてから、
「西沢には法律や社会の常識では勝てない。いや、いずれ勝つにしても時間がかかり第二第三の被害者がでてからだ、相手が常識を無視するならこちらも法律や常識を無視して禁じ手でしか早期には勝てない」
 有田は一豊と森本を真正面から見ながら小声で、
「どや!西沢の上手を行くか?」
3人は暗黙の了解で手をにぎりあった。

 次の日曜日に一豊が運転した乗用車を自宅ガレージから出すと案の定後ろから塔南交通のタクシーがついてきた。一豊はそれを振り切るように国道1号線を南に120キロで飛ばした。それを西沢が追いかけているがその時、有田の乗った覆面パトが、
「前のタクシー止まりなさい」
 西沢は有田のパトカーの中で赤切符を切られているが、西沢は無表情で黙っている。有田が、
「西沢、72キロオーバーで即免停、罰金は20万円だ!お前も俺もお互いに法律を守りましょう」と笑っていうが西沢は黙っていた。
 深夜勤務のタクシー運転手は朝方勤務が終わると近くのラーメン店や深夜早朝までやっている食堂で腹ごしらえをしてから家に帰り寝る。当然酒好きな運転手はビールを飲む。西沢も塔南交通の車庫からアパートの途中にある食堂でビールを2本飲んでいた。そしてそのままアパートまでの5分を運転していたが、そのアパートのガレージの前には赤色灯をつけた有田の覆面パトが待っていた。
 当然有田はアルコール検知で酒気帯び運転で西沢を検挙していた。この時も西沢は無表情で有田の「お互い法律を守りましょう」の言葉を聞いていた。その西沢がアパートに帰るとすぐに電話が鳴った。
「もしもし…」
「西沢さん、あなたが跳ねた高木里子の夫の一豊です。事故の件でお話が…」
「なんだお前、いまごろ常識がない!」
「いや~いま真弓があんまり感じるので声を聞かそうかと」
 西沢は無言で電話を切ったが、すぐに「ジリリリ…」
「真弓の声を聴きたくないのか?」
「お前ら常識を考えろ!」
「そんな怒らずに~ほな、真弓とチュ~するし~ブチュ!」
 一豊は森本の頬に本当にチュッをしていた。西沢は家に帰るとウイスキーのロックを3杯飲んでから寝るが、この電話でもう5杯目のロックを飲んでいた。そこにまた電話がなった。
「もしもし、ブッチュ~!」
森本は「オエ~」とむせているが、西沢は、
「お前らどこにいる!」
「はい、お前のアパートの窓の下」
 すると2階の窓がガラリとあいて西沢がコップを投げてきた。一豊が手を振ると、西沢は階段をころげろように降りてガレージの自家用車のエンジンをかけていた。
(つづく・次回が最終回です)



★~長編ブログ小説の傑作?「京都フラワークレジット悲劇」は、
http://www.mypress.jp/v2_writers/b7012/

★~昨今、フリーペーパーという無料の新聞や雑誌が多く発行されています。これも一つの作品の発表の場と考えています。もし、よろしければ私のつたない作品(小説・コラム・エッセイ)等々を原稿料無料で掲載させていただければ幸いです。尚、ご連絡はメールにてお願いします。(音川さくら)

kyotoinari@ex.biwa.ne.jp






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最終更新日  2007年06月06日 09時42分13秒
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