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伊奈利短歌集 ① トンカツ未来 伊奈利短歌 小説…伏見稲荷大社の物語 小説西寺物語 小説盆栽物語 小説鯖街道 小説老人と性 音川伊奈利

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2007年07月30日
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カテゴリ:ブログ小説
★~自己破産・衝撃の告白…22話
 

 一月二五日の給料日、広瀬から今日は会議で遅くなるから明日の夜に三万円と利息をいただきたいと連絡が入り美雪は家で今月の支払いの計画を立てていた。十日に広瀬から受け取った三十万円と給料が十六万五千円、広瀬から借りたお金の残りが十一万円、合計五十七万円が美雪の全財産でそこから家賃と光熱費、電話代で四万三千円。サラ金六社に六万円、青木ファイナンスに三万四千円、リボ払いが今月は三万円、広瀬に明日三万円、生活費が六万円として合計二十五万七千円。残りは約三十二万円でこれを来月の支払いに回せば来月も安泰と一安心した時にドアがノックされた。
 
 美雪は全身を引き締めノックの主を想像していると「郵便局です、書留ですから判子をお願いします」と女性の声なのでホットしてドアを開けると、
「いや~今日はこれで三回伺いました、いつもはこの時間にご帰宅ですか?」
「はい、すいません」
「わかりました、今後からはなるべくこの時間に配達します」
 この女性の郵便局員は奥本美雪宛の書留は今回がはじめてだが、この手の郵便書留を配達し始めるとその後何通かは連続で配達することを知っているから親切心か自分の都合は知らないが、もう布石を打っていた。美雪は丁寧に礼を言ってから立ったままでその茶色の封筒を開けた。それはハロミスからの内容証明郵便で、

      債務弁済催告書
  
 株式会社ハロミスと貴殿との間に締結した物品購入及び、融資金契約によるご返済が約定通り返済されず支払い期日到来金一一、七二五円が未払いです。したがって右金額と延滞の時からお支払い実行日までの約定による延滞損害金も合算し本書到着後、二十日以内に支払いされるよう催告いたします。
 貴殿もご承知の通りこの延滞により弁済できない時は、期限の利益を失い支払期日未到来金も含む元金、金五二三、六二六円及び、利息・手数料が一月五日現在、金一二、五三一円となりその合計金五三六、一五七円の全額即時支払いと右金額完済時までの延滞損害金の請求を致し、又やむを得ず法的手続きを講ずることとなります。以上右要件を含まれて対処される事を催告いたします。
                平成十七年一月二十四日
   大阪市北区西長堀五ー八ー二
   株式会社 ハロミス
      近畿管理センター
      担当 山崎 博

   奥本美雪殿

 美雪は全額を返せ、返さなければ裁判所に訴えると書いてあるのでビックリはしていたが、もうお金を借りるあてもないから…と悩んでいたが、元々このお金は私が使ったものではないこれは理恵が、その理恵は亡くなっているのだから返せなくても当然と自分の都合の良い方に開き直って、ハロミスの管理センターに電話をしていた。
「京都の奥本美雪です、山崎博さんをお願いします」
「はい、山崎です」
「今日催告書を受け取りましたが、このお金は一円も私は使っていません」と抗議すれど、山崎は、奥本美雪さま本人が当店の京都駅前支店に来られて融資契約されたことは事実ですから、ハロミスは当然奥本美雪に請求するというばかりか、
「今日二十五日に債務弁済催告書を受け取られ、どうしても奥本さまは納得されないとされるのですか」
「はい、その通りです」
「それでは、こちらも二十日も待てませんから即時法的手段を取らせていただきます」
「はいどうぞ…亡くなった前田理恵を訴えてください」
 と電話を切ったが、その理恵の百万円が気になり青木ファイナンスに電話をした。
「あぁ~奥本美雪ね、前田理恵が死んでしまっておたくも大変だけど今月の利息は入れてね」
「はい、その利息だけで良いのですね」
「あぁ、かまへんで、ちゃんと念書も入っているし、四月二十八日からうちの店で働いたら百万円ぐらいは一ヶ月で返せる」
「それで、利息はまた持っていくのですか…」
「いや、かまへんで銀行振り込みで…」
 と前回と打って変わって親切に銀行の名前と口座番号を教えられてホットしていた。しかし、問題はその四月二十八日までには絶対に百万円など出来るはずがない、どうしょうと考えて見てもハロミス同様結論が出ずこれも開き直っていた。いざとなったらピンクサロンでもコールガールでもやったる、私は理恵やあや子のように決して自殺なんかしないと固く誓うほど美雪は強い女になっていた。
 
 一月二十六日には第一回目の利息を広瀬に支払わなければならないと、朝からいつかの日に買ったフラワーアダルトシリーズのピンクとパープルのランジェリーを忘れずバックに忍ばせていた。この事は十日に広瀬に手続きをしてもらった共済会からの三十万円を受け取る際に広瀬に耳打ちしていた。
 フラワーのアダルトシリーズは上品なセクシーからか大評判でフラワーの久々のヒット商品だった。広瀬も女房に着せて楽しもうと一着買い与えたが、女房からは批判の目で「お父さん、気が狂ったの」と言われた日を最後に家庭内離婚をしていた。そのいわく因縁の製品を美雪が今晩自分のために身に着けてくれるというので女房には出張と嘘をつき二泊三日の豪華な旅の予定を組んでいた。
 琵琶湖の西岸国道一六一号線を北へ走っている広瀬の車の中で美雪は約束の三万円を支払いお礼をいっている。
「広瀬さん、ありがとうございました、これ第一回目です」
「美雪、すまんね、一応これ借りた金だから、俺にもう少し金があれば」
「そんなん当然ですよ、これとそれとは別!」
  
 京都から約二時間で琵琶湖畔にある「琵琶北さくら荘」に着いた。部屋は琵琶湖にせり出すように建てられ露天風呂からは琵琶湖が一望できる。夜八時を過ぎていたので先に蟹がメインの食事をしながら広瀬は、
「美雪、二十四歳の誕生日おめでとう!これプレゼント」
「いゃ~おおきに、広瀬さん私の誕生日知っていやはったん?」
「そら~一応総務の課長で社内で知らないことはない」
「いや~これダイヤモンド!素敵、綺麗、広瀬さん、ありがとう」
「美雪、それどっかで見たことあると思うけど、うちのフラワージュエリーのカタログの表紙に使っているやつで一カラットの高級品だ!」
「うん、知っている。私これほしかったの…このカタログ家に大事にもってる~」
「このフラワージュエリーの社長が俺の同期で、酒を一杯おごってこの原価を聞きだしたんだ!時価七十五万円と称してフラワー謝恩特別価格で四十八万円で販売されている」
「えっ!これそんなにするの~へえ~どうりでピカピカ光っている~」
「ところが、大量仕入れ価格を調べたら二十八万円だと言うんだ!」
「それでも、すごいわ~広瀬さん」
「それで一個譲ってもらった」
「そんなん、私のために…お金使わして…」
「いや、美雪のおかげで勇気凛々、このフラワーで一花咲かせようと思っている」
「へえ~一花ってなんなの~」
「美雪を抱いてまだ一ヶ月、なんか身体の中から青春、いや何かもっと熱いものがフツフツ湧いてきて妙に元気がでてきた。もちろん頭も脳味噌も!それで美雪も知っているが俺は万年課長で定年まで勤めて退職金を貰うだけの人間と会社も俺もそう思っていた。ところが美雪を抱いてからはそのすばらしさに感動して正直八年後に定年で会社をバイバイではあまりにも情けない、ならどうすればいいかと考えて結論が出た」
「広瀬さん~素敵~」
「うん、まず第一に金が必要だ。課長ごときで満足しているからこそ女房に頭が上がらず月々五万円の小遣いでいつもピーピーしている。つまり、その上、次長になれば年収は一千五百万円、部長になれば二千万円以上。課長との差は八百万円ある俺はこの八百万円を一人で使ってやる!これに文句があるなら女房と離婚すると誓った」
「おぉ~すごい話になってきたわ、広瀬さん、それで!」
「それで、そのためには社内で募集している企画案を考え運よくそれが通れば、あの尾上君のように部長の夢も夢ではなくなる」
「そ、それで、その企画案はもう提出したの」
「もちろん、総務部長から社長まで目を通してくれて、昨日の会議で正式に返事があった」
「広瀬さん~やった!おめでとう~」
「ありがとう、すべて美雪のおかげだ!」
「そ、それでどんな企画なの~広瀬さん」



★★★~この小説は長編ですからなかなか読むのも大変でしょう。そこで3分ほどで読めるショートショート小説を掲載しますから…よろしくお願いします。

★~ショート小説「母息子で大文字」 5 作/大塚伊奈利


大文字登山・銀閣寺~哲学の道


 ある日、年配の女性と若い男性が乗車されて、「運転手さん、無理なお願い聞いていただけます」
「はい、何でもどうぞ、観光なら得意ですから」
「いえ、観光と言えるかどうか…実は~」と今日の目的を聞かされた。
 この親子は、岡山から来た人でこの春から一人息子が東京の大学へ行くそれで初めての日帰り旅行をと京都へ来たが、それが観光ではなくて何か一生の想い出を残したいと言う。
「一生の想い出ですか~」
「はい、この子の父親は早く亡くなり、私は死に物狂いで働いて高校までは何とか、ところがどうしても東京の大学へ行くというので…息子は奨学金とアルバイトで生活は出来るというので、でも東京と岡山では余りにも遠すぎるのでしばらく会えないので…私も二十数年働いた会社が倒産して今は失業保険暮らしの上、体調も良くないし…」
「そうですか、わかりました」と応えたが私の頭はパニックになっている。
 
 清水寺の舞台から飛び降りれば一生の…いや、怪我をする。金閣寺の池に…、嵐山の渡月橋から…いやどれもこれも人騒がせするだけだ、
一生の想い出~ウーン、そうだ!。
「お母さん、五山の送り火を知っていますか?」
「はい、大文字焼のことですね」
「そうです、それを何で知りました」
「いつも、お盆にNHKのテレビで…主人が亡くなってからはいつもテレビに大文字が映ると息子と二人で手を合わしています」
「それなら丁度良い、どうです、大文字山に登りませんか?」
「え、山ですか?」
「いえ、山といってもほんの三十分ほど歩けば大の字の火床に行けます。そこからは京都が一望出来て素晴らしいです。それにここなら年に一度は必ずNHKの九時のニュースで放送されます。東京と岡山と同時にです、離れていても一生の想い出になります」
 それまで黙っていた息子が始めて口を開いて、
「お母さん、そうしょう。金閣寺や清水寺は俺が学校を卒業して就職したら必ず連れってやるから、今日は運転手さんの言う通りに…」
 どんな小さな山でも山は山。曲がりくねった坂道は自然に親子の手を固く結ばせ、息子は照れもせず母親の額の汗を拭いていた。

★~大文字山は銀閣寺の裏山にあり門前を北へ一本道になっています。大文字の火床までは約30分で行けます。途中にはこの山が大昔地中にあった証拠としての「貝の堆積」の地層があります。京都の人はこの大文字の火床に残った黒い灰を持ち帰り「家内安全」のお守りにしています。尚、小さな山でも山ですから火床から奥へは絶対に行かないでください…遭難の恐れもあるからです。
★~銀閣寺からは哲学の道~法然院~永観堂~南禅寺~と歩くコースになっています。健脚の方は、さらに平安神宮~知恩院~円山公園~八坂神社~高台寺~清水寺~三十三間堂~JR京都駅。このコースは先に市バス(220円)タクシー(JR京都駅から約2000円)に乗って銀閣寺に行くほうが便利で復路もししんどくなったり時間がななくなれば即タクシー、市バスに乗れます。(市バスの一日乗車券は500円と安い!)


★~この↓には、ブログ小説「恋のブランコ…シリーズ」7話があります。これもぜひお読みください~♪

★~「競輪ブログ」…競輪はなぜ?人気がないのか?古典・衰退・斜陽スポーツなのか? (大塚伊奈利)
http://www.mypress.jp/v2_writers/kyoto/






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最終更新日  2007年07月30日 09時59分22秒
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