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伊奈利短歌集 ① トンカツ未来 伊奈利短歌 小説…伏見稲荷大社の物語 小説西寺物語 小説盆栽物語 小説鯖街道 小説老人と性 音川伊奈利

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2007年08月10日
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カテゴリ:ブログ小説
★~自己破産・衝撃の告白…28話

 
 JR西大路駅前の喫茶店で待ち合わせして、古川みどりの愚痴を聞いていると駅前の売店でパートのモニター円山夏子が本を買っているのが見えた。美雪はなにげなしにその本を見ると「週刊・流通経済」の特徴のある表紙が見えた。「週刊・流通経済」はかつての恋人竜一が愛読していたので美雪も目を通していたが、とてもとてもパートのおばさんが買ってまで読む本ではないことを知っていたので、円山とは目が合わないようにしていた。
 夏子は西大路通りを南へ歩いていく、その後を美雪とみどりはつけていきたい衝動にかられて円山の後を追った。円山は九条通りを西へ一筋目を南へと車も人も少ない道を選んでいる、さらに狭い西国街道を西へ吉祥院小学校の裏門から児童公園を横切りやがてフラワー本社から直線距離で一キロにある四階建てのビルの裏口から入っていった。
 美雪とみどりはビルの表の表札を見てビックリしている。そこは派手なテレビの宣伝で有名な通販のメーカー「ハッセン」の中央研究所でハッセン本社はさらにここから百メーターほど西にあった。ハッセンは文房具から高級家具まで扱う豪華なカタログを本屋さんで無料で配りそれが大ヒットして東証一部にも上場していた。最近では特に自家工場で開発したランジェリーにも力を入れてカタログでは外人モデルを使って華やかなブラジャーやショーツを売っていた。
 美雪もみどりも当然フラワーと競合するハッセンの関係者がフラワーのモニターに応募したのかはすぐに理解していた。
「先輩、円山夏子は美人産業スパイ?」
「そうね、そうしか考えられないわ」
「そういえば、円山さんは今朝会社にはバックしか持ってこなかったのに、手に持っていた大きな紙袋の中身は…先輩!」
「古川さん、でもこれだけでは何の証拠にもならないわ、ただハッセンのビルに入っただけだから」
「そらそうですけど…私、明日から円山を徹底的にマークします、先輩!」
「そうして、古川さん」

 美雪はみどりとJR西大路駅で別れて青木ファイナンス宛の通知書をポストに入れていた。明日二十六日に集荷され京都中央郵便局から右京郵便局に回されて二十七日は日曜日で配達が休み、二十八日は美雪が百万円全額と利息を持っていく日になっている。その変わりに支払不能の通知書がくるのだから青木らは当然怒って家に怒鳴り込んでくるか、電話で脅迫するのかはまったく予想がつかなかったが、裕一はもし青木らが家に来たらドアは絶対に開けずに一一0番をする、そして警官に通知書を見せる。電話があれば「すべて裁判所にゆだねています」と言えと美雪にアドバイスをしていたが、ポストから封書を離す瞬間は全身が凍り付いていた。
 二十八日の夜から美雪は厳重に鍵を掛けて、携帯電話には裕一の番号をセットして嫌な来客と電話を待ったが青木ファイナンスからは何のアクションも起らず十日ほどたった五月十日に右京簡易裁判所からの不在者配達票が入っていたので裕一に電話すると、裕一はこれも時間稼ぎのために五月二十二日まで取りに行くなと指示されていた。それから三日ほどして今度は京都地方裁判所第五民事部破産係から書留があり、これはその日急いで向日郵便局に取りに行くと、それは破産宣告・破産廃止決定だった。

  平成18年(フ)第○○○号

   破産宣告・破産廃止決定

  本籍 京都府北桑田郡美山町熊野道26-26
  住所 京都府向日市森本上上野18の3番地 森本ハイツ103号室
  債務者 奥本美雪

       主文
  債務者を破産者とする。
  本件破産を廃止する。

       理由
  一件記録によれば、債務者は約8名の債務者に対し、合計450万円
  の債務を負担して支払不能の状態にあり、かつ、破産財団をもって
  破産手続きをもって破産手続きの費用を償うに足りないことが認めら
  れる。
   よって、破産法126条1項、145条1項を適用して主文のとお
  り決定する。

       平成18年5月6日
        京都地方裁判所第五民事部
         裁判官 村上孝文


 「裕一、五月六日付けで来たわ」
「本当、それはおめでとう」
「ありがとう、これで私も自由の身ね」
「違う違う、これは美雪の収入では到底支払える額ではないから破産を認めただけで、何も借金は一円も減っていないばかりか、債務者はまだ美雪に対して裁判では請求も催促も出来る」
「そうなの~でもサラ金もクレジット会社もただの一本の電話もないし、あの青木ファイナンスからもないし~」
「サラ金もクレジット会社も免責を待っているだけで、青木も右京簡易裁判所に訴えている」
 五月二十二日に右京簡易裁判所の書留を受け取ると中には訴状が入っていた。

         訴状

  貸金請求事件
  平成18年5月3日

         原告 京都市右京区四条大宮7番地 ササキビル11階
            青木ファイナンスこと青木貞夫

  右京簡易裁判所御中
      当事者の表示
         被告 京都府向日市森本上上野18の3 森本ハイツ
            奥本美雪

        請求の趣旨
  一、被告は原告に対して、金100万円及びこれに対する平成18年4
    月28日から支払済に至るまで年29,2%の割合による金印を支    払え。
  二、訴訟費用は、被告の負担とする。との判決並びに仮執行の宣言を求める。

 美雪はこの訴訟のコピーを裕一にFAXで送ると、
「美雪ちゃん、心配するな九月末の免責が下りるまでの約五ヶ月、まず今日訴状を受け取ったから今日から二週間以内に異議ありの答弁書をださなければならないからその用意をしょう。やっぱり会社を一日休んで、近くの簡易裁判所にいって「答弁書」の申し入れ書をもらってきてほしい」
「わかったは裕一」
「それに必要な事柄を書いたらいいのだが、連帯保証人になったことは事実としか裁判官は見ないから、絶対に裁判は負ける」
「負けたらどうなるの?」
「仮差押として、給料の四分の一は取られる」
「そんな…」
「いや、それは免責までのことで、それまでに免責されれば良いが、これは時間との競争になる。だから、答弁書に相手、つまり青木ファイナンスの嫌な事柄のすべて書こう。まず美雪が受けた屈辱、携帯電話り破損、これの日時と誰が命令して誰とタレが何をしたと少しオーバーに書いて、私はその時殺されると思い不当にもピンクサロンで働くという念書まで書かされました。もしこの裁判に負けてもこの事柄を警察に告訴いたしますと書けばよい」
「でも、それ裕一、本当に事実なのよ」
「そうだろう、だから答弁書の欄で「私の言い分は次の通りです」にすべてを書くのだ!紙が足りなくなったら紙を何枚でも追加して気が済むまで書け!裁判所の書記官に作文を誉められたんだろう…美雪」
「わかったは、あの汚いペニスを口に入れられた事も、念書の文面も思いだして書くわ」
「そうだ美雪、それでも判決を下したらマスコミ全社にFAXを送るも書け!」
「そう、それも書くわ、私もここまで来たら引き下がれないわ」
「そうだ、裁判官に聞かせるのではなく、青木ファイナンスに挑戦状をたたきつけるつもりで書けば展望が開ける。もしも仮に裁判官が和解をいってもそれは無視したらいい」
「で、それを書いたら何時送るの?」
「六月四日の朝に投函しろ」



★~この↓には、ブログ小説「恋のブランコ…シリーズ」7話があります。これもぜひお読みください~♪

★~「タクシーブログ」タクシーのことなら…(大塚伊奈利)
http://www.mypress.jp/v2_writers/ansin/


★~昨今、フリーペーパーという無料の新聞や雑誌が多く発行されています。これも一つの作品の発表の場と考えています。もし、よろしければ私のつたない作品(小説・コラム・エッセイ)等々を原稿料無料で掲載させていただければ幸いです。尚、ご連絡はメールにてお願いします。(音川さくら)
kyotoinari@ex.biwa.ne.jp






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最終更新日  2007年08月10日 09時55分03秒
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