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伊奈利短歌集 ① トンカツ未来 伊奈利短歌 小説…伏見稲荷大社の物語 小説西寺物語 小説盆栽物語 小説鯖街道 小説老人と性 音川伊奈利

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2007年08月14日
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カテゴリ:ブログ小説
★~自己破産・衝撃の告白…30話

 
 その日、美雪は有給休暇を出して向日市の簡易裁判所で答弁書の書き方の説明を受けて、家で自己破産の時と同じように情熱的文章を書いていた。それが終わってなにげなしにテレビをつけるとワイドショーでフラワーの「セクハラ事件」の犯人広瀬課長死亡は事故か?自殺か?…と死亡事件が大きく報道され、フラワー本社の記者会見がこの後すぐに始まると女のアナウンサーが繰り返し得意げに話していた。
 美雪は、広瀬の顔がテレビに映ると何か嫌な物を見るようにテレビを消していた。広瀬と美雪の関係を知っている者はもうこの世には誰もいない、誰も知らないと言う事は真実ではない、真実では無い事は私にも無関係とこれもかつての恋人尾上竜一と同じように開き直っていたが、男と女の違いそして男のひ弱さ怖さが少しわかってきた。
 
 美雪は次の日、田口総務部長と産業スパイ対策の打ち合わせをしてからハッセン中央研究所に電話をしている。
「もしもし、いつもお世話になっています。私は「週刊・流通経済」の記者で奥本と申します」
「はい、いつもお世話にになっています」
「あの~円山夏子さんに来来週の原稿をお願いしていたのですが、連絡が取れなくて困っています」
「そうですか…実は、円山夏子は当社の子会社のシステムエイトの社員ですので…」
「そのシステムエイトの電話番号を教えていただけますか?」
「はい、O七五の六九一のOOOOですが、こちらから内線でつなげますが…」
「それではお願いします」
 しばらくして丸山がでた。
「もしもし、円山さん」
「はい、週刊・流通経済さんですか???」
「円山さん、あなた広瀬課長を殺しておいて良く平気でいられますね、貴女は鬼畜生です!」
「…えっ!なんのこと?あなたは誰?」
「私は、フラワーの奥本美雪といいます」
「あぁ~あの小娘!」
「円山さん、産業スパイがどうしてセクハラの被害者なの?」
「な、何を言っているのその広瀬課長から私は聞いているのよ!あなた五十万円ものダイヤモンドを貰っていながらたった一回のセックスでバイバイなんて広瀬課長を殺したのはあんた!奥本美雪よ!」
「いえ、あなたが広瀬課長をたぶらかして新製品をスパイしてハッセンに売ったのよ!私は貴女が広瀬を殺したともう九条署の平田刑事にお話しました」
「そ、そんな…」
「良く聞いて円山さん、あなたはフラワーに産業スパイとして潜入、そしてあの馬鹿課長を色仕掛けで騙して、洗濯をするといって試作品のすべてをハッセンの中央研究所に運んでいるのを私はこの目で何回も見ているの、だからあなたが広瀬課長を殺したのよ!」
「……………」
「私も貴女と同じある筋から派遣されている同業者なの、どうしてもフラワーの新製品をヒットさせなければ私の首が飛ぶの、だから私も必死であなたのことを調べたは」
「……………」
「円山さん、どう取引しない?」
「取り引き…?」
「そう、あのセクハラ騒動はハッセンにたのまれたと一部の記者にリークしたら一千万円だすわ!」
「一千万円…」
「そう、一千万円」
「断ったら」
「そうね。京都でも有名なその筋の人達に一千万円を支払います」
「そんな…」
「あなた人を一人殺したのよ、その償いは当たり前じゃないの円山さん」
「それは…」
「産業スパイのような卑劣な行為に対してこちらも卑怯な仕返しをするのは当然よ!こちらも一人犠牲者が出た、ハッセンからも一人犠牲者が出なかったらこちらもメンツが立たないわ~円山さん」
「……それで本当に一千万円…くれるの…」
「そう、今日の午後一時に私の部屋に来て!」
「……………」
「別にこなくてもいいのよ~西大路七条のマンションにいる一人娘の晴美さん、ご主人は「京タラ」のエリートで夏子さんの初孫がお腹の中にいるそうね…」
「そこまで調べて…わかった…」

 美雪が電話を切ると田口と堀内は顔を見合してからまず堀内が、
「良くやった奥本君、しかし…そのなんだな…メンツとか犠牲者だとか…聞いててこちらも怖くなったよ、でも大成功だ!」
「部長…一千万円だせます?」
「むろん、一千万円どころか一億でも」
「でも、本当に来るかしら…」
「いや、一時半からの記者会見に間に合えば、九回の裏満塁ツーアウトでホームラン、一気にフラワーにかけられた疑惑がぶっ飛ぶ、おまけにハッセンは…アッハッハッ」
 
 円山夏子はどうして美雪が産業スパイだということを見破ったのかはわからなかったが、これはまぎれもない事実であまりにも早くバレた事に正直驚き恐怖を感じていた。
 システムエイトはハッセンの子会社で主に市場調査をしていた。丸山夏子らは正社員ではなく、その都度五万円から二十万円の報酬を貰っていた。今回は三人でチームを組み誰かがセクハラされて、残りの二人は証人として記者会見で顔を出す約束で支度金百万円、成功報酬百万円を三人で山分けをしょうとしていた。このセクハラ事件とは別に産業スパイは円山だけに二百万円の約束だった。その成功報酬が今日の午後にもシステムエイトから支払われるが…しかし、美雪から持ち込まれた取り引きも魅力的だ。
 円山は考えこんでいた、記者と少し話しをすれば一千万円。この手の問題は必ず仮名に顔もモザイクをかかり声も変えてくれるから…しかし、ハッセンはフラワーより二ヶ月も早く新製品を製品化する、製品も宣伝コピーもフラワーSS企画室が考えたものを少しだけ変えてもう四国の工場では量産体制に入っている。ハッセンのカタログ初夏号は印刷され全国の倉庫で発送を待つだけになっている、もし夏子が美雪のいう通りにすればハッセンの損害は金だけでなく社会的に糾弾されてやがて倒産。
 もし美雪との取り引きを断ったらどうなる。フラワーの初代会長の中塚は美雪がいっていた京都で有名な組織に金を渡して人を殺したことがあると企業小説に書いてあったが、美雪はたぶんそのことをいっているのであろう…まさかそこまでは…しかし、あの美雪の目はフラワーごときのOLの目ではない、人の死を冷静な目で見るまるで猛獣が生きるために獲物を殺したときの…と考えていたが、それより一番心配なのは一人娘のことをなぜか知っている不安で夏子は観念して美雪に電話をしていた。
 「円山夏子です」
「はい、お待ちしています、いつでもどうぞ!」
「実は、この仕事三人でチームを組んでやったもので…」
「あぁ、たしか須川貴子さんと中川恵子さんね。出勤日でもないのにどうしてセクハラの現場にいたの?」
「それは…」
「それを記者会見で二人に話してもらいたいのよ!」
「後の二人がなんていうか…?」
「どうせ三人で山分けなら、分けやすいように三千万円にしましょう」
「なら、もう一度考えます」
「ダメダメ、今返事して、こちらも時間がないの、もし取り引き中止なら今すぐ貴女を窃盗で訴えて記者会見で発表します。ハッセンの中央研究所には貴女がフラワーから持ち出した品物や資料がドッサリあるわ」
「そんな物、とっくに処分をしているわ」
「そ、でも貴女の今いった言葉はテープに残っているわ」
「………」
「それじゃ~こうしましょう。セクハラは元々円山さんの個人の問題だからフラワーと交渉して示談金三千万円を受け取ってもハッセンは文句一つ言えないわ」
「そら、そうです」
「その示談が成立した記者会見にあなた達三人が出席してもなんら問題はありません」
「それで…」
「後は、こちらがリークした記者に誘導質問をさせるわ」
「それなら、セクハラで三千万円は多すぎて…」
「金額はいう必要がないし、示談で解決した後はプライバシーだと逃げればよい」
「でも、フラワーが産業スパイと知りつつ金を払うのは不自然…」
「どんな理由があろうとも広瀬課長の指が円山夏子さんの身体の中に入ったことは事実です。それに対しては広瀬課長が悪い、その責任を会社が取るのは当然になります。そして一番悪いのは金で産業スパイを雇い企業の血と汗の結晶を盗むのは社会的には絶対許せません、それがハッセンです」
「わかったわ、三人ですぐ行きます」
「はい、十一階の経理部長室に直接来てください。三千万円は現金で用意しています」



★~この↓には、ブログ小説「恋のブランコ…シリーズ」7話があります。これもぜひお読みください~♪

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★~昨今、フリーペーパーという無料の新聞や雑誌が多く発行されています。これも一つの作品の発表の場と考えています。もし、よろしければ私のつたない作品(小説・コラム・エッセイ)等々を原稿料無料で掲載させていただければ幸いです。尚、ご連絡はメールにてお願いします。(音川さくら)
kyotoinari@ex.biwa.ne.jp







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最終更新日  2007年08月14日 10時09分57秒
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