うち的な回遊記

7つの贈り物

衝撃の感動作っつーから、泣く覚悟で行ったんですけどね。

どこで泣くんだったのか、わかりませんでした。 

 簡単に言えば、とある身勝手な男の話。

ただ、いかなる理由はあるにせよ

誰かが喜ぶのならば、それは良い事なんじゃないかと、

やっぱりそう思うわけです。

偽善でもなんでもいい。理由なんて関係ない。

 そこに喜ぶ人がいるなら。

ちょっと違うけど、この作品を

「幸せの王子」って表現してた人がいた。 

うん。そんな感じ。

以下注意。完全ネタバレです。 

 一人の男がいて、いろいろな人にプレゼントをする。

 プレゼントの内容は、一人には家を。

一人には肺を、一人には腎臓を、一人には骨髄を、

一人には肝臓を、一人には目を

一人には心臓を。

なんでそんなもんをあげるかと言うと

昔、まだ自分が仕事もプライベートも充実していた頃

携帯を見ていて、自動車事故をしてしまう。

亡くなったのは、愛する人を含め7人。

7人の人生を悪い方へ狂わせてしまったから

7人の人生を良い方へ変えてやる、って計画。

 死に方も徹底してた。

 氷をはった風呂に入り、世界で一番美しいと思っていた

猛毒のクラゲに自らを刺させる。

こうすれば、遺体は綺麗なままだから。

 ここまででも、そりゃ十分に身勝手なんだけど

うちが、何ーーー！？と思ったのは

プレゼントをする一人の女性と、お近づきになってしまう事。

最後には計画通り、心臓をあげるんだけれども

その過程で、だんだんと二人の心が近づいていくにつれ、

主人公の心にも迷いが出てくる。

好きになっちゃったっぽいんですけど！って迷い。

女性は、ドナーが現れない限り、一ヶ月かもしれない命。 

そして二人が、恋人として将来を語りあった後に

病院へ行き、完全に心を決める。

女性は、心臓が手に入った。

健康になった体で目覚めた時、一番最初に思うだろう事は

愛する人のいない悲しみ。

最後、バスタブに目をつむって耳までつかり

心臓の音を確かめる女性のシーンが。

 心臓が、自分の中で動いているなら

彼は自分の中に生きているとでも、思ったのだろうか。

 だとしたら、悲しい音だよね。

 私なら、そんなのまっぴらごめん。

不慮の事故ならともかく、自分の為に命をわざと捨てて

それで生きていけ、なんて。そりゃ拷問だぜベイベ。

 そんなものを背負わさないで。

 そういう、作品。

 テレビのロードショーにでもなった時に、どうぞ。