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カテゴリ:【セミフィクション】無頼控え外伝
加藤英雄の親友に菅原という男がいる
777sugaの俺とは無関係だ(ここだけの話的秘密) 英雄の語り部として また最終章では事件を解決した重要人物として 加藤英雄無頼控えの中では活躍している脇役だ アウトローとしての英雄とは対象に 常に普通である事を望む小市民的願望を持つ熊だ 新宿無頼********** 菅原は2年ぶりに新宿の馴染みの蕎麦屋で飲んでいた 懐かしの仲間、 気の置けない親父と女将 そして娘さん 菅原が離れている間 新宿の噂はそれでも菅原の耳に入ってきていたとか 新宿の80%は華僑に買収されているらしい とか 李登輝のお陰で台湾マフィアが皆新宿に集まったらしい とか 経済特区から追い出された可哀相な人や 犯罪者が中国大陸から新宿に集まっているらしい など、 「不夜城」以前に菅原にそういう情報が入ってきていた 「親父、久しぶり」 菅原は親父お勧めの蕎麦湯焼酎を久々に頼んだ これは悪酔いしないという親父さん自慢の酒だ 「菅原さん、元気そうだ これでまたジュクも楽しくなるなあ」 親父さんも女将も喜んでくれた 親友の健ちゃんもいる だが菅原は簡単に喜べない 怖い事は嫌いだ 「親父さん。 知らないうちに新宿って怖いところになったらしいじゃないか」 「菅原さん。そうなんですよ 菅原さんの居た頃とは危なさが違うんですよ」 健ちゃんもそういう。 「俺、怖いの苦手なんだよ」 そういう菅原の台詞に 親父さん 「何言ってるんだよ 新宿が怖い? 馬鹿言っちゃいけないよ 新宿の方が菅原さんを怖がっているよ」 「あっ」 「なんだ」 菅原と健、どちらの声ともつかない それから10ヶ月したかな 菅原はJR新宿駅から西武新宿駅で乗り換えるために歩いていたのだが ある日 呼び込みの連中が上を見ているのを気付いた 菅原も何があるのかと上を見る “何もないなあ” 次の日も また次の日も そうしたある日 西武新宿駅までの間 柄の悪い車が菅原の側で止まり ジュクのヤクザがその車を出迎えて騒いでいるのを 菅原は横目で見て通った “この街は沢山の組があるというから これだけの人数が出るって事は随分な組が連合で集まったんだな” などと思いながら二三日経った 毎日菅原は色々な時間に通る だが、いつも同じ景色になる 空を見上げる呼び込み 西武駅近くで止まる車 段々、菅原を囲むように歩いているヤクザの集団 「これじゃ、まるで俺がヤクザを引き連れているようじゃないか」 またまた二三日すると、 菅原は完全に包囲されて JRから西武駅まで歩くようになった またまた二三日 菅原は気付いた これは俺を監視しているのだ “俺をヒットマンか何かと間違えているのだ” 菅原はその時大きな仕事を終えたばかりで 緊張が取れたのか やっと気付いたのだった 翌日 会社のマーク入りのでかいかばんを持って 「俺は真面目な堅気だぞ」 と歩く菅原 水戸黄門のように 驚愕のヤクザ達 「俺に構う暇はないだろう」 口をあんぐり開けているいる男に菅原は言った 「分かった ただ。あんた、絶対歌舞伎町で遊ばないでくれ」 彼は何とか口をきいた 「了解。俺も面倒はご免だ 何があったのかも聞かない それは英雄に任せる」 「あんた。加藤英雄さんの知り合いか」 「知っているのか」 菅原の台詞に奴は安心したように肩の力を抜いて 「ああ。一度だけ コマ劇前を制覇したあの人は凄かった」 あの馬鹿。何をやったんだ 「どこでも悪戯をしているんだな。迷惑かけたか」 菅原は聞いた 「いやいやいや。日本人から外人まで あの人のファンだったよ。今も元気なのか」 「俺も会っていない」 「会ったら宜しく言っておいてくれ」 奴は言ったが 宜しくって言ってもなあ 「誰だ、君は」 俺の問いに奴は照れくさそうに 「いや、いい。ただ、あんたも英雄さんも もう新宿には来ないでくれ」 「通勤しているだけだ」 俺はきっぱりと言った 通勤しているだけだろう 「か、歌舞伎町には来ないでくれ」 「それは約束する ところで、なぜ皆空をみあげていたのだ」 「ああ」 菅原から目を逸らしていただけだという 真剣に仕事の詰めをしていたからか 菅原の眼力が強くなっていたのだろう JR新宿駅から西武新宿駅までのほんの5分の会話 それ以降、 菅原警備隊は登場しなくなった 彼らの姿を二度と見る事はなかったし 菅原も歌舞伎町の中に入る事はなかった お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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