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カテゴリ:【セミフィクション】無頼控え外伝
このタイトルで恋愛小説じゃなくて無頼控えだと云う事を
覚えていて欲しい お前の背中越しの街が今 夕日の中に燃え始めた 愛とばかり言えない俺たちの 絆の色を映しているようだ 愛しい人よ もう一度振り向き もう一度この胸で泣きなよ せめて夜が来るまでは お前の涙を信じよう この歌もこれから書く事には関係ない (多分どこかに間違いあり) ***** オカマバーの話 俺はママに 「新人だから苛めないでよ」 などと言われ 「俺がいつ誰を苛めたのか」 と言って彼女(彼)を預かった 新人を預かるというのは 意外に信頼されている証拠だ めったに行かないのになあ 藤原にはフィリピンから来たオカマが付いた 「ね。あなた恋人居るの」 藤原が迫られている 「ミ・アモーレ これはマイ・ラブと云う意味 あなたは私のミ・アモーレ」 藤原が迫られている 俺たちは嬉しくなって 特に中森明菜好きな俺は ミ・アモーレと赤い鳥が逃げたを歌ってやった 藤原への鎮魂歌だ、じゃなく応援歌だ 藤原は困って 「僕には好きな子が居ます」 だと 全く良い奴だよ、藤原は 俺たちは反則技を使われている藤原を尻目に 小柄で可愛い子と話を始めた 藤原はこの後どうなろうと 面白ければ良いのだ、俺たちにとって 「お兄さん」 俺は手を握られて話しかけられた 「こちらのお兄さん(川上)に さっきお兄さんが歌っている時に聞いたんだけど 喧嘩強いんですって」 「そんな事はないよ 運が良かっただけだ」 俺は答えた 本当にそうなのだ 格闘技はさておき、喧嘩の強い弱いなどは 運だと思う 「私ね。この世界に入る前は暴走族だったの」 「はあ」 「で、今悩んでいるのね」 「珍しいな、ゾク上がりのオカマか」 これは川上だ 向こうでは藤原が迫られている 良い風景だ 「私、実は切ってないオカマなの」 「ここでは珍しいな」 俺は言った ここでは覚悟を決めたオカマしか使わない事を ママに聞いた事がある ああ、なるほど 俺にオカマになるか男に戻るかを説教させたいわけだな しかし可愛い顔をしているなあ というか手を離せ 「私は女の経験もあるのね 結構もてたの、自分で言うのもナンだけど」 「その顔ならもてるだろう な、suga」 「そうだな。勿体無いぞ」 彼女(彼)は話を続けた 「喧嘩もやったわ 私は力がない分スピードがあって、乱闘では強かったと思うの」 確かに顔にも俺の手を握っている手にも傷はない 「でも、本当は特攻隊長をやっている先輩を守りたかっただけ」 「なるほど。男の世界か その反動なのかね」 俺は言った 「違うの 本当に好きだったの、その先輩 守りたかった。それだけ」 う~む。そうだったのか 「お兄さんね その先輩に似ている」 「なるほど。って、俺か 俺がゾクの先輩に似ているというのかね」 俺はヤクザとかゾクに間違われるのが嫌だった 今なら気にならないが 当時は真面目なリーマンになろうと努力していた時期だったのだ 「そう 先輩が引退した時、私は一つ下の代だったけど一緒に引退した そしてこの世界にいるの」 「そう・・・なのか」 俺は不良の世界とは関係ない だが、 まずはこの若い彼女(彼)の話を聞くのが今日の仕事だ 「なに。抜けられないのか、ゾクから 俺じゃなく警察だよ。なら俺は協力するよ」 俺は優しく言った 「ゾクは良いの。大丈夫 あんな奴ら、大した事ないわ。お兄さんを煩わせる事はない ただ・・・」 「どうしたんだ」 喧嘩も強い 女にも強い これで女になる必要がどこにあるのだろうか 「なあ。俺は思うんだが 女になるよりは男の方が一杯人を幸せにできると思うんだが」 俺は素直な気持ちで言った 「俺もそう思う 世の中の女の敵を倒す力を持っているだろ」 川上だ ああ、藤原が迫られている 良い風景だ 「違うの 聞いてください」 彼女(彼)は真剣な目で川上を見て そして俺を見つめた 「今日決めました 本当に好き」 お、俺か 「だから 付き合ってくれなくても良い 私が切ったら・・・」 「切ったらって例のものをか」 「そうしたら」 「そうしたら」 喧嘩無敵の男(女)は俺の手をぎっちり握って 「私の最初の男性になって下さい」 なって下さい なって下さい なって下さい なって下さい フェード・アウト *****後日談 「よっ。今晩一発やる?」 川上と飲みに出たある日 「sugaさん。もう皆知っているんだからね 彼女できたんでしょう。おめでと」 な、なんだよ。この間チュー迄したんじゃないかよ 「可愛い彼女ができたんだってね 彼氏か・し・ら」 なんだよその「・」は 「何の話だ。俺はお前しかいないんだぜ 正確に言えばお前たちだが」 川上が腹を抱えて笑い出した 「す、す、すまんsuga。みいんな話しちゃった」 「何を」 「この間のオカマの事」 「おおっ、あいつか 元気かなあ」 「ああ、男のままでいてほしかったな」 「本当だ あんな良い男は居ない でも、色々な事情があるんだろうな」 俺と川上はバーボングラスをカチンとぶつけて飲んだが 「で、それと今日の俺の振られっぷりはどういうことだ」 と俺は言った 「だから処女を奪ったんでしょ 良かったわね、可愛い彼女ができて 責任取りなさいよね、ちゃんと」 彼女の怒りっぷりも凄かった 川上が笑い転げる それはないだろ、川上 「それを言うなら藤原とフィリピンのオカマだろう」 俺の声が虚しく響いた お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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