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2007/10/16
カテゴリ：【小説】恋愛小説？
僕たちは次のドラマの企画をしていた
飯を喰いがてら近所の２４時間やっているカフェレストラン 「だからよ。こう、何でも右ストレートで片をつける話が良いんだよ」 「暴力助長はいやだなあ。やはり家族の復権が良いと思う。それで刑事モノ」 「おうおう。右ストレートで刑事モノで良いじゃねえか」 「だから僕は暴力助長はいやなの」 平行線だ 暇なプロデューサー二人に相談したのが間違いだった 暇に任せて午後からずっとこの調子だ 最近受けなくなったアクションや時代劇好きの菅原 ファミリーモノや恋愛モノ好きの高田 僕は、もっと、こう・・・大人の物語が 午前三時 僕たちの他に誰も居なくなった 昼も夜もないと呼ばれているこの街の 実は本当の夜が始まる時間だ 入口を眺めていると １人の女性が入ってきた “この時間に何をしているんだろう” ぼんやり考えていると 彼女が僕の視線に気付いた はっ 髪を染めているし、スタイルも随分変わったけど 美緒だった 僕は彼女に近づいた 「はい。ルビコンピザとカルロスピザですね」 ここにはテイクアウトのピザがある 彼女は淡々と注文をしていた 気付いたのは僕だけか 別人なのか 「あの」 僕の声に振り向いた彼女、 そこだけ変わらない大きな瞳に涙を浮かべて 「藤高君」 と言った やつれていた その時菅原が来て 「おうおう。ちょっと来てくれ」 と、肩に手を置いた 「まてよ、菅原。少し話しを・・・」 「私、行くね。藤高君、元気そうで良かった」 彼女は丁度出てきたピザを持って出て行った その直後、太いエンジン音が響いた 「お前。もし今度会っても彼女に今の暮らしを聞くなよ」 菅原はまだ僕の肩に手を置いている 「知っているのか」 菅原は頷いた 「お前のドラマ、“彼と彼女と工藤の物語”の彼女だろう お前の原案で脚本したやつ」 「なぜ知っている。知っていてなぜ教えなかった」 「今気付いたんだ。やはり彼女だったんだな」 菅原が知っている事を聞くのは怖かった 「変わっていなかった。随分綺麗になっていた」 美緒は助手席で藤高の事を考えていた 私は今は裏の世界の女 彼はあの時みすぼらしくて 汚いジーンズ１本とTシャツ数枚だけで年中過ごしていた “あら。冬は私が買ってあげたジャケットを着ていたわ” 横の男 うちの店のオーナーで・・・ 「あそこのピザ美味しいんだよな」 優しいけど・・・ 「俺が前に取材した時に会ったんだ あそこで別れて良かったんだぞ」 菅原が言った 菅原の取材と云うのは決まっている だから、 だから聞かなくて良かったのだ あのドラマが僕の気持ちで そして、そうありたかったというメッセージだということを知っていて だからきっと彼女は涙を溜めていたのだと そう思うことにしよう お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
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