テーマ:最近観た映画。(40133)
カテゴリ:エンターテーメント
監督・撮影・編集:想田和弘
出演:山内和彦、山内さゆり 2005年10月の川崎市議補選に立候補した自民党公募選出の山内候補の密着ドキュメンタリー。 音楽も解説もテロップすらもなく、淡々と映像と実音声だけで繰り広げられる「観察映画」だ。 東京下町で切手、コイン商を営んでいた山内候補は、全く政治活動の経験がない。 しかも、何の縁もない川崎市からの立候補。 とにかく、名前を連呼し、支援団体に頭を下げ、 人の集まりそうな街頭や、保育園の運動会にまで選挙活動に出かけていく。 まさしく、日本のドブ板選挙だ。 時は小泉改革の真っ只中。 「改革を推し進めて参ります!」と叫びつつ、その仔細はよく分からない。 仮住まいのアパート近くの商店から「雨水が溢れて困っている。」と言われれば、 「当選したら必ず対処します!」まさに宗男的、地元への利益誘導。 党からの指示は仔細に及ぶ。 山内候補曰く「やっては怒られ、やらなくて怒られ…」である。 キャリアウーマン風の奥様も、選挙活動に参戦する。 そして、当選したら仕事を辞めろと、党関係者から説かれた様子。 その怒りは山内候補へと向けられる。 「はい、分かりました。って流しちゃえばいいんだよ。怒っても始まらないよ」 と、奥様をなだめる。まるで、選挙活動に苦悩する自分に言い聞かせるように。 次第に自民党のロボット化していくようにも思えた。 山内候補の人柄だろうか。 観ているうちに「なんとか当選して欲しい」と願う自分に気付いた。 過酷な選挙戦を死に物狂いで頑張った山内候補には、素直に頭が下がる想い。 やはり人間は情の生き物だ。自民党選挙の狙いもこれなんだな。 しかし、市議という最も地域に根ざした選挙において、 なんの地縁もない候補が当選するのはどうかと思う。 接戦を演じた民主党候補は、何年も地域で福祉をしてきた方だった。 「落下傘候補のあなたに何が出来るの?」 駅前の街頭演説で地元のご婦人に論される場面もあった。 政策よりも地域活動の実績よりもそして志よりも、数の論理が勝利する世界。 それが選挙なんだと、改めて再認識させられた。 本当に山内候補が当選することが、地域のためにプラスになったのだろうか? その後のご活躍を知らないので何ともいえない。。。 (ちなみに、任期満了後は再出馬されていないとのこと。) 非常に興味深い映画だった。 今年度上半期No1かもしれない。 なお、並行で実施された国政選挙には候補者として、 川口元外務大臣が、その応援弁士として、 小泉純一郎、荻原健司、橋本聖子ら現役議員も登場する。 公式サイト 山内和彦ブログ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.08.14 22:56:47
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