テーマ:英語・英会話のヒミツ(80)
カテゴリ:発音とリズムの秘密
そういう、「普通には認識できない音」を認識するために、正しい発音を理屈で知ってトライしてみる、という必要が出てくる。 「発音できない音は認識できない」 というのはちょっと言い過ぎかもしれないが、きちんと発音してみることこそが、結局は耳で聞いて認識するために一番効果的で簡単な「練習」なのである。 「ネイティブのようにカッコよく」しゃべることが、発音に取り組む目的ではないのだ(だから、実際にしゃべる場面になったなら、細かいことを忘れたとしても構わない、というか、忘れたほうがいい=気にしないほうがいい)。 まだ母国語のシステムが確立しきっていない上、そもそもが大人とは比較にならない吸収力を持つ子供なら、耳で聞いたものを認識し、無意識にその発音を真似ることができるが(運動能力の未発達ゆえに舌がまわらないとしても、その仕組みは捉えている)大人はそうはいかない。 大人は、はじめのうちはしっかり知性を駆使して、発音の仕組みを覚えなくてはいけないのだ。たとえばthとはどういう音で、どういう舌の位置、動き、息の使い方によって音が出るのかを知り、その上で実践的にやってみなくてはいけない。こう言うといかにも難しく聞こえてビビるかもしれないが、そうはいってもほんの限られた数のことである。 日本語のシステムにむりやり当てはめて自己流の発音をしてしまっていると、結局認識できないままになってしまう。 まずは「違いがある」ということをしっかり把握すること。そして発音する仕組みを知性によって知ること、そしてそれを意識しながらCDなどの音声教材を真似るという形によって練習すること。 はじめは億劫に思えるだろうが、とにかくここをしっかりやっておけばあとの上達が全然違ってくるのであるぞよ! たとえば。 and, butなどの接続詞は中学1年生でも知っている。というか、たぶん小学生でも知っている。だが、ほとんどの人が ando, buto と発音する。実際にしゃべるときには発音は気にしなくてもいいと言ったが、ほとんどの人が、「あんどーー」「ばっとーー」と、必要以上に語尾の母音(ないはずなのに)を強調するかのように発音するのにはさすがに苦笑。ネイティブの講師たちもそのあたりを笑い話的にとらえ、日本人の物まねをするときはわざと「あんどー」と言う。ま、それはともかく。 salt and pepper これを読んでみて、と言えばほとんどの人が 「ソウト アンド ペッパー」と言う。だがこれも実際は 「サウタンペパー」 と発音される。andは「ン」でしかない。 じゃあネイティブが、aもdも発音していないのか、と言うと、そんなことはない。 語頭の 「a」 は前の語のお尻にくっついてしまうとしても、語尾の「d 」だってちゃんと発音されているのだ。が、聞こえない。 しかし、その「d」 の音を理屈で、つまり舌を上顎にくっつけて止める、という仕組みを知って意識して発音してみると、その聞こえなかった「d」の音が分かるようになる。聞こえていなくても、そこには「d」がある、と分かるようになるのだ。 自分でそのように発音ができないのに、それが聞こえるようになるというのは至難の業である。不可能ではないが時間がかかる。 自分でともあれ「形」を作ってやってみる、ほうがはるかに速く、手応えもあるのである。 最近の私のモットーのひとつは、「形からはいる」ってことでもあるから。いや、これ有効なんですよ。精神は形についてくる。って話がちょっと大げさにそれ気味か。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Feb 4, 2007 09:14:28 AM
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