|
カテゴリ:徒然草を読もう
第四十五段
公世(きんよ)の二位のせうとに、良覚(りょうがく)僧正と聞えしは、極て腹あしき人なりけり。坊の傍に、大きなる榎(え)の木のありければ、人、「榎木僧正(えのきのそうじょう)」とぞ言ひける。この名然るべからずとて、かの木をきられにけり。その根のありければ、「きりくひの僧正」と言ひけり。いよいよ腹立ちて、きりくひを掘り捨てたりければ、その跡大きなる堀にてありければ、「堀池僧正(ほりけのそうじょう)」とぞ言ひける。 現代風訳 藤原公世(きんよ)の二位の兄で、良覚僧正と申される方は、きわめて怒りっぽい方であった。僧坊の傍に、大きな榎木があったので、人が「榎木僧正(えのきのそうじょう)」と言ったという。この名がけしからんと、その木をお切りになった。その根は残っていたので「きりくいの僧正」と言ったという。いよいよ腹が立って、切株を掘り捨てたところ、その跡が大きな堀になっていたので、「堀池僧正(ほりけのそうじょう)」と言ったということだ。 ![]() ![]() ![]() どんな風に呼ばれたら満足だったのかしら? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.04.05 07:00:12
コメント(0) | コメントを書く
[徒然草を読もう] カテゴリの最新記事
|