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カテゴリ:徒然草を読もう
第八十三段
竹林院入道(ちくりんいんのにゅうどう)左大臣殿、太政大臣(だいじょうだいじん)にあがり給はんに、なにの滞りかおはせんなれども、「めづらしげなし。一上(いちのかみ)にてやみなん」とて、出家し給ひにけり。洞院左大臣殿、この事を甘心し給ひて、相国(しょうこく)の望みおはせざりけり。 「亢竜(こうりょう)の悔あり」とかやいふこと侍るなり。月満ちては欠け、物盛りにしては衰ふ。万の事、さきのつまりたるは、破れに近き道なり。 現代風訳 竹林院入道左大臣殿が、太政大臣に昇進なさるのに、なんの障りも無かったのだが、「珍しいことも無い(普通すぎる)。左大臣で止めよう」と、出家された。洞院左大臣殿が、この事に共感なさって、自分も太政大臣になろうとは思わなかった。 亢竜(こうりょう)の悔…昇りつめた竜は後は下るだけなので、そこに悔いがあるとかいうことでございます。月が満ちると必ず欠けるし、物が盛えると必ず衰える。万事、先がつまっているのは、破滅に近い道なのである。 ![]() ![]() ![]() 陰極まれば陽となり陽極まれば陰となるので、あえて「極めない」態度。 程々のところで撤退するのは「円満」への余裕がありそうです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.05.10 07:00:13
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