カテゴリ:音楽
讃歌
毎日忙しいんだけど、たまには本も読む。今月はいろいろと物入りで、こういうときは買ったまま積んである本が山とあるので、助かる…。(;^^) 篠田節子氏の本は、先日東京から帰るバスの中で読み切ってしまった「マエストロ」(美貌ヴァイオリニストの話)も面白かったが、 マエストロ それに続いての「弦楽器」ものである。 かつて天才ヴァイオリニストと騒がれた女性が、栄光と挫折の後に、ヴィオリストとしてTVドキュメンタリーで話題になる…。テレビ製作の現場も興味深い。ヤラセと事実の分かれ目。「音楽で感動すること」の正体。「上等な音楽」と「感動する音楽」は違うのか?などなど、TVのこっち側の「一般大衆」としての目と、「演奏する」側でもある自分にもなかなか面白い本で、ついつい夜更かしに夜更かしを重ねて読んでしった…。罪作りな本であった。(;^^) 篠田氏御自身もチェロを弾かれるそうなので、楽器や音楽については詳しい。新聞小説として書かれただけあって、謎解きや小さな山場が何度も現れてぐいぐい引っ張られ、飽きさせない。 クラシック音楽は、一般的にわかりにくいものと思われていて、だから、テレビ番組などでも取り上げられにくい題材ではないだろうか。ところがそこにわかりやすい「人間ドラマ」が絡んでくると、ひょんなことから大ブームになったりする。その辺のところは、篠田氏自身によるインタビューにも例が挙がっている天満敦子の「望郷のバラード」(徹子の部屋)や、フジコ・ヘミングを一躍有名人にしたNHK人間ドキュメントなどが記憶に新しい。その功罪。 そして、「音楽による感動って何だ?」ひょっとすると、うっかりわたしも陥りそうな「泣き」や「揺れ」や「うねり」など。ヴァイオリンでいえばビブラートなんかも入れすぎると危ないし、コーラスや歌でも妙にタメたり遅くしたり。釣られてうっかり心も動いてしまったりする。「感動」と「下品」は紙一重なんである! 義母はよく、「わたしは音楽はちっともわからないんだけどね」と前置きして、「あなたはいいわねえ…音楽ができて」と言ってくれる。 「音楽なんて、わからなくてもいいんですよ。感じたままで。聞いていて、いいなー、好きだなーと思えば、それがおかあさんにとって、いい音楽なんです」と常々義母には話しているが、実際のところは、その音楽の質の良さを見極めるには、聞き手の側にも知識と教養はさすがに有る程度は必要であろう。同じ様なことがこのインタビューの最後のほうでも述べられている。 …そんないろーんな疑問や謎が、自分の中でも繰り返し問い直されて、最後まで答えの出ないまま残っていたりする。おもしろかった!さて。次は辺見庸の「自分自身への審問」だ。 (こちらはわたしには少々難しいかも(;^^)) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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