テーマ:本のある暮らし(3292)
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こうの史代の「夕凪の街 桜の国を、Fさんが送ってくださいました。昨日メールでそんな話をしていたら、もう今朝宅配便で届いて、驚きました。
夕凪の街 桜の国」 8月6日に合わせて届いた本…。これはすぐ読まねば…と、手に取りました。 先日の「この世界の片隅に」と合わせて、まずは作品に出会えたことに感謝です。その後書きに「奇蹟」という言葉を、作者のこうの史代氏自身が使っていますが、2作とも、まさしく奇蹟のような作品です。 「幾つもの導いてくれる魂に出会えた事。平成18年から21年の「漫画アクション」にちいさな物語の居場所があったこと。のうのうと利き手で漫画を書き続ける平和。そして今、ここまで見届けてくれる貴方が居るという事。すべては奇蹟であると思います。」 「この世界の片隅に」の後書きの言葉がそのまま、今のわたしの心境です。 ちょっと身近な匂いのする登場人物たち。でも、決定的にわたしたちと違うのは、ヒロシマのひとたちが、8月6日を抱えていること…。8月6日は、本当は、口に出せない、出したくない、忘れてしまいたいことなのでしょうね。 先日 ニュースにもなりましたが、三宅一生がNYタイムスに寄稿し、自身の広島での被爆体験を初めて公にしました。オバマ大統領のプラハ演説に心を動かされてのことだったそうです。 広島出身のこうの史代自身も、「原爆」にかんするものは避けてきた…と書いています。「そういう問題と無縁でいた、いや無縁でいようとした自分を、不自然で無責任だと心のどこかでずっと感じていたからなのでしょう。」と。 私たち戦争を知らない世代が、「ヒロシマ」と聞いて思い浮かべること。それは形の薄い、類型化された、漠然としたものになっていってはいないでしょうか。こうの史代の作品では、当時と現代とが描かれることで、それがわたしたち一人ひとりにとっても、終わらない問題であることに、改めて気づせてくれるのです。 わたしは音楽家なので、腹の足しにもならない「音楽」なんてもんを、奏で、語っていられる今の平和な世の中を、ほんとうに有り難く思います。両手があって、のうのうとピアノが弾ける幸せ。今日が無事に一日過ごせたように、明日もきっとまた同じように日が昇り、忙しくも楽しい一日が待っているはずと、疑いもせず思える日常。 こうの史代の作品のように、ユーモア滲む日常のの陰にも、誰しも人は語りたくないたくさんの苦しみや悲しみを秘めていることを、もちろんわたしも知っています。ヒロシマのそれは、あまりに大きいのだと、改めて、いや、初めて知った気がします。 それにしても…。今朝の平和式典での子ども代表2人は、立派でした。それに続いた、現総理大臣の薄っぺらだったこと…。日本の国が、このさきどうなっていくのか。今の平和は、続くのか。わたしたちに何ができるのか。だれに、それを委ねればいいのか、その歯がゆさも感じながら、TVを見ていました。 Fさん、ありがとうございました。ご縁に感謝です! 読書の後、庭でひとしきり草取りしたら、体内に蓄熱して、午後もしばらくほーんとに体が熱かった! だが!しか~し!! ハートは熱く、頭はクールに…。世の中を見つめたいと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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