リオン＆シモンのお部屋

　　　　朝、母が亡くなりました。
　　　　検査の後の疲労のため、とりあえず入院してから、たったひと月でした。
　　　　
　　　　昨日、いつもどおりに母のいる病院に行くと、母は昨日と同じように酸素マスクを
　　　　つけて寝ています。
　　　　酸素マスクは、前日から呼吸が楽になるようにと用意されたのですが、前日は嫌がっ
　　　　て自分で外してしまったりしていたのでした。
　　　　
　　　　ベッドには「８月分の請求書が出ましたので、お寄りください」という貼り紙がありました。

　　　　早速ナースステーションに出向くと、なぜか看護士さんが深刻な表情で、お家の留守
　　　　電と携帯にメッセージを入れたんですが、聞かれましたか？」と言うのです。

　　　　えっ？？？　　
　　
　　　　看護士さんの話では、いつも１００以上ある血圧が７０代に落ちてきているそうで、
　　　　至急、病院に来るよう連絡を入れたらしいのです。
　　　
　　　　急遽、父、私、妹の３人で病院に泊り込むことになりました。　　　　
　　　　と言っても、泊りの用意をして来なかったので、父を残して急いで洗顔道具やら着替え
　　　　やらを取りに家に戻りました。

　　　　個室とは言え、簡易ベッドは１台しか運び込むことができないので、高齢の父に使って
　　　　もらうことにし、私と妹は椅子に座って付き添うことにしました。

　　　　入院経験のない私は、病院に泊まるのは初めて。
　　　　９時を過ぎると消灯なんですが、私達だけは許してくれました。

　　　　母の様子は見た目は昨日と変わりませんが、血圧は少し下がったままで安定しています。

　　　　夜中に看護士さんがやって来て、「面会室にパイプ椅子を並べて横になってもいいで
　　　　すよ」と言ってくれました。

　　　　お言葉に甘えて、２時間ほど横になることができました。

　　　　夜が明け始め、よい天気なので、ちょっと外の空気を吸いに病院の外に出ました。　
　　　　外が明るくなると不安が少し解消されるのが不思議です。

　　　　病室に戻ってしばらくすると、看護師さんが心電図のモニターを病室に運んできました。
　　　　今度は脈拍数が減ってきていると言うのです。
　　　　今日一日もつかしら…。

　　　　叔母に電話をかけるため５分ほど席を外し病室に戻ると、担当医と看護士が来ていて
　　　　心電図モニターはゼロに…。

　　　　最初はモニターが壊れたのかと思いました。

　　　　そして、担当医が診察を終わると、まるでドラマのように時間と死亡の旨を告げたの
　　　　でした…。
　　　　これって死に目に会えなかったってこと？

　　　　母の手はまだ温かく、思わず涙がこぼれました。