危機時の情報提供と"頼もしくも愛すべき"子供達
遂に、原発問題が野菜や水道水にまで波及した。日本にいる皆さんは、本当に不安で一杯だと思う。イギリスから野菜や水を送るわけにもいかず、昨日から、また、何も出来ない無力感の揺り戻しを感じているところだ。私には、妻と2人の子供がいて、東京近郊の(高層)マンションで暮らしている。私は、ロンドンに単身赴任の身だ。ちなみに、震災発生の日には、出張先のスペインにいた。アポイントメントの合間に何度も連絡を試みたが、その日のうちには連絡が取れなかった。正直に言えば、震災以降、仕事があまり手につかず、情報収集などに時間を費やすことが多くなっている。少しでも良質な情報を集めて、必要とする人に届けられればという思いからだ。しかし、情報はあくまで判断のための材料に過ぎず、私が代わって判断出来るわけではない。もちろん、そうすべきでもない。昨日も、「赤ちゃんには、水道水を飲ませないように」との注意勧告があったことを受けて、「一方で、ミネラルウォーターで、粉ミルクを調乳すると、赤ちゃんはお腹を壊すので、粉ミルクメーカーは、注意文を出している」という話を流した。全てのミネラルウォーターが駄目な訳ではないので、政府・自治体に正確な情報提供をお願いしたいという趣旨を添えて拡散して下さった方もいて、少しはお役に立てたのかもしれない。ただ、一方で、「それならどうすればいいんだ!」と不安や苛立ちを感じた方もいらっしゃったようだ。ただの素人で最後まで責任を負うことのできない自分が、センシティブな問題の情報提供をすることに難しさを痛感した。今回の震災では、多くの方が、(おそらくは)善意で、自らが有益だと思う情報を発信していらっしゃるに違いない。中には、危機を煽っているんじゃないかと非難されている人もいるが、彼らは彼らなりの「正義」を感じているのだろう。ただ、気をつけないといけないと思うのは、「危険だ」という立場の人と「安全だ」という立場の人が、共に、自分の立場に不利な情報には目をつぶって、自説に有利な情報だけを発信しようとしてしまうことだ。今は、本当の非常時だ。会議室でディベートをしているのではないので、新たな情報を得て、自分が間違っていたかもしれないと思えば、すぐに訂正する、補足が必要だと感じたらすぐに補足する、そういう姿勢が何より重要だと思う。さて、話を戻すが、私という個人単位の判断においても、家族をロンドンに呼び寄せるという選択肢も考えられる。私にとって家族を守ること以上に大切なプライオリティは存在しないが、今は、家族が日本にいるという判断をしている。子供達曰く、「将来、世界を幸せに出来るような大人になるために、今はここにいて一生懸命勉強する。」のだそうだ。実際、今起きていることに対しては、何が正解かは分からない。世界で起きている問題には、算数の教科書のように答えは書かれていない。これからの日本は、誰かが何処かに答えを持っていると思って、回答ページを探すのではなく、自分で答えを見つける必要があるのだろう。1+1=2と覚えていれば解決する問題なんてなくて、1+1をどうやったら3や4に出来るかを皆で考えていかないと日本は本当の意味で立ち直れることはできないかもしれない。残念ながら、学校では教えてくれないのかも知れない。「世界を幸せにするため勉強する」という頼もしい子供達に、本当に必要な勉強とは何かを教えるのが、私の重要な役目だ。お読み頂き有難うございます。以下は、ブログランキングです。 "励み"にしておりますので、よろしければクリックをお願いします! にほんブログ