先日 NHKBS2でヴィスコンティの特集をやっていた。
学生時代に訳もわからぬまま耽美の世界に酔いしれ(大人になったような気がしたんだろうなあ) ヴィスコンティをずいぶん見に行ったことを思い出し、あの頃は映画館のいすも悪くて、本当にお尻がいすの形になりそうになりながら長~い映画を見たことも思い出していた。
<ベニスに死す>で、マーラーの音楽に浮かぶ「タージョ」君のかわいらしさにうっとりし、(美少年ブームの先駆け?)<ルードヴィッヒ>では、ヘルムート・バーカーの怪しい雰囲気にタメイキをつき、<地獄に落ちた勇者ども>ではもっと危ない世界に何かを感じ<山猫>ではあの貴族の滅び行く美しさになんともいえぬ憧れを抱き・・・していた。
で、今回久しぶりの<ルードヴィッヒ>にえっ?と思ったのが、このバイエルン国王もワグナーもイタリア語をしゃべっているということ!あの頃は何も思わなかったんだろうか。耽美の前に、イタリア語で繰り広げられるドイツの世界にものすごく戸惑ってしまった。ってことは、<地獄に落ちた勇者ども>もイタリア語だったんだろうか???
ヴィスコンティなんだから当たり前だけど、学生時代は何も考えてなかったのが、今、言葉と映像と、その描かれた世界と、の交じり合った不思議さに、より混沌の魅力を感じられるようなそんな気がした。
ドイツの怪しい世界をイタリア語で演じる魅力と魔力のようなものを 20年たって初めて感じられたということは、やはりあのころは何もわかってないまま、耽美耽美していたんだなあと、自分を可愛く思ってあげた次第!?