362724 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

☆じゃんきー☆のあふぉな日々(´ロ`;)ノ

☆じゃんきー☆のあふぉな日々(´ロ`;)ノ

「天地自由人さぶやん」episode.7~10

episode.7

さぶやんは手に職を持っていた。だから遊び人とはいえ仕事をする時は職人気質である。またその能力を買われて全国から仕事のオファーが舞い込んできた。彼は時々その要請に応じて何ヶ月単位かで出かけていくことも多かった。しかし、そこはさすがにさぶやんである。彼を会社が拘束することはできなかった。月の就業日数はほぼ1週間程度。そんなので来て貰う価値があるのだろうか?と疑問に思うのだが、他のグータラ社員が叩き出されても彼は高給優遇だったのだ。彼は用意された宿舎に女を連れ込み、酒を飲み、仲間を集めてはドンチャン騒ぎを繰り返していた。その地域の観光地に出かけていったり、釣りに興じたり、当然地元の競輪・競馬・競艇などには常連さんとなってまた仲間を増やしていったのであった。彼は豪気で気前の良い人物であったから自然と人が集まってきたのであった。


episode.8

めずらしく自宅にいた彼は、いつものように競輪に行こうと思い準備をしていた時、彼にまとわりつく幼稚園児(長男)の手をひき一緒にでかけていった。これは彼がわが子を連れて出かけた初めての出来事でした。その日彼はツイていた大勝ちしたのである。周りに集まってきた仲間の競輪ファンを連れてミナミへ繰り出しドンチャン騒ぎをしたのであった。。。。

はて、息子はどうしたのであろう?

彼は息子の存在をすっかり忘れ、息子は父とはぐれ迷子になり誰もいなくなるまで迷子センターにいた。その後警察に引き渡され翌日やっと母親が迎えにきたという。その時間さぶやんはまだ家に帰っていなかった。


episode.9

さぶやんはお酒が大好きだ。っちゅーかビールはお茶とどうちがうんだ?という感じなのだ。日本酒は一升瓶でコップになみなみと注いで一気にあおる!ん~日本人に生まれてよかったねぇ~という至福のひと時なのだ。そんな酒豪のさぶやんだが酒に呑まれたことは一度もない。酒に酔って失敗する輩を見てかわいそうに思うのだ。


episode.10

そんなさぶやん、新世界の人気者なのだが、家ではむちゃくちゃ嫌われ者。そりゃまともに生活費も入れないんだから嫌われるだろう。そんなある日子どもたちの学校のプリントが目に入った。「父兄参観日のお知らせ」ほほぉ、今日は参観日か・・・ここはいっちょ父としての威厳を見せにいかなくては。そう思いいそいそと学校に出かけることにしたのだ。

しかし、学校に行くからといってわざわざオメカシしていくようなオヤジではない。いつものカッコ・・・・たとえて言うならば「ふうてんの寅さん」そのもののカッコ・・・しかしあんなに品はよくない。。。

さすがに一升瓶ぶら下げていくのは控えたが、さぶやんに人類の垣根はない。小学校についたが子どもたちの教室がどこかわからない。行き交うママたちに声をかけて聞くのだが誰も耳を貸さない、というより顔をしかめて逃げるように去っていく。。。

「なんや最近のオバハンは愛想悪いのぉ。。。」

そうつぶやきながら子どもの学年のフロアにたどり着いた。「お、この辺や」うれしくなったさぶやんは大声で子どもの名を連呼するのだった。しかもかなりデカイ声。当然その頃子どもは教室で恥ずかしさのあまり泣いていたのだった。

学校職員に連れて行かれ、やっと子どもの教室にたどり着くと、まずは教室にいるお母さん方にご挨拶。引きつりながら会釈を返すお母さん方、あまりのデカイ声に授業に集中できない先生が「あの、お父さん・・・授業中ですのでお静かに・・・」と注意。さぶやんは「先生、エライすんまへん。いつもウチのバカ息子が世話になってますぅ」先生引きつる。息子とうとうこらえきれず大声出して泣き始める。

さぶやんは参観日に来てくれた父の姿に喜んで息子が泣いているのだと思い、思わず目頭を熱くしたのだったが、参観日に行ったのは生涯その一度だけだった。





つづく



© Rakuten Group, Inc.