カテゴリ:本
川上未映子「乳と卵」を読了。
amazonなどのレビューを見てもわかるように、賛否両論分かれそうな作品である。 ずらずらと連なる文体は確かに読みづらいし、江戸っ子からすれば関西弁の意味やニュアンスも分からないし、とにかく意味を説明しているような文章ではない。でも、通して読んでいると、不思議とテーマがボワンと浮かび上がってくるから不思議だ。芥川賞の選考委員であった山田詠美さんが「無駄口は叩いていない」と言ったのもよくわかる。確かに無駄口は叩いていないのだ。 絵に描いたような「転」、タイトルそのままの卵が飛び交うクライマックスなんて実はどうでもよくて、親子関係とか豊胸手術とかもおまけにすぎないような気がした。 そうじゃなくて、女体の不思議、これに尽きる。 生まれたとき、いや、生まれる前から子孫繁栄の目的で有無を言わさずたくさんの卵を抱える女。 乳が乳として主張を始め、股から血が出、勝手に女になっていく。 膨らんだり、萎んだり、飛び出たり、色を変えたり。それ自体が人格を持っているかのように姿を変える。本人の意思とは無関係のはずなのに、たまに体に気持ちまで振り回される。 そんな不思議な卵の入れ物=女。 女こえーーーーと、女なのに思わずにはいられなかった。 ![]() 乳と卵 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.07.14 19:05:05
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