『奈良』、『奈良の寺々』、『帰化人』、『神々の体系』
今週読んだ本の内の四冊に関してメモ。 直木孝次郎『奈良 古代史への旅』岩波新書、1971年。各所を訪れて歴史を語る。記紀や説話をひきながら、なぜそのような記述が残されたのかを教えてくれる。 太田博太郎『奈良の寺々 古建築の見かた』岩波ジュニア新書、1982年。古建築の専門家による解説。平易な文による、建築様式の講義。 関晃『帰化人 古代の政治・経済・文化を語る』講談社学術文庫、2009年。1956年刊の著の増補版(1966年刊)が、本文庫の原本。確かなこと、誤りであることが確かなこと、を峻別して記述している。「それは明白に誤りである」、「なんの信頼性も持ち得ない」といった記述は、手厳しいが小気味よい。 上山春平『神々の体系 深層文化の試掘』中公新書、1972年。実に興味深い一冊。極上のミステリと言ってもよいだろう。本書で提示され、論ぜられている仮説は、「梅原猛氏との討論の過程で成熟した」とのこと。