・おれの、ゆめは、クリスマスのうちに、あけましておめでとう、と言うことである。２１８９年とかの正月、なんかには、たぶん、しんでたりして、あけましておめでとう、と迷っているが言いわすれるかもしれないので、このクリスマスに、ふと、バリバリいい声(文章)で言う。あけまして、おめでとう。決してこれは、２００８年分の、あけましておめでとうではない。２１８９年のあけましておめでとうをひとつつかって、言っているのである。傷害原液だもんで(硫酸的な意味で)。
　おれは、キリスト教の要素を、なんだかんだでうまく使っているこの無神論者たちが、素敵だと思う。クリスマス・イブだから、おれの今日の夕食は、エビチリと唐揚げとご飯とタクアンとサラダと辛口の日本酒だった。おれたちは、無神論者なので、この日にうまれた歴史的なお偉いさんにも、日本の米は、うまいぞ、とすすめているのである。または、軽く皮肉っているのである。しかし、おれたちは、別にアンチキリストだったりサタニズムだったりパックス・イスラミカだったりするわけじゃない。とにかく、無神論なのだ。神をかじるとしたら、広く、とても浅く。なにせ、この数日後には、夜中まで夜更かしをして、学問の神様がいるという、近所の神社にお参りに行くのだ(ちなみにおれは、それがとても好きだ。一年で一番好きな行事かもしれない。神社は、本当に、好きだ)。とにかく、そこは教会やメッカというよりは神社なのだ。無神論者には八百万以上の神様がついているのだ。そしておれたちは、本地垂迹の神仏習合した神を、広く浅く信仰している。神道の神なのか、仏教の神なのか、どっちでもいいのかもしれない。とにかく、ようきなすった、ゆっくりしていってくだされ、とお茶漬けと漬け物を、出しているのだ。それは、クリスマスだろうが、関係ない。１１１年ハヤイケド、アゝ、アケマシテ、オメデトウ(合掌)。
　おれにとって、イヴと言えば、伊武雅刀だったり、パラサイトイヴのラスボスだったり、ブラックキャットの中途半端な能力(てかあの漫画みんなそうだけど)の幼女だったり。しかしとにかく、セイントなものかどうかはしらないが、聖夜であるとのことだ。

　おれは、２１８９年には生きていない、とたかをくくって、あけましておめでとう、と言ってしまったのだが、もし２１７７年くらいに、死者蘇生術が大成されて、ゾンビではなく生身の人間を蘇生させる事に成功して、おれが生き返ってしまったとして、やがて２１８９年になって、今回のこれのせいであけましておめでとう！と言えなかったら、どうしよう、と思う。ことに、おれは、おれの生まれてから死ぬまでが全てだ、どうせひとは死ぬんだ。と言って、世代間倫理的な環境問題などに対しては、贅沢な態度をとり、エアコンをガンガンかけたり、ゴミを全部一緒にすてたり、酸素を吸って二酸化炭素を吐いたり、木を削る課題をやったりと、環境破壊に対して協力的なのである。後世なんて、どうでもいい、と思っているのである。
　そんなおれだから、２１８９年に蘇生されたりしたら、とても肩身の狭い思いをするに違いない。おれは、「世界史の授業をたのみます」と言って、世界河合塾超絶進学東ハーバー北オックスパペプリクコースで、１９９０年代から２０００年代の世界史の授業を、２１８９年頃にたのまれるかもしれない。そこで、あけましておめでとう、と言えないのは、もしかしたら、何かを左右するかもしれない。
　そしておれは、「世界史の授業をたのみます」と、言われたとき、ふと思ってその人に聞く。「今でも、受験戦争というのはあるんですか。驚いたな」と。その人は言う。「ほとんどみんな趣味でやってるんですけどね」と。
　おれは、若い頃のままで、同じ若い頃の、一番かわいい頃のままの、自分の奥さんと出会う。そこで、その前に、せっかくだから誰か他の女の子と、つきあってみるべきか、と少し迷ってみるが会う。そしてしばらくして、女言葉や男言葉がなくなっていることにはじめて気づいて驚く。そこでも、あけましておめでとう、と奥さんに言えないのは、何かを左右するかもしれない。
　おれが生き返るとしたら、そんな可愛い世界が良い。しかし、現実は、皮肉にも、生き返るとしたら、ただのゾンビとして生き返るくらいで、運がよくても、某ゾンビに強い女の子にハンドガン撃たれて、ゾンビなのにまた死ぬってくらいかもしれない。あけましておめでとう、とも言えずにそれは。