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LYNNのいたずら毎日

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ウィーンの日々1:時間と宿について

6泊7日したウィーンについて思ったこと、そこでの出来事などを少しずつ纏めていきます。

○時間
 これはpunctualかどうかという意味ではない。ウィーンでの時間の流れについて。非常にゆっくりだと感じた。一番の繁華街ケルントナー通りでさえ、脇目をふらず歩く人はいない。観光客ばかりというせいもあるのかもしれない。どちらにしても、通りをアングリと口を開けてジグザグに歩きながらウィンドウ・ショッピングをしても、全く問題がない。もしこれが東京であったら…。たぶん私は負傷しているだろう。
 日本に帰ってきてまず思ったことが、「せわしない」。オーストリアのゆったりとした時の流れは非常に心地よかった。あれが、人が活かされる時間の速度なのだ。

○ペンション・モーツァルト
 私が宿泊したのは、マリアヒルファー通りから少し入ったところ、オペラ座まで徒歩10分のペンション・モーツァルトというところ。Budget Travelersというサイトで発見した。私の場合、シャワーとトイレ・朝食付きで一泊46ユーロ。破格の安さである。
 いざ付いてみると、古い建物。1階にあるエレベータは、いわゆる「Lift」で、非常に旧式だ。友人と二人で重いスーツケースを階段で運ぶのは嫌だから、試してみようということになり乗ってみたら、すぐには操作がわからない。なんとかたどり着いたところ、ドアを開けて待っていてくれたのは、東欧系の顔立ちをした美少年(にしては成長していたが)。
 そこは家族経営の、日本で言ってみれば民宿。普通の一般家庭のお部屋を間借りするような感覚だ。勿論オーナーの部屋も、同じフロアにある。部屋のドアは立て付けが悪いし、よく見ると古い。絨毯も清潔とは言い難い。冷蔵庫もないし、部屋に電話もない。タオルは「洗剤間違っちゃったの?」と思うようなシロモノだし、ロッカーの鍵もかからない。「大変なところに来てしまった」と後悔した。友人の部屋はダブルのシングルユースだから少々高いものの、冷蔵庫があることと椅子が何脚かあること、タオルの数が多いこと以外余り変わらない。
 ここを予約したのは私だから責任を感じてしまい、別なところを探すことを提案したところ、友人は非常に寛大なので、ここで構わないという(あのときは本当に有り難かったです、Mさん)。
 私の部屋は通りに面していたため、少々怖くなり、眠るときには、窓側には椅子を、またドア側には小さいテーブルと椅子を不規則に並べ、侵入者が来てもコケちゃうような配置にしておいた。今考えるとばかばかしいが、初めの一晩はチョット怖かったから必死だったのだ。だが翌日オペラを見て帰ってくると、その部屋に安心感を覚えた。要するに、慣れた訳である。
 そのペンションの朝食は美味しかった。素朴なパンと数種類のハムとチーズ、シリアル類とコーヒー、紅茶。朝食担当のおばさんは英語が話せないらしかったが、私たちに「これたべる?」という雰囲気でヨーグルトを出してくれた。
 家族経営だと先ほど書いたが、そこのオーナー夫妻の一般生活がわかり、面白かった。ドライヤーが忘れたから貸してくれと言ったら、快く貸し出してくれたし、初め対応してくれた一人息子にセイフティ・ボックスへパスポート類を預けたいと言ったら、一生懸命預かる手続きをしてくれた。またそのパスポート類を返却してもらうとき、彼が夫妻にその在処を伝えていなかったものだからひと騒動あったが、それも良い思い出だ。そのとき、オーナー・ルームの事務机の端っこのほうに、ベーレンライター版の赤いスコアのようなものがチラっと見えたのが不思議だった。
 部屋も慣れてみれば別にどうってことなかった。天井は高いし、部屋自体も広い。毎日掃除もしてくれる(タオルは1回しか替えてくれなかったが)。オーナー達も良いひとで、日が経つにつれて非常に快適な滞在になっていった。最後の一晩、新たにやってくる客が、私が泊まっている「Nr.8」の部屋でないと嫌という客だから、別な部屋に替わってくれるかと頼まれた。そちらはこのペンションで言うと高級部屋になる。同じ金額で良いというから、二つ返事でOKしてみたが、そちらは、更に広く綺麗だった。これからはこの部屋を指定しようと思った。

 さてここからが本題。朝食ルームの前に女性指揮者の写真が何枚かあり、更にその一枚はR. ムーティと映っている。良くみるとその女性に見覚えがある。なんと、オーナーの奥様だったのだ! あの赤い本は、やっぱりベーレンライターのスコアだったのだ。昨年秋にはムジークフェラインで弦楽オーケストラの指揮もしている(WPではありません)。チェックアウトの際に、彼女が指揮者かどうか確かめ、その上で私もプレイヤーなのだ、それも30年近く弾いていると言ったところ、とても喜んでくれた。喜びのあまり、ムジークフェラインでの演奏会コンサートを納めたヴィデオをプレゼントしてくれた。
 彼女は、Gal Rascheさん。ロシア生まれの大柄美人です。サイトもお持ちです。
http://www.galrasche.com
 実はまだこのサイトも、ヴィデオもまだ見ていないが、ヴィデオの感想は、遅くなっても必ず送るつもりでいる。私たちを迎えるのは向こうの仕事だけれど、ウィーンに住む人と、心が通ったような気がしている。そして、今度ウィーンに一人で行くときは、必ずペンション・モーツァルトにお世話になろうと決めている。
http://www.pension-mozart.at/en/


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