仇討
金剛棒は幾つかに割れて小太郎と共に跳ね上がって飛んだ。「うわー-----」 大勢のがこだまして円海の顔は一瞬微笑んだが、力余って断崖の縁に踏みとどまろうとした。 小太郎は逆に縁を蹴って円海の後ろに飛び降りた。 このとき断崖から真っ逆さまになって巨体が落ちてゆく。唖然とした修験山伏の中で弟の鉄海は、「兄の仇---それ一度にかかれ!」 すると西教坊が、「待たれよ、円海は自分で落ちて行った---見よ有り難い大日如来が遣わした猿神たちを!」「そうだ鉄海殿、あんな目に遭った塚原はだだ避けだけだ------やはり霊山だ!」 小太郎を吊るした山伏の篠崎と小山はこう言って手を合わせた。 おわり