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テーマ:本のある暮らし(3315)
カテゴリ:本の世界
いったい何冊隠されているでしょうか。 実は、ここには、雑誌の整理の途中で発掘したフランスのインテリア雑誌から切り抜いたもので作ったカバーをした本たちが隠されているのです。雑誌が丈夫な紙質だったので、文庫、新書、ハードカバー、とサイズを適宜合わせて切り、そのままブックカバーにしてみました。 さて、この写真には、五冊写っています。 舞台衣装をつけたパフォーマーたちの本から、時計まわりにご紹介、です。 『ユルスナールの靴』(須賀敦子/河出書房新社) フランスの作家マルグリット・ユルスナールの軌跡を作者が追って記した、エッセイ風旅行記です。最初この本を手にとったのは、須賀敦子自身よりもユルスナールについて述べられている本ということで、興味を持ったからでした。ところが読み始めてみると、戦時中の読書好きの乙女たちの(少女、女学生、というより、乙女なのですよね、作中に出てくる女学生時代の須賀敦子とそのお友だちは)心情などもおもしろく、あっという間に読み進んでいきました。 ユルスナールといえばこの人、の多田智満子は、本書の後書で、その作家に「ついて歩くような文章を書く」ことがこの著者にとっては肝腎だったのだ、と、記しています。本当に、そんな風に書ける「靴」を、須賀敦子は持っていたんだな、と、読み終える頃には、なんだか、自分のことのようにうれしくなってしまいました。 私は、あまり整理整頓が得意ではないので、本も棚になんとなく感覚で並べてあって、読みたい時にぱっとその本が見つからないなんてことが、しょっちゅうなのです。ところが、この本は今が読む時、という時には、次々と関連本ごと、目に入ってくるのです。 今回も、本書を読み返しているうちに、『黒の過程』を読み返したくなって、さらに作中人物のゼノンを彷彿とさせるデューラーの人物版画を見たくなって、パラケルススの錬金術本を読みたくなって・・・と、読みたい本がどんどん本棚から出てきて、読書の時間が膨れていったのでした。 薔薇の柄の椅子からたれているアンニュイな白い手のは 『手芸が語るロココ レースの誕生と栄光』(飯塚信雄/中央公論社)です。 昨年のワークショップでレース編みとビーズの作品をつくって以来、レース編み熱再燃なのです。糸も針も細ければ細いほど、カリグラフィーで魔法をかけられたような文様を、生み出してくれます。 卵の標本!?のは『須賀敦子のヴェネチア』(大竹昭子/河出書房新社)です。 須賀敦子のイタリアといえば、まずはミラノになるのでしょうが、なぜか手元にあるのは『ヴェネツィアの宿』、そして、本書です。本書では、須賀敦子とヴェネツィアについてが、たくさんの写真とともに紹介されています。 個人的に好きなのは、ヴェネツィア大学の図書室です。貴族の館がそのまま使われているそうなのですが、煌びやかな装飾空間の中に並べられたOA機器が、歴史ある街の風景ならではで、ああ!こんなところでだったら朝から晩まで勉強したい!と、思いました。 ちょうど『ARIA』(天野こずえ/magGARDEN)を読んだばかりだったので、本書の地図を見ながら、改めてネオ・ヴェネツィアを思い浮かべたり、といった楽しみ方を再読しながらしました。 モダンな黒と白のテーブルセッティングは 『京の古本屋』(京都モザイク004/青幻舎)です。 本書は、京都へ行った時にふらっと入ったインテリアshopに、同シリーズの『京都の洋館』といっしょに置いてあったのを目にして、二冊いっしょに衝動買いしたものです。歴史のある街は、モダンなものも妙に合いますよね。本屋さんの本を読む・・・ある意味至福のひと時です・・・ 瓦屋根にセーター姿の粋なおねえさんのは 『錬金術師通り』(池内紀/文藝春秋)です。 このカバーだけは、某DCブランドメーカーのカタログからです。 本書も、旅本です。旅先でのささやかな出会いの短編集です。ただし、その出会う相手が、ふるってます。ある時はカフカの息子!?、またある時は映画「ヴェニスに死す」のタッジオ少年の晩年、etc・・・ちなみにタイトルはプラハに実在するストリート。カフカが住んでいたそうです。 ここのところ、本の話が続いてますね。 来月にはワークショップの準備期間に入りますので、その頃にはクラフトの話も出てくる予定です。 aroma accessory mikoma>aroma accessory mikoma お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.02.11 16:10:09
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