233889 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

青空のように

青空のように

善通寺

4月1日(金)

72番・曼荼羅寺から78番・郷照寺まで。
朝、60代の歩き遍路さんと一緒になる。
通しで回ってて、番外霊場を含めて、ここまで27日で回っているという。いくらなんでも、これは驚異的なのだが、次の札所で納得がいきました。
この人、お寺に入る前から次の道をやたらと僕に聞く。そして、お寺に入ったとたん、納経所へ直行。これはルール違反。鐘もつかないし、灯明も線香もあげてなかったような気がする。
ちょっと休んで、さあお参りしようかと思ったら、そのオッサンは、お寺を出て行くところだった。
あれでは、寺の佇まいもなにも目に入るまい。

出釈迦寺
73番・出釈迦寺の参道。朝早く歩くのは気持ちいい。

この日は、空海の生まれ故郷、75番・善通寺を打つ。
さすがに、壮大なスケールのお寺で、人もいっぱい。
さっきのオッサンが手当たりしだいに、赤門(ここから出る)はどこかと聞いてまわっていた。
その姿は、映画「クレイマー・クレイマー」でクリスマスに仕事を探して走り回ってるダスティン・ホフマンを連想させた。どうしてあんなに急がなければいけないんだろう。

ここでは、テレビドラマの撮影をやっていた。
東てる美と有馬稲子だったような気がする。
写真撮ってたら、スタッフに怒られた。地元の男の子に笑われたので、舌だして逃げるマネしたら、この子にウケた。
この子のお母さんによると、2時間ドラマの撮影らしい。
「善通寺殺人事件・家政婦は見なかった」とかそういうのかな。
バッチリ写真は撮ったのだが、肖像権とかで問題になると困るから載せない。

善通寺
善通寺の五重の塔。

今回のお遍路では、とにかく人に話しかけられる。
歩いていても、休んでいても、地元の人は嬉しそうに話しかけてきてくれる。僕も嬉しい。
これは、春になってみんなの気持ちがオープンになってることもあるんだろうが、県民性というのもあるんじゃないかな。
荒々しい太平洋と、穏やかな瀬戸内海に接してる違いか。
善通寺でもベンチで休んでいると、お年寄りのグループに話しかけられる。
福岡から来たというと、やっぱり地震の話になる。
僕の家は被害がなかったと言うと、お年寄りたちは感じ入ったように、口々にこう言った。
「守られてるんやなあ」

76
76番・金倉寺。善通寺の次なのだが、一転誰もいず、シーンとしている。
ゆっくり休めた。落ち着いていて良い寺。

さて、夕方であります。
77番・道隆寺を打ち終え、多度津から丸亀に向かっている時、ひとりのおばさんを追い抜いた。地元の人である。
脚が不自由であった。
僕は、こんにちは、と声をかけて追い抜いたのだが、後ろから、声をかけられた。
「スイスイ歩けるのは、幸せやねえ」
ここからしばらく、このおばさんと歩く。
「お遍路さん、歩いて回れるいうのが、どんな幸せなことかわかっとるかいな。幸せや幸せや思て歩かなあかんで」
声も大きくて、明るい人だった。
別れ際にこう言った。
「私の分まで、ちゃんとお参りしてきてな」
もちろんですとも。
足は痛くとも、この時なら横峰寺も大丈夫だったはずだ。







© Rakuten Group, Inc.