善通寺4月1日(金)72番・曼荼羅寺から78番・郷照寺まで。 朝、60代の歩き遍路さんと一緒になる。 通しで回ってて、番外霊場を含めて、ここまで27日で回っているという。いくらなんでも、これは驚異的なのだが、次の札所で納得がいきました。 この人、お寺に入る前から次の道をやたらと僕に聞く。そして、お寺に入ったとたん、納経所へ直行。これはルール違反。鐘もつかないし、灯明も線香もあげてなかったような気がする。 ちょっと休んで、さあお参りしようかと思ったら、そのオッサンは、お寺を出て行くところだった。 あれでは、寺の佇まいもなにも目に入るまい。 73番・出釈迦寺の参道。朝早く歩くのは気持ちいい。 この日は、空海の生まれ故郷、75番・善通寺を打つ。 さすがに、壮大なスケールのお寺で、人もいっぱい。 さっきのオッサンが手当たりしだいに、赤門(ここから出る)はどこかと聞いてまわっていた。 その姿は、映画「クレイマー・クレイマー」でクリスマスに仕事を探して走り回ってるダスティン・ホフマンを連想させた。どうしてあんなに急がなければいけないんだろう。 ここでは、テレビドラマの撮影をやっていた。 東てる美と有馬稲子だったような気がする。 写真撮ってたら、スタッフに怒られた。地元の男の子に笑われたので、舌だして逃げるマネしたら、この子にウケた。 この子のお母さんによると、2時間ドラマの撮影らしい。 「善通寺殺人事件・家政婦は見なかった」とかそういうのかな。 バッチリ写真は撮ったのだが、肖像権とかで問題になると困るから載せない。 善通寺の五重の塔。 今回のお遍路では、とにかく人に話しかけられる。 歩いていても、休んでいても、地元の人は嬉しそうに話しかけてきてくれる。僕も嬉しい。 これは、春になってみんなの気持ちがオープンになってることもあるんだろうが、県民性というのもあるんじゃないかな。 荒々しい太平洋と、穏やかな瀬戸内海に接してる違いか。 善通寺でもベンチで休んでいると、お年寄りのグループに話しかけられる。 福岡から来たというと、やっぱり地震の話になる。 僕の家は被害がなかったと言うと、お年寄りたちは感じ入ったように、口々にこう言った。 「守られてるんやなあ」 76番・金倉寺。善通寺の次なのだが、一転誰もいず、シーンとしている。 ゆっくり休めた。落ち着いていて良い寺。 さて、夕方であります。 77番・道隆寺を打ち終え、多度津から丸亀に向かっている時、ひとりのおばさんを追い抜いた。地元の人である。 脚が不自由であった。 僕は、こんにちは、と声をかけて追い抜いたのだが、後ろから、声をかけられた。 「スイスイ歩けるのは、幸せやねえ」 ここからしばらく、このおばさんと歩く。 「お遍路さん、歩いて回れるいうのが、どんな幸せなことかわかっとるかいな。幸せや幸せや思て歩かなあかんで」 声も大きくて、明るい人だった。 別れ際にこう言った。 「私の分まで、ちゃんとお参りしてきてな」 もちろんですとも。 足は痛くとも、この時なら横峰寺も大丈夫だったはずだ。 ジャンル別一覧
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