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マックの文弊録

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2009.06.08
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カテゴリ:よもやま話
◇ 6月8日(月曜日); 旧五月十六日 甲申(きのえ さる): 友引、望

今日は望、つまり満月だ。
晴れていればまぁるいお月さまを空に望む事ができるだろうけれど、今時の空には滅多に月が観られることは無い。今年は太平洋上とシベリアからの両高気圧が未だに拮抗しあっている所為で、入梅は全体に少し遅れているようだ。

さて、先日のブログに地下鉄駅のホームで箸を使ってスパゲティを食べる青年の話を書いた。
そうしたら釈迦楽先生という方から、「もはや『人の目』というものがなくなってしまったんでしょうかね」というコメントを戴いた。
そう、「人の目」というのはもはや死語になってしまったかもしれない。

電車の中で化粧するオンナ、それに件の弁当オトコ。若し僕が「人の目」を代表したつもりで彼らをじっと凝視していたら、どんな反応があるだろうか?
恐らくは、仏頂面で「なぁに見てんだよぉー!」という、甚だ好意的ならざる視線を返されるに決まっている。かなりの確信を以って敵意を予測できる。化粧オンナなどはついでに、「エッチ!ヘンタイ!スケベ!」という三連句が飛んでくるだろう。

要するに、彼らにとって「人の目」などというものは、ハナっから無かった!僕を含む周囲は単なる情景でしかなかった。それが凝視を受けたり、或いは肩などを叩かれたりでもすると、やおら点景が「情景」を脱して何やら不審なイキモノとして眼前に出現する。しかし、未だ自分の仲間の「ヒト」としての認知まではされていない。単なる不審なイキモノだ。それが突然自分に干渉してくる。それで、モノを見るような無機質な視線を返し、やがてそれに敵意が込められ、そして「何だよ!?」という反応になるのだろう。

もし、もしもだけど、こういう時に返って来るのが微笑みだったらどうだろう。そう、微笑だ。
同じ笑いでも冷笑、嘲笑、憫笑、失笑、苦笑、艶笑、照れ笑いではない。ましてや哄笑、爆笑などではいけない。
「和えかなる微笑み」・・・では少し違う。ちょっと弱すぎる。「嫣然と微笑む」というのを中性化して色気を抜けば注文の微笑みが出来上がるだろう。

要するに悠揚迫らぬ笑顔だ。
そんな微笑などあるものか!とおっしゃるかもしれないが、ある。それも誰もが何度か(直にではないにしろ)この微笑を目撃した事がある。僕はつい昨日、福井県の一乗谷で行われた全国植樹祭を報告するNHKのニュースで観た。
そう、天皇皇后の微笑だ。あの方々は常にどんな状況でもこの微笑をたたえていらっしゃる。尤も我々が目に出来るところでは、ということになるのは、此方はテレビなどで拝見しているのだから当たり前だ。つまり「人の目」だ。
お気の毒でもあるが、あの方々にはプライバシーというものが民草より遥かに少ない。外にお出になったり、昨日のように式典に出席なさったりすると、衆目に曝されカメラの砲列にも狙われる。要するにまさに「人の目」に曝されるわけだ。その中で常に微笑を維持されて崩れない。

天皇ご夫妻や皇族ならずとも、僕の周辺の「平民」にも数はそんなに多くは無いがこの微笑を会得されている方が居る。こういう方々と目が会うときは必ず先方は微笑をたたえている。先方が不意突かれた場合ですら先ず微笑が返ってくる。そういう時、相手に対して品の良さ、育ちのよさ、そして品格を感じさせられて、此方の気持ちも自ずと和む。「あぁ自分もかくあらねばならぬ。」などという気持ちになる。

毛唐もこういう微笑を身に付けている人が多い。全く知らぬ人でも、ゆきずりに目が合うと、実に暖かい(と思える)微笑を返してくる。しかし毛唐と云っても先進国と云われる国の白人であって、我々の属する黄色人種や黒人種には残念ながらこういう微笑を返してくる人は希少でしかない。

心理学的にはこういう微笑はCheap Moralの一種で、「自分が相手の敵ではないと表明する防御姿勢の一つで、愉快な気持ちの表出としての笑いではない。」などと解されるのだろう。
別にそうでも構わない。第一両陛下だって、僕の品良き友人だって、いつもご機嫌であるわけはない。不愉快な気分の時も、体調が悪い時もあるはずだ。それでも、あの微笑を返すのは相手が集団であれ個人であれ「人の目」を大切にしようという気持ちが彼らにはあるからだ。

思えば最近の日本、特に東京のような大都会ではそうだが、殊更に「人の目」を無視し、神経の突っ張ったような顔つきで歩く人間ばかりになってしまった。こういう中にあの微笑み人口を増やす方策はないものだろうか。

ホームの弁当オトコが、この微笑の会得者であったらどうであろうか?
「そんなところで、埃っぽくはないですか?」、「おや、美味しそうなお弁当ですね。」とか、何となく此方も微笑みながら声をかけたくなるのではなかろうか。
電車の中の化粧オンナも、程度の問題はあるだろうが、少しは美しく見えるようになるのではなかろうか?
マナーという面ではどうであれ、少なくともギスギスした雰囲気は無くなるのであろうとおもうのだが。

この微笑み、アメリカでは「正しい微笑み方」を教える学校もあるのだそうだ。






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最終更新日  2009.06.10 12:02:19
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