カテゴリ:小言こうべえ
◇ 9月20日(日曜日) 旧八月二日 戊辰(つちのえ たつ) 先負: 彼岸の入り、空の日
今日はお彼岸の入り。 ニュースでは「初めての秋の連休」 と事あるごとに言っている。何が「初めて」なんだと思ったら、祝日改正法によって敬老の日が2003年から9月の第三月曜日に定められた。そのお陰で今年は秋分の日(23日水曜日)との間の22日も国民の祝日となり、週休二日制の普及によってサラリーマンは19日(土曜日)から23日(水曜日)までの五日間の休日になる。休日と曜日の巡り会わせで5連休となるのは、祝日改正法の適用以来初めてなので、「初めての秋の連休」となるのだそうだ。今後この「秋の大連休」が巡ってくるのは6年後の2015年なのだという。なるほど。 ついでに24日と25日も休んでしまえば合計で9連休となる。この不況下会社に大した仕事も無いからと、そうしている人も多いそうだ。 しかし、休みと云うと働きたくなるのが貧乏性の日本人で、我も我もと家族などを連れて奉仕労働に出かけるものだから、格安の高速道路はどこもかしこも大混雑である。いよいよ秋めいてきた青空の下、爽やかな風に吹かれて広い野面を散策する代わりに、せまい車内に閉じ込められてじりじりと蝸牛の歩みに勤しんでおられるご同輩諸氏には衷心よりご苦労様と申し上げたい。 こういう時はそこいらを歩き回るに限る。ご同輩諸氏が大挙してどこかへ行ってしまわれるお陰で、都心は閑散として、普段とは全く異なる顔を見せてくれる。 景勝の地や海外で秋を愛でるのなら、何でもない普通の日に固めて休暇をとって、混雑とは無縁の旅をすれば良かろうと思うのだけれど、何しろ皆と一緒に群れていないと不安になってしまうのが我が国民のさがだ。改正祝日法案だって、高速道路の週末・休日割引だって、人を休ませリフレッシュさせることには全く役には立たず、むしろ群れさせて疲労させることに貢献するようなものだ。 どうせなら、年間の有給休暇日数を格段に増やし、しかも固めて好きな時に休めるようにすべきなんだろうが、「皆で一緒に」文化の蔓延する社会ではこれは難しかろう。それにわが国の「家族」は今や、子供が主君であって、筆頭家老が細君、足軽は父親と云う構図になっている。従って、主君たる子供が学校を休める日でないと、のっけから「家族の休日」は成立し得ないという事情もある。 かくして大型連休は、会社人間から家族の足軽に職業換えした諸君が、上司連中をひとさらえにして大挙繰り出し、道路は渋滞し、観光地は大混雑することになる。 今日の暦を見ると、もう一つ。今日は「空の日」だそうだ。 「くうの日」でも「カラの日」でもない。「そらの日」だ。 虫歯予防デーやハナの日のように何かの語呂合わせなのかと思ったら、そうではない。ちゃんとした歴史があったのだ。 1910年(明治43年)に当時の代々木練兵場(今の代々木公園)、わが国で始めて動力飛行に成功したのを記念する日なのだそうだ。 主役は徳川好敏、日野熊蔵の両陸軍大尉。両名はそれぞれアンリ・ファルマン式複葉機とグラーデ単葉機を駆って滑走試験をしていたら、日野大尉の飛行機が期せずして飛んでしまったのだそうだ。約60メートルの滑空だったそうだ。その後徳川大尉の方も飛び上がることができ、公式には両名が共に滑空に成功した12月9日がわが国における「動力機初飛行の日」として記録されたのだという。 その30周年を記念して、時は皇紀2600年(又出てきた!)、つまり1940年(昭和15年)9月28日に「航空日」として制定された。翌年にはこれが9月20日に変更・決定され、その後遥かに降って1992年(平成4年)に「空の日」と改称された。 僕は空の日なんて今まで知らなかったが、各地の飛行場ではこの日にちなんだイベントも行われるらしい。 代々木練兵場で竹ひご細工に等しいような飛行機がよたよたと60メートルほどの「空」を飛んで以来99年。今は大荷物を携えた足軽さんたちが、海外への「家族旅行」のために何千キロもの彼方へ飛んでいかれる。道路のみならず各地の国際空港も大混雑なのだそうだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.09.20 09:27:34
コメント(0) | コメントを書く
[小言こうべえ] カテゴリの最新記事
|