カテゴリ:そこいらの自然
【2011年辛卯 3月6日 旧 二月二日 庚申(かのえ さる) 先負: 二十四気啓蟄】
昨日から東北新幹線にはやぶさという特急が走り始めた。 最高時速300キロだそうだ。はやぶさには飛行機のファーズトクラス並みの「グランクラス」という特別席があるのだそうだ。新幹線の利用の仕方もこれで変化して、新しい需要を喚起できるかもしれないと、JRでは期待しているらしい。 ところで、この「はやぶさ」は異様に鼻面が長い。高速走行時の抵抗を小さくするにしても、ちょっと極端だ。 実はこれは抵抗を小さくすることより、別の効果を狙ってのことだそうだ。 新幹線が開通しどんどん高速化するにつれて、トンネル出入り口の周辺では大きな問題が生じた。列車が出入りするたびに、大きな衝撃音が響いたのだ。 列車が高速でトンネルに突入すると、トンネル入り口の空気は急激に圧縮され、その際に大きな音を立てる。また、衝撃波は出口に向かってトンネルの中を進行していき、出口から突出する際にも騒音が発生するのだそうだ。 そこで解決策を模索して、技術者たちはカワセミに行き着いた。 カワセミは魚を捕まえるために水面にダイブするが、その際に水面に立つ波は意外なほどに小さいのだそうだ。 つまり、「はやぶさ」の長大な鼻面は、鳥の「ハヤブサ」に倣ったのではなく、同じ鳥でもカワセミを真似たものだったのだ。 この形の採用で、トンネルの出入り口周辺の騒音は大幅に改善されたそうだから、カワセミもエライ! ベルクロやマジックテープなどと呼ばれる面ファスナーは、山歩きの最中に服や犬の毛に絡みついて困った野生のゴボウの実を真似ることで開発されたそうだ。 オリンピックなどの競泳に用いられる水の抵抗の少ない水着も、サメの皮膚を研究することで生まれたという。「サメ肌」はここでは嫌われることなく役に立ったわけだ。 その他にも昆虫やゲジゲジの歩き方を真似たロボットを、地震などの被災現場での救助用や、狭いところでの清掃やメンテナンス用に利用しようという試みもあるそうだ。 他にもアリの巣を真似て、冷暖房設備を大幅に削減しつつも夏は涼しく冬は暖かく空気も清浄な建物を作るなど、生き物をお手本にする試みは数多くあるようだ。 人間が技術一本やりで力ずくの開発をするだけでなく、生き物から教わり、それを真似ることで新しいものを作る。そういう傾向は今後もどんどん進んでいくに違いない。 何より生き物は数億年もの時間を費やして、環境に適合する形態を獲得してきたのだから、人間の発明よりは「一日の長」ところか「億年の長」があるはずなのだ。 さて、今日は二十四気の「啓蟄」。 土の中からは暖かさにほだされて、将来の我々の「お手本」の諸賢が、ぞろぞろ這い出してくる日である。歩く時にはせいぜい気をつけることにしよう・・・・か? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.03.06 17:44:08
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