2012/01/27(金)11:24
新!私的熱帯魚図鑑 vol.006
ネオン・テトラ ノーマル個体
ネオン・テトラ Paracheirodon innesi (Myers,1936) は近縁種のカージナル・テトラと並び、もっともポピュラーかつ人気の高い熱帯魚と言う事が出来るでしょう。体側部中央を走るメタリックブルーのラインと、その下部後方部分が真紅に染まる、誰が見ても文句なしの美麗魚です。しかも、サイズも全長で3cm程度と極小サイズ、しかもお値段も激安!と来ては、人気がない方がおかしいと言うくらいなものです。原産地はアマゾン河流域で、ブラックウォーターの流れる細流に生息していると言われています。本来、これだけど派手な体色をしてしかも小型と来ては、捕食者にとっては格好の獲物となっちゃいそうですが、赤褐色に染まった水中ではこのやたらと目立つ体色もそれほど目立たないそうです。
現在我々が購入する事が出来る個体のほとんどすべてがアジアでのブリード個体です。長年に渡りブリードされている割には色や体型にそれほど劣化が認められないのはうれしい限りです。非常に稀に輸入されてくるワイルド個体は、前述の様にブリード物の出来が良いだけに、完全なマニアアイテムと言えるでしょう。ワイルド個体は水質にもうるさいので、普通に飼育するならば断然ブリード個体がお勧めです。両者の区別は外見では困難ですが、お値段がワイルド物の方が圧倒的に高額なので、ネオンの相場をはるかに越えたお値段で販売されていたらワイルド物と思ってよいのでは(笑)。なお、ワイルド個体はやたらと水槽からジャンプしますので、水槽には蓋をお忘れなく。ブリード物はそれほど活発ではありません。
原産地では水温20~22℃、PH5~6位のかなり低水温(熱帯としては)の酸性の水だそうなので、ワイルド物はその辺りきちんと管理すべきです。ただ、香港やその他のアジアで生産されている個体は水温25℃前後のほぼ中性の水で累代飼育されていますので、一般的にネオン・テトラは水温25℃前後の塩素中和した水道水で飼育って言うのが正しい道ってもんでしょう。
餌は何でも良く食べてくれますが、口のサイズが小さい為小型魚用のフレークや粒の細かい顆粒フードがお勧めです。水槽内の水草を齧る様子もほとんど見られない事から、それほど植物性の餌は必要としないと思われます。一度、水槽内の環境に馴染んでしまえば、繊細な見掛けとは別に丈夫で飼育しやすい魚です。性格も非常に温和なので、ネオンが他の魚に害を及ぼす心配はありません。むしろ、テリトリー意識の強い魚種の格好のターゲットになりがちです。
上記の様に、基本的には丈夫な魚なのですが、輸入直後は結構バタバタ死んじゃいます。これは、海外のシッパーが一つの袋にやたらめったらネオンを詰め込んで輸出する事に問題があるのだと思います。つまり、日本に輸入されて来た時点ですでに袋の中の水質悪化によりエラや内臓にダメージ受けちゃってる訳で、そうなればいくら我々が購入後トリートメントしてやっても、回復は望めません。いつでも入手可能な魚だけに、ショップに入荷直後は購入を控え、1週間位してから購入するようにしましょう。・・・もっとも、敵もさるもので毎朝開店前に死んだ個体や体調の悪そうな個体は廃棄してますから注意深く観察を(笑)。
また、入手直後によく白点病に罹ります。白点病自体はマラカイトグリーンの含まれた魚病薬で簡単に治療できますが、羅病した個体が幼魚の場合体力的に持たない事があるので、腕に自身がない方はSサイズのネオン・テトラには手を出さない方が無難でしょう。