テーマ:熱帯魚&水草の話(1149)
カテゴリ:熱帯魚
それが一体なぜ今頃?実は、先日某アクアリウム雑誌から原稿執筆の依頼がありまして、「小型バルブ」について書いてくれと頼まれました。その中にスマトラの名前もあったものですから、ついつい懐かしくなって友人と電話の際に「最近、スマトラなんて飼ってないなぁ~。せっかくだからこの機会にまたスマトラ飼育しようかな」と話すと、その友人は「フン」と鼻で笑って次のような驚くべき発言を受話器の向こうでのたまいました。「最近のスマトラなんて、色もボケボケでどうにもならんぞ!しかも、かなりの確率で奇形が混じってる」「はぁ?そりゃ東南アジアで累代繁殖されてるから少々色褪せても仕方ないだろ?」「そういうレベルじゃないんだ!一度自分の目で確かめてみな。」・・・と言う事で、2~3件の行きつけのショップを回って、スマトラの原種とその改良品種を買い求めてきました。 そして、結論!「確かに、現在のスマトラはひどい!ひどすぎるっ!!」先ず第一に、体色が友人の言うようにボケボケです。画像の個体はまだ幼魚なので成魚のような体色は出ていないにしても、この幼魚が素晴しい色彩の成魚に仕上がるとはとても思えません。ブラックラインがぼんやりしているし、地色のベージュの部分もなんだか薄汚れた感じです。これはもう、さかなおやじの写真技術とかそういう次元を通り越して、モデル自体が全然ダメです! そして、更にガビ~ン!なのが奇形の個体が数多く見られること。上の画像は、ノーマル体型のスマトラ幼魚です。この体型で、各ヒレと鼻先が信じられない位に鮮やかなオレンジレッドに染まるのが由緒正しきスマトラってもんです。・・・でもって、下の画像が奇形の個体。見てお判りのように、胴体部分が通常の体型に較べて短いのです。つまりバルーンって事ですね。バルーンモーリーとかバルーンラムとか巷にバルーン系の改良品種は沢山いますし、それがお好きな方も大勢いらっしゃるのは良~く存じ上げております。でもでも、バルーン系の改良品種って、言ってみれば脊椎骨異常なんですよぉ~。もし、体がグラスキャットのように透明なら、その脊椎骨がグジャグジャにねじれているのが見えるはずです。 バルーンと言う改良の是非はここでは問いませんが、問題はなぜここに来て東南アジアで様々な魚のバルーン系改良品種が作出されているかと言うところにあると思われます。かつて、我が国でも水俣の海で多数の魚が奇形になっている事が問題視された事があります。つまり、脊椎骨の異常は重金属や薬害によって引起されるケースが多いのです。 もちろん、ここまで計画的にバルーンが作り出されている以上、卵の発生過程のどこかで意図的に薬や温度調整など何らかの処理を行って奇形を多数作り出し、その中から観賞面から優れた(苦笑)個体を選別して累代繁殖させているのでしょうが、何かまがまがしいものを感じてしまいます。例えば金魚にもランチュウとか出目金とかピンポンパールとか原種のフナとはかけ離れた外見の品種が多数存在しますが、これらは気の遠くなるような年月をかけて作り出されてきたはず。それは、チョコチョコッと小手先のテクニックで作り出してしまってほんとに良いのでしょうか?そのうち、その辺の小川に棲息するメダカがすべてだるまメダカ(バルーン)になっちゃったらどうします?私なら、もう川に入れません(笑) まぁ、別の面から驚きなのはバルーンと言う形質が薬品処理などで一代限りの奇形なのではなく、遺伝的に継続すると言うところにありますけどね。例えば、プラティでもノーマルに見えた両親の子供にも明らかにバルーン気味の個体が出現しますから。うーん、バルーンが苦手なさかなおやじにとってはすごく辛い方向に向かってる気がします。 これから何回か、スマトラの改良品種の紹介と共に改良品種についてチョット考えてみようかなぁ~?・・・と、バルーンスマトラを前に柄にも無く真剣な表情のさかなおやじなのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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