madamkaseのトルコ行進曲

2017/04/02(日)20:44

ハリーチ(金角湾)の夕日を見ながら

プレゼントを頂く(59)

【3月31日・金曜日】  イスタンブール大学の法科の先生、アイシェさんから27日に誕生日祝いのメッセージをいただいたあと、お礼を書いたらそれに更に返事が来て、「由美子さんのご都合がよければ31日の夕方、イスタンブール造船所の隣にあるレストランで、海の景色を見ながら一席設けますので、ささやかですが誕生祝いのお食事をご一緒に致しましょう」と私を招いてくれることになった。  11月の初旬に会ったきりなので、私も会いたいと思い、やりくりを付けて家を出た。出がけにずっと私がそわそわ着替えたりしているので、機会を狙っていたミディエにドアを開けたとたんに脱走され、屋上の方に逃げ出したので、どうしようもなくそのまま放置、通りがかりのタクシーを拾って、5時半ちょうどにレストランの前に到着した。  予約を入れ、早く来て窓際の席を取って待っていてくれたアイシェさんと、5ヵ月ぶりの対面を果たした。このレストランはオスマン朝時代からのハリーチ(金角湾)造船所のすぐ隣で、水際の歴史的な老舗だったそうだ。いまは、大イスタンブール市役所の管轄下に、イスタンブール中に展開する庶民向けの市営レストランとなっており、週末と言うこともあってたいそう賑わっていた。  アイシェさんはまず私に白いチューリップの花束を捧げてくれた上に、手のひらに載るような可愛いメヴラーナ語録の豆本、先月イタリアに旅行した時のレモン酒や、お菓子などをプレゼントしてくれた。夕日がそろそろ傾き初めて、窓から店の中に差し込んでおり、金角湾の向こう岸の丘陵に見える幾つもの歴史的なモスク群が美しく夕焼けに映えていた。  アイシェさんが子供の頃、今は亡きお母さんが連れて来てくれたことがあり、「この店は魚のスープがたいへん美味しいのです」と彼女は、独学で身に付けたという、丁寧な日本語で説明してくれた。  まずはその魚のスープを注文、料理の方はアイシェさんがエンギナール(アーティチョーク、朝鮮あざみ)の煮物と、店のお勧め料理5種類のうちからチキン料理を頼み、私はお店のイチ押し「Kasimpasa sarmasi (カスムパシャ・サルマス=カスムパシャ巻き)と言うのをご馳走して頂くことにした。  これは茹でたほうれん草や溶けるチーズを中味にして、子牛のヒレ肉の薄切りでハンバーグくらいの大きさに巻いて焼いたもので、上にもたっぷりとろけたチーズがかかっている。  スープはアイシェさんの言った通り、評判が高いのがよく分かった。中に入っている魚の切り身はレヴレッキ、スズキの仲間の出世魚で、トルコでは高級魚である。とろみのついたスープは絶妙の味だった。   花束とスープ、既に幸福感いっぱいの私。   アイシェさんも大きな目を細めて、一緒に喜んでくれています。   野菜とチーズを肉で巻いて焼いたカスムパシャ・サルマス、殿方・若者用かも。  メインディッシュは見た目より量が多く、その上、エンギナールも1個食べ、デザートにもターヒン(ゴマをすり潰した液体)入りのボレッキに、ドンドゥルマ(アイスクリーム)を添えたものを半分ずつ食べたのでお腹がいっぱいになった。  食後のサービスのチャイを飲みながら、わが家のあるアパルトマンのカプジュ問題なども話して、4月23日にもう一度調停があり、それで解決するかどうか、今しばらく浮かない状態が続きそうだ、と言うと、アイシェさんは法律の先生なので、「正義は勝ちます」と慰めてくれた。  カスムパシャ地区は、ベイオール区内とはいっても、タキシム広場を頂点とする丘の裾にあり、金角湾に面した低い土地だが下町らしく住宅密集地帯。それだけに交通の便は決して悪くない。バス路線もエミニョニュやタキシム広場に通じており、タクシーも次々と通る。近くにはレジェップ・タイイップ・エルドアン・スタジアムもあり、今をときめく大統領サマの育ったおひざ元なのである。  9時過ぎ、名残惜しいが店を出てタクシー乗り場で見送って貰い、花束を抱いて家に戻るとアパルトマンの表の扉の近くで待っていたらしいミディエ姐さんが鳴きながら近寄って来た。一緒にアサンソール(エレベーター)に乗り、無事に家に戻った。  アイシェさん、どうもご馳走様でした。     madamkaseのトルコ本 「犬と三日月 イスタンブールの7年」(新宿書房) 「チュクルジュマ猫会」 海泡石のパイプやアクセサリーと、「宮古島月桃」の買える店   アントニーナ・アウグスタ  

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