夢みるきのこ

2022/09/09(金)12:10

丹後の海と山こそわがふるさと

きのこ目の日本史(132)

​ ​ゆうべの伊根湾​  故郷をもたない私のやや遅まきの青春時代は、鬼の棲む大江山の彼方に広がる丹後の海と山で育まれた。 ①大江山には京都の大枝から拡大した鬼伝説が伝わり、天女が水浴びをした池をとどめる羽衣伝説とさすらい神とされた天照大神を祀る元伊勢がある。 ②股のぞきの舞台となった天橋立に始まり、半島突端の間人(たいざ)には聖徳太子や麿子王(まろこおう)伝説の生みの親・間人(はしうど)皇后や竹野媛(たけのひめ)伝説がある。 ③さらに戦国切支丹大名・細川夫人のガラシャの隠棲地伝説。 ④海幸彦山幸彦伝説にみられる潮満玉・潮干玉を有し、奥宮に​眞名井の井戸をとどめ、海洋民の祖である海人部の系図を伝える籠(この)神社。丹後一之宮であり、こちらも元伊勢伝承をもつ。 ​⑤浦島太郎伝説の原型をとどめる宇良神社。 ⑥半島の突端近くには秦の始皇帝から逃れ一族郎党を引き連れて来日した方士(キョンシー)・徐福の伝説。 ⑦さらに画俳二道の与謝蕪村の丹後時代を伝える方々の事績跡。  丹後・丹波・若狭は、古代より海原と河川と琵琶湖を通して京・大和と太いパイプでつながっていた。それは海洋民の文化そのものでもあった。  ​舟木郷の奈具神社​  神戸方面から生野銀山を経て但馬出石のアメノヒボコ伝説を探るルートや福知山から山間部を抜け羽衣伝説の終焉地として知られる舟木郷の奈具神社経るルート。綾部から円山川を下り与謝地方、城下町の宮津をめぐり、蕪村の足跡と四明と銘打った彼の山水画を保存する寺院をたずねて半島を一周するルート。これらをさまざまにつなぎながら、釣魚と潜水、きのこ探訪と聖地めぐりで10年余りを過ごした。それから40年、私はある確信をもって<きのこ三昧>の日々を過ごしてきた。  これらがすべて現在の私につながっている。近年、若狭に注目して通い始めたのも、もちろん丹後時代の発展形である。  私に残されたスーパーきのこ時代の貴重な時間は、足掛け50年余りかけてT・T・K(Through The Kinoko きのこを通して)の手法で捉えた不思議な世界を様々な形で表現していきたい。   それが2年後にはじまるきのこ暦第5期、次世代へのささやかな贈る言葉となるだろう。​​

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