ひどい朝。
ひどい朝だった。
ケンタは模試に、ユッキーは卓球の試合に行く準備中。
ケンタが、ユッキーの水筒にアクエリを入れ、
ダンナの水筒にアクエリを入れてくれる途中だった
ケンタ「アクエリ足りんけど、どうしたらええん?」
ダンナ「はぁ?足りんとかありえんやろが!」
しょーもない始まりだけど、そこから喧嘩勃発。
階下に上がって揉み合いになったので、
すぐに上がって仲裁に入ったのだが、
ダンナはケンタの首を絞め、ドアに打ち付けたはずみに
ケンタ右手はガラスに突っ込み、血だらけに…。
やめて!やめてよ!
と中に入るも、腕で首を締め上げているダンナ…
何とか止めたけれど、そこらじゅう血痕だらけ、
右手の二箇所、肉がえぐれて深く切れている…。
ユッキーは顔面蒼白で、動揺して泣き出したが、
試合の集合時間が近づいたので、ダンナが連れて行った。
私は出来るだけの手当てをして、救急病院へ向かった。
傷を洗浄して、レントゲン撮り、縫合…。
7針と3針、縫合してもらった。
他にも、切り傷 擦り傷、首を絞めたあと…。
ケンタは割と気丈で、ジョークも言っていたけれど、
私は生きた心地がしなかった。
思春期息子と、虫の居所の悪かった父親。
今回のことで言えば、多少 生意気な口をきいたか知らないが、
15歳のケンタに非はない。
男同士の喧嘩だから、やって欲しくはないけど、
ある程度殴る蹴るがある可能性も否定は出来ないとは
思いつつも、まさか 首を絞めるなんてことが起こるとは思わなかった。
あんなに動揺させてしまったユッキーは、
今日 初めて全勝して優勝した。
こんなひどい朝だったから、
気持ちを切り替えてやらなければ。
昼前に病院から帰り、ユッキーの試合に駆けつけた。
何事もなかったかのように、
コーチや他所の父母と談笑しているダンナを、
恐ろしいと思った。
家に戻ると、薬を飲んだからか、ケンタは就寝中。
ダンナはと言うと、自分の参加しているサークルの
卓球の練習にいってしまった。
朝 息子の首を絞めて、合計10針も縫う怪我を負わせながら、
よくそんな気になれるもんだと、改めて腹がたつ。
ケンタは、今日の模試を受けるつもりで、
昨日の晩も一生懸命勉強していた。
それをこんな形で、父親が、邪魔をした。
外面よく、自分の趣味だけ独りよがりでやっているダンナには、
殺意しか覚えない。
嫁ぐには、しっかりとした目を持たなければならない。
いくら楽しく、機転の利く人でも、
こんな面があるなんて。
実家から、遠くに離れると不利だ。
もしも実家が近くて、頼れる父母が健在なら、
もうとっくの昔に戻っている。
自分の十分な稼ぎがないと、もっと不利だ。
私に子供たちを養ってやれる十分な稼ぎがあれば、
すぐにでも離婚するのに。
子供たちは、本当に素晴らしい。
母親の私が甘やかしてバカに育っている
どうするんだ?
とダンナに詰め寄られたことがあるが、
ダンナのことは自慢できなくても、
子供たちのことは自慢できる。
とりあえず、今日は記録として。
動揺と疲れで、支離滅裂かも。
ケンタの首を絞められた痕をアップする。
忘れてはいけない。
右手の傷もあるが、えぐいので控える。
もし次に何かあれば、絶対に守らなければならない。
恥ずかしながら、傷害として、連行してもらうことも考えよう。