ビスフェノールAの規制
1962年に発行された、レイチェル・カーソン著『沈黙の春』(新潮文庫,1974年)は、除草剤や殺虫剤DDTなどの化学物質の危険性を人々に啓発した素晴らしい著書ですが、その衝撃からさらに30年の年月を経て、カーソン女史の予言が現実のものとなっていることを具体的に指摘したのが、「奪われし未来」です。 「奪われし未来」では、、生殖能力のみならず感情や性格なども、ほんの微々たる化学物質で影響されると説いています。妊娠した母親の御腹にいる胎児が、環境ホルモンの暴露を受ければ、生まれる前から胎児の脳と体に深刻な影響を及ぼしうるなど、まさに未来や子孫に対する「負の遺産」であることなどを説いている本です。 化学物質の環境ホルモン作用が与える影響の強大さを紹介し現代社会の問題と危険性を広く世に知らしめた名著ですね。 そして、ネットサーフィンをしていて、今日気がついたのですが、ビスフェノールAの規制↓をするのは、奪われし未来が、日本での初版刊行されたのはたしか1997年でしたから、何と10年以上の年月がかかっているのですね。 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/07/h0708-2.html http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kigu/topics/080707-1.html ビスフェノールA(Bisphenol A)はプラスチックのポリカーボネート樹脂とエポキシ樹脂の合成原料です。 ビスフェノールAの生産量の70%がポリカーボネート樹脂に、25%がエポキシ樹脂に用いられています。 ボリカーボネート樹脂およびエポキシ樹脂は、食器、ほ乳ビン、食品缶詰の内部コーティングやびんの蓋、水道管の内張りなどに幅広く使用されていて、これらを加熱した場合に容器などからビスフェノールAが溶出する。 問題はビスフェノールAが動物や人の体内に入り込み、女性ホルモン(エストロゲン)様物質として作用し、生殖異常やガンなどを引き起こすのではないかと疑われている点です。 ビスフェノールAは虫歯の充填物の中にも使用されていたり、私たちの体に直接触れる部分に多く使用されています。 厚生省は溶出するビスフェノールAは微量であり、プラスチック製容器などの使用でただちに健康に障害が出るとは考えられないという結論のもと、規制は控えていました。 しかし、弱いながらもエストロゲン様作用をもつビスフェノールAが溶け出しているのは事実であり、今回動物実験で証明される部分があったため、通達が出たのでしょう。 従来、ビスフェノールAは母体内で分解されやすいことから、胎児への移行はないと考えられていましたが、へその緒から検出されたという研究が発表がなされたりしています。 国が動き出すのは、ビスフェノールAの規制と同じく、長い年月がかかるので、身の危険を感じる事柄があったなら、賢く選択して生きていかないと危ないのです。 お国がやっていることだから、安全で安心だ! 何て言っているのを鵜呑みにして信じていたら、危ない世の中なのです。 信じるものは騙されます。