|
カテゴリ:戦争映画
![]() アナトール・リトヴァク 監督の1966年の作品。 第2次大戦末期、ナチス支配下のパリで娼婦が殺される。犯人はナチス将軍ということで、オマー・シャリフが捜査する。 3人の将軍に、ピーター・オトゥール、ドナルド・プレザンス、チャールズ・グレイ(007 ダイヤモンドは永遠に)が出演した。ワルシャワの街を戦車が破壊するシーンなど、費用を十分にかけた大作だろう。 しかし、ストーリーは歯切れが悪く、盛り上がらない。多分、大戦末期の様子を描きたかったのだろうが、メインの物語がつまらなかったと思う。 ★★★ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
1942年の冬、ナチス占領下のワルシャワで一人の女が惨殺される。
捜査にあたったドイツ軍の少佐は、証人への尋問などから容疑者を三人のナチス将軍に絞り込むが、犯人を特定する前に、パリへと飛ばされてしまう。 それから二年後、ドイツ軍が占領したパリで、またもや娼婦が惨殺された。 二年前に捜査を担当したオマー・シャリフ扮するドイツ軍少佐は、いっそう闘志を燃やし、連続殺人犯を追っていくが--------。 この物語の舞台は、ポーランド、フランス、ドイツと拡がり、時間的な流れも含めてスケールも大きく、それに伴って登場人物も実に多彩で、この忌まわしき時代の混沌が、迫真性を持って描かれ、緊迫感に満ちている。 そして、この映画で描かれるのは、容疑者の将軍の一人であるタンツ将軍(ピーター・オトゥール)の異常ぶりを示す"恐怖の人間像"だ。 戦場にありながら、部下の手袋の染みさえ許さない、この男の世界観においては、隣国の人々もユダヤ人も娼婦もゴミでしかないのだ。 そして、ゴミは一掃されるべきだと妄信している、サイコ的な恐ろしさ。 戦争は、そんな彼の異常性を解き放つ舞台になるのだ。 将軍という地位を利用して、街という街を破壊し、敵を無残にも殺戮し、なおそれでも足りずに、深夜ひそかに女性を求め、惨殺していく。 このサディスト的なタンツ将軍が、パリのルーヴル美術館でゴッホの自画像と対峙するシーンは、まさに背筋も凍るほどの凄さだ。 狂気にかられて、自分の耳を削ぎ落とした直後のゴッホ像は、まるで彼の内面と共鳴しているかのようで、底知れぬ怖さが私の心を射抜いていく。 ピーター・オトゥールの舞台で鍛え抜かれた、鬼気迫る演技は、私の心をつかんで離しません。 そして、この映画の複合的で奇妙な面白さの要因になっているのは、この事件を追うドイツ軍少佐の異様なほどの執拗さだと思う。 彼は上官である将軍たちを少しも恐れず、是が非でも殺人罪で検挙したいとの一念に凝り固まっていて、戦況が自国であるドイツに不利になってきても、意に介さないどころか、国防軍によるヒトラー暗殺未遂事件が起こっても、全く関心を示そうとはしないのだ。 そこには、正義を追求するという以上の何かしら尋常ならざるもの、犯人の異常さとも通底する、ある種の不気味さが感じられるのだ。 このように、この映画は観る角度を変えることで色々な見方の出来る、そんなスリリングな作品でもあるのです。 (2024.02.01 18:13:55)
19580113-mhさん、こんにちは。
おっしゃる通り、出演者はベテランがズラリと揃い、第二次大戦末期を変わった角度から描いています。隠れた佳作だと思います。 (2024.02.02 19:41:58) |