映画は娯楽だ！

いつも上天気

スタンリー・ドーネン監督の１９５５年の作品。ジーン・ケリー 主演のミュージカルで彼は監督も兼ねていたらしい。第2次大戦から帰国した3人の軍人が10年後に同じ酒場で再会する約束をする。「レオン」で、この映画を映していたので見ることにした。ジーン・ケリー がローラースケートで夜の街を踊るシーンは素晴らしい。「雨に唄えば」に匹敵する名シーンだと思う。しかし、ストーリーやその他は大したことがない。せっかくシド・チャリシーが出演しているのに、ケリーとダンスするシーンがなかった。★★★

マエストロ：その音楽と愛と

ブラッドリー・クーパー監督、主演の２０２３年の作品。指揮者、作曲家レナード・バーンスタインの半生を描いたものである。彼の担当した映画で有名なものは「踊る大紐育」と「ウエストサイド物語」だと思うが、その美しいメロディが殆ど紹介されてない。これにはガッカリした。3人の水兵が踊るシーンは「踊る大紐育」だと思うが、原作の素晴らしさは感じられないだろう。また、彼の音楽家としての偉大さが全く伝わってこない。私には単なるニヤけたオジサンにしか見えなかった。これではバーンスタインのファンは気に入らないだろう。

黄金の雨

ノーマン・マクロード監督の１９３６年の作品。ビング・クロスビー主演のミュージカルである。彼の歌は上手だが、ストーリーは何もない。見どころはサッチモだが、1曲しか歌ってくれなかった。「駅馬車」(1939)のドナルド・ミークが出演していた。

夢で逢いましょう

マイケル・カーティス 監督の１９５１年の作品。作詞家ガス・カーンを描いたミュージカルである。ドリス・デイ は若くて美しく、歌うシーンは楽しめる。しかし、主役のダニー・トーマス に魅力がないので、盛り上がらない。私の知っている曲は「Memories」「San Francisco」「Carolina in the Morning」ぐらいか。どれもアル・ジョルスンの歌で聞いたのだが、映画でアル・ジョルスンの扮装をするシーンがあった。ドリス・デイはこの時２９歳だが、２０１９年に９７歳で亡くなった。

ザ・ビートルズ　EIGHT DAYS A WEEK

ロン・ハワード 監督の２０１５年の作品。ビートルズのドキュメント映画である。デビューから大ヒットするまでを貴重な映像で描いている。１９６６年の日本公演も登場する。良く出来た映画だと思うが、私の好きな「ヘイ・ジュード」や「サムシング」の場面はない。また、解散間際のことも描いてほしかったが、それも全くなかった。そういうわけで「エルヴィス」(2022)よりも良いが、クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」(2018)の方が面白いだろう。★★★

エルヴィス

バズ・ラーマン監督の２０２２年の作品。１９７７年に４２歳で亡くなったエルヴィス・プレスリーの物語である、プレスリーの歌が中心ではなく、もっぱら彼の苦労が描かれている。また、マネージャーのトム・ハンクスの出番が多く、メーキャップが気持ち悪い。なので、暗い内容に出来上がっている。「ボヘミアン・ラプソディ」ではクイーンの名曲をたくさん聴けたが、ここでじっくり歌うのは、ラスト近くでの「アンチェインドメロディ」ぐらいだった。もっと彼の歌を聞きたかった。★★★

SING/シング: ネクストステージ

ガース・ジェニングス監督の２０２１年の作品。「SING2」である。前作と同じメンバーが登場し、アニメーションはカラフルで美しいので、とても楽しい映画だとは思う。しかし、ストーリーは平凡で、今回はただ歌っているだけという感じがした。また、前作では私の知ってる曲が結構あったので楽しめたが、今回はエルトン・ジョンの「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」とバカラックの「小さな願い」ぐらいだった。だから、ラストも盛り上がらなかった。

ウエスト・サイド・ストーリー

スティーヴン・スピルバーグ 監督の２０２１年の作品。１９６１年版のリメイクである。オリジナルにはソウル・バスの斬新なデザイン、ナタリー・ウッドやジョージ・チャキリスの大スターのオーラがあった。しかし、今作はCGが発達しただけで、感動するものが何もない。ダンスシーンも、役者も、カメラワークもすべて劣っている。これなら「ララランド」の方が数倍良いと思う。

ホワイト・クリスマス

マイケル・カーティス監督の１９５４年の作品。ビング・クロスビーとダニー・ケイが主演するミュージカルである。久しぶりに見たが、大型液晶ＴＶで見るのは初めてかもしれない。画質もカラーも素晴らしく、大変楽しい映画である。主題歌以外の曲も良いものが多く、飽きることはない。共演のヴェラ・エレン のダンスは一流であり、無名の ジョージ・チャキリスが相手をすることも見逃せないだろう。★★★★

踊る不夜城

ロイ・デル・ルース 監督の１９３７年の作品。現代は「BROADWAY MELODY OF 1938」で、ブロードウェイ・メロディ・シリーズの第３作となる。主演はエリノア・パウエルで、見事なダンスを披露してくれる。しかし、これといった個性がない内容で、途中から登場するジュディ・ガーランドの方が目立ってしまった。彼女が歌う「You Made Me Love You」が印象に残った。

ベル・オブ・ニューヨーク

チャールズ・ウォルターズ 監督の１９５２年の作品。フレッド・アステア と ヴェラ＝エレンが主演するミュージカルである。ヴェラ＝エレン が出演した作品は少ないので、貴重だと思う。彼女はダンスが上手で、アステアの動きとピタリと合わせ、職人技を感じる。しかし、ストーリーが殆どないことと、歌曲に有名なものがないので、大変凡庸な映画になってしまったと思う。

ペペ

ジョージ・シドニー 監督の１９６０年の作品。カンティンフラスがメキシコからハリウッドに行く、というストーリーである。オールスターキャストで、ビング・クロスビーや、サミー・デイヴィス・Ｊｒがチラリと出演し、歌を歌うのは楽しい。しかし、全体的には薄っぺらい感じがする。シャーリー・ジョーンズのダンスシーンは見事だった。

夜の豹

ジョージ・シドニー 監督の１９５７年の作品。フランク・シナトラ、キム・ノヴァク、リタ・ヘイワース主演のミュージカルである。タイトルバックでは リタ・ヘイワースがトップだった。冒頭は「Bewitched」をバックにサンフランシスコ湾が出てきて、ゴージャスな気分を味わえる。カラーも大変美しい。シナトラは何曲も歌うが、私が好きな曲はなかった。しかし、中盤で、ヘイワースが「Bewitched」、ノヴァクが「マイ・ファニー・バレンタイン」を歌ってくれる。そして、終盤で「Bewitched」に乗せた３人のダンスシーンが始まると思ったら、途中で終わってしまった。ストーリーはつまらないので、ラストのミュージカルシーンだけでも、十分に作ってほしかった。ジョージ・シドニー 監督では、「アニーよ銃をとれ」(1950)、「愛情物語」(1956)がある。

踊る大紐育（ニューヨーク）

ジーン・ケリー、スタンリー・ドーネン監督の１９４９年の作品。水兵のジーン・ケリー、フランク・シナトラがニューヨーク観光し、アン・ミラー、ヴェラ＝エレンと恋仲になるというストーリーである。冒頭で、レナード・バーンスタインのテーマ曲をバックに主演の３人が歌うシーンは素晴らしいと思う。ニューヨークのロケが美しい。しかし、それ以降はスタジオ撮影となり、音楽もダンスも平凡になってしまった。★★★

くちびるに歌を

三木孝浩 監督の２０１４年の作品。長崎県の小島の中学校に、音楽教師の新垣結衣がやってくる、というストーリーである。2013.12.26に小説を読んだが、つまらなかったので途中で止めた記憶がある。映画もストーリーはつまらなく、新垣結衣のわざとらしい演技の嫌な女も気に入らない。しかし、終盤のコンサートからラストシーンまでは感動してしまった。新垣結衣のピアノも、相当練習したようで、運指は音楽にあって動いていた。★★★

キャッツ

トム・フーパー監督の２０１９年の作品。イギリスの舞台ミュージカルの映画化である。私は舞台を見てないのだが、舞台版はとても良いらしい。映画は、主人公のフランチェスカ・ヘイワードが大変可愛らしく、クラシックバレエも上手だと思う。しかし、それだけでは地味なので、ジュディ・デンチ、ジェニファー・ハドソン、テイラー・スウィフトを出演させたが、効果はなかった。例えば、ジェニファー・ハドソンが名曲「メモリー」を歌うのだが、盛り上がらなかったと思う。★★★

イエスタデイ

楽聖ショパン

チャールズ・ヴィダー監督の１９４４年の作品。ショパンの伝記映画である。彼が生きていた時代背景を描いているのが興味深い。また、彼の名曲をたくさん聴く音ができる。しかし、全体的にコメディタッチで、うわべだけを描いたようだ。リストや恋人ジョルジュ・サンドも登場するが、関係が良く分からなかった。

ニューヨーク･ニューヨーク

マーティン・スコセッシ監督の１９７７年の作品。サックス奏者ロバート・デ・ニーロとライザ・ミネリの恋愛物語である。ライザ・ミネリの歌とダンスは素晴らしい。知っている曲が少ないのは残念だが、ラストの主題歌はとても良かった。しかし、ストーリーはつまらない。デニーロのいい加減な性格は好きになれないし、ライザ・ミネリも美人ではない。デニーロのサックスも吹き替えのようなので、どうでもいい。

蜜蜂と遠雷

石川慶 監督の２０１９年の作品。４人の天才が、ピアノコンクールで対決するというストーリーである。のはずだが、映画はピアノ演奏のシーンが少なく、訳が分からない。私の嫌いな、手振れカメラシーンも多用している。2017.06.30に原作小説を読んだが、結構面白かったと記憶している。そんな激しいピアノの戦いが全く感じられなかった。

巴里のアメリカ人

ヴィンセント・ミネリ 監督の１９５１年の作品。アメリカ人の画家ジーン・ケリー が、化粧品店員の レスリー・キャロン と恋愛関係になるというストーリーである。レスリー・キャロンは若くて、大変かわいらしい。ジーン・ケリーはいろいろダンスするが、あまり感動はしない。ラストでガーシュインの「巴里のアメリカ人」をバックに長いダンスシーンがあるが、結局これをやりたかったのだと思う。舞台はパリだが、地元のロケはなく、すべてスタジオ撮影だった。だから、パリのムードは全く感じられない。★★★

ハートビート

マイケル・ダミアン 監督の２０１６年の作品。バレエダンサーのキーナン・カンパと、バイオリニストのニコラス・ガリツィンの恋愛映画である。この主演２人はつまらないのだが、共演している連中のヒップホップダンスの素晴らしい。彼らの踊りを見るだけで、この映画の価値は十分あると思った。強いて言えば、音楽に魅力がないのが残念である。また、「ある日どこかで」(1980)のジェーン・シーモアや、日本人女優のソノヤ・ミズノが出演しているのが面白い。★★★★

ロケットマン

デクスター・フレッチャー 監督の２０１９年の作品。エルトン・ジョンの伝記映画である。この監督は「ボヘミアン・ラプソディ」の制作をしていて、同様なヒットを狙ったのだと思う。エルトン・ジョンの名曲をバックに、ダンスを交えたミュージカル・シーンは楽しい。また、イギリスのムードを存分に味わえるのも面白い。ただ、歌は彼自身が歌ってないので、私の好きな「タイニー・ダンサー」のシーンはガッカリした。また、ホモのラブ・シーンは気持ちが悪く、ラストも「ボヘミアン・ラプソディ」のような感動はなかった。★★★

ワン・フロム・ザ・ハート

フランシス・フォード・コッポラ 監督の１９８２年の作品。恋愛ミュージカル映画である。CGではなく、模型を作った豪華特撮が見どころである。しかし、ストーリーも歌曲も退屈で、すぐに飽きてしまった。コッポラは、「ゴッドファーザー」1972、「地獄の黙示録」1979がある。

アリー/ スター誕生

ブラッドリー・クーパー監督、主演の２０１８年の作品。売れっ子歌手ブラッドリー・クーパーが酒場でレディー・ガガと会い、恋愛関係になる。その後、ガガが人気となり、クーパーはアル中になるというストーリーである。見どころはレディー・ガガの歌唱シーンだろうが、彼女らしい派手な歌は少ない。「ボヘミアン・ラプソディ」ではクイーンの素晴らしい歌曲が聞けた。「ララランド」では素敵なダンスシーンがあった。しかしこの映画ではどちらもないし、ストーリーも退屈に感じた。主題歌の「SHALLOW」もどうでもいい曲だろう。

ラ・ラ・ランド

デイミアン・チャゼル監督の２０１６年の作品。2018.02.01でも見たが、その時は好きになれなかった。中盤で、ライアン・ゴズリング とエマ・ストーンがケンカを始め、最後は別れてしまうのが、どうも変なストーリーだと思った。音楽もついても、主題歌は良いのだが、エマ・ストーンがそれを歌わないのは残念だ。今回、ＴＶで放送されたので観たが、そのストーリーは分かっていたので、逆に良かった。前半のミュージカルシーンは良くできているし、ラストの２人の切ない感情も、今回は感動した。このストーリーを受け入れれば、面白い映画だと思う。★★★★

ボヘミアン・ラプソディ

ブライアン・シンガー監督の２０１８年の作品。クイーンのリード・ヴォーカル、フレディ・マーキュリーの半生を描いたストーリーである。ブライアン・シンガーは「ＸーＭＥＮ」のイメージが大きいが、ここではサッパリした演出となっている。大がかりなＣＧは群衆シーンなどで少しだけ使われた。クイーンの曲は気取った感じがして、あまり好きではなかったが、映画の中のクイーンのメンバーは気取らずに親しみがあった。フレディ・マーキュリーの生活や、メンバーとの確執など、映画の内容はあまり面白くはない。しかし、ラストのコンサートは大変感動した。この映画が今年のアカデミー賞を取ってほしいと思った。★★★★

羊と鋼の森

橋本光二郎 監督の２０１７年の作品。宮下奈都の同名小説の映画化で、ピアノ調律師の物語である。小説は2016.05.01にコメントしたが、私は好きになれなかった。しかし、映画はとても良くできていると思った。まず、主演の山崎賢人の若くて素直な演技がよい。上白石姉妹のピアノタッチも本物らしくて良かった。そして、久石譲と辻井伸行の音楽が感動的である。ピアノの調律で、明るい音にするとか、響きのある音にするとかいうのは、嘘くさくて気に入らないが、情感あふれる良い映画だった。★★★★

ステイン・アライブ

シルヴェスター・スタローン監督の１９８３年の作品。「サタデー・ナイト・フィーバー」(1977)の続編ということだが、別ものと考えた方がいい。何と監督がスタローンで、冒頭でチラッと顔を見せ、笑える。ジョン・トラヴォルタは恋人にシンシア・ローズがいるが、フィノラ・ヒューズと浮気するというストーリーである。ストーリー、音楽、ダンスとも、「サタデー・ナイト・フィーバー」(1977)には遠く及ばない。シルヴェスター・スタローンの弟が出演していたが、トラヴォルタが彼をボロクソにけなすシーンが面白かった。★★★

サタデー・ナイト・フィーバー

ジョン・バダム監督の１９７７年の作品。ジョン・トラヴォルタがディスコで踊るというストーリーである。彼のダンスは素晴らしく、ビージーズの歌も名曲ぞろいだ。単に歌って踊るだけでなく、ニューヨーク、ブルックリンの貧しい生活も描かれている。本当に面白い映画だと思うが、ラストは上手にまとまらなかった。★★★★★

人生は狂詩曲（ラプソディ）

ヴィンセント・バル監督の２０１４年のベルギー映画。吹奏楽団のコンテストと、恋愛を描いた内容である。ベルギー映画というのは滅多に見たことがないが、ヨーロッパのムードを存分に味わえて面白い。アメリカ映画でCGをたくさん使ったミュージカル「グレイテスト・ショーマン 」とは異なり、軽いタッチが良いと思う。知っている俳優は１人もいないが、楽曲も良いし、ミュージカルが好きな人にはオススメの作品だろう。★★★★

グレイテスト・ショーマン

マイケル・グレイシー監督の２０１７年の作品。１９世紀のアメリカで、サーカスで成功した実在の人物、フィニアス・テイラー・バーナム（1810～91）をヒュー・ジャックマンが演じた。歌曲は「ラ・ラ・ランド」のベンジ・パセック と ジャスティン・ポール が担当し、たくさんの美しい曲を作った。ジャックマンは格好いいが、共演のザック・エフロン 、 ミシェル・ウィリアムズ 、ゼンデイヤ 、 キアラ・セトル が、見事な歌と踊りを披露する。私は「ラ・ラ・ランド」よりも、こちらの方がずっと良いと思ったが、アカデミー賞には殆ど評価されなかった。CGが多く、障がい者を扱ったからだろうか。最近の新作では１番感動した作品になった。★★★★

ボーイ・ソプラノ　ただひとつの歌声

フランソワ・ジラール監督の２０１４年の作品。孤児の少年が、国立少年合唱団で活躍するというストーリーである。ダスティン・ホフマンが出演しているので観た。鬼教官を上手に演じていた。単純なハッピーエンド物語だが、それはそれで良いと思った。コーラスシーンも美しい。キャシー・ベイツやデブラ・ウィンガーが出演していて、懐かしかった。★★★★

バイ・バイ・バーディー

ジョージ・シドニー監督の１９６３年の作品。アン＝マーグレット、 ディック・ヴァン・ダイク、ジャネット・リー が出演するミュージカルである。冒頭の、アン＝マーグレットの主題曲、中盤の集団ダンス、又、ディック・ヴァン・ダイクとジャネット・リー のダンスなど、ミュージカルシーンはよくできている。しかし、メインとなるアン＝マーグレットの恋愛物語はつまらない。結局、アン＝マーグレットだけでは物足りないので、ベテラン2人を加勢しただと思うが、別ストーリーなのでまとまらなかった。

オール・ザット・ジャズ

ボブ・フォッシー監督の１９７９年の作品。ミュージカル演出家ロイ・シャイダーの物語である。冒頭の「On Broadway」がバックに流れるオーディションのシーンは素晴らしい。その後もダンスシーンは個性的で見応え十分である。しかし、ストーリーは暗くて楽しくない。大体、主演のロイ・シャイダーが病的なのが良くない。手術シーンも気持ちが悪い。高級なミュージカルという気はするが、暗いミュージカルはあまり好きになれない。子役の女の子が可愛らしかった。★★★

シング

ガース・ジェニングス監督の２０１６年の作品。イルミネーション・エンターテインメントが制作したアニメで、ミニオンがヒットした。ディズニーのＣＧアニメは顔が皆同じようにみえるが、こちらは登場人物が個性的で表情豊かである。その辺りの技術はディズニーを上回っているようで、愛着が感じられる。ただ、ストーリーはあまりないので退屈である。また、ヒット曲をたくさん歌うのだが、皆１０秒ぐらいで終わってしまうので、ストレスがたまる。しかし、終盤で主演者たちが１曲ずつフルコーラスを歌う場面は素晴らしい。特に、「Shake it off」と「くよくよするな」は私の好きな歌なので、感動した。★★★

ラ・ラ・ランド

デイミアン・チャゼル監督の２０１６年の作品。ライアン・ゴズリング とエマ・ストーン主演の、恋愛ミュージカルである。冒頭の高速道路のダンスシーンや、主演2人のタップダンスなど、ミュージカルシーンはカラフルで楽しく見応えがある。また、流行のワンショット撮影をふんだんに取り入れ、視覚的に高級感がある。しかし、ストーリーは退屈だ。また、楽曲に良いものがない。「アナと雪の女王」には素晴らしい曲が何曲もあったが、こちらに１曲も無いのは駄目だろう。今年のアカデミー賞では注目されているようだが、日本ではヒットしないと思う。

マイ・フェア・レディ

ジョージ・キューカー監督の１９６４年の作品。言語学者レックス・ハリソンが、言葉使いが悪いオードリー・ヘプバーンを教育するというストーリーである。タイトルバックの花と、名曲メドレーは素晴らしい。この映画から生まれた名曲を聴くのは大変喜ばしいことだ。しかし、ストーリーは単調で、スタジオ撮影のため、感動するシーンなどはない。また、音楽は良くてもダンスシーンもないので、ミュージカルとして見どころもない。有名な大作映画だが、あまり感心できない内容だ。

MILES AHEAD／マイルス・デイヴィス 空白の５年間

ドン・チードル監督、主演の２０１５年の作品。私はドン・チードルが好きだが、ジャズの帝王マイルス・デイヴィスに扮するのは無理だ。本物の方が数倍カッコいい。マイルス・ファンは見てられないと思う。

バード

クリント・イーストウッド監督の１９８８年の作品。ニックネーム「バード」のサックス奏者、チャーリー・パーカーをフォレスト・ウィテカーが演じた。当時のジャズのムードが伝わってくるのは良いと思った。しかし、それ以外に面白い所は感じられない。使われている曲も即興演奏ばかりで分かりにくいし、ストーリーも暗くて楽しめない。やはり、音楽映画は楽しくないと駄目だと思った。

サンシャイン／歌声が響く街

デクスター・フレッチャー監督の２０１３年の作品。スコットランドの首都エジンバラを舞台にした恋愛ミュージカルである。アイルランドのミュージカルで『ONCE ダブリンの街角で』(2007)があったが、歌曲とダンスシーンではこちらが上回っていると思う。ストーリーは数組の恋愛を描いたもので、ありきたりだが、ミュージカルシーンはすばらしい。私はスコットランドに思い入れがあるせいかもしれないが、大変感動した。ミュージカル映画が好きな人に観てほしい１本である。★★★★

５つの銅貨

メルヴィル・シェイヴルソン監督の１９５９年の作品。コルネット奏者ダニー・ケイの物語である。大画面ワイドＴＶで観るのは初めてだが、カラーが大変美しい。タイトルバックから、サッチモのナイトショーまでは最高のミュージカルだと思う。途中、ダニー・ケイのくだらないギャグがあって笑えない。映画は２時間あるのだが、このギャグを削って２時間弱の作品にしてほしかった。後半は娘の病気がテーマになるが、このストーリーにも泣かされた。シェイヴルソン監督には私の大好きな「ナポリ湾」(1960)がある。★★★★★

セッション

デイミアン・チャゼル監督の２０１４年の作品。音楽大学で、ドラマーのマイルズ・テラーが教授Ｊ・Ｋ・シモンズにしごかれるというストーリーである。ビッグバンドジャズをテーマにしたことは、大変珍しいだろう。しかし、ドラムの練習だけではストーリーが寂しいので、キチガイ教授が登場することになった。Ｊ・Ｋ・シモンズのモーレツぶりはアカデミー賞助演男優賞を得たが、私は気に入らない。ラストの演奏は素晴らしいかもしれないが、ドラムソロは長すぎると思う。ビッグバンドジャズが好きな人は少しは楽しめるかもしれないが、そうでない人には大変退屈な映画だろう。

上流社会

チャールズ・ウォルターズ監督の１９５６年の作品。ビング・クロスビーとグレイス・ケリーは離婚したが隣に住んでいる。クロスビーはサッチモを呼んでパーティーをし、ケリーの結婚式にシナトラが新聞記者として来るというストーリーである。ストーリーはどうでもいいので、この歌手たちに歌ってほしいのだが、見せ場はグレイス・ケリーの水着シーンというくだらない内容である。５０年代後半からミュージカル映画が衰退し、ダンスよりも女性の色気で勝負するようになった典型的な作品だろう。これだけ凄い歌手が共演するのだが、全く盛り上がらない映画だった。

歌え！ドミニク

ヘンリー・コスター監督の１９６６年の作品。ベルギーの修道女デビー・レイノルズの作った歌がヒットするというストーリーである。この歌は私が子供の時聞いたことがあり、日本語訳でもヒットしたようだ。この主題曲をバックにしたアニメのタイトルバックは楽しくて素敵だ。しかし、内容は地味に感じる。デビー・レイノルズがギター１本で歌うのはパンチがなく盛り上がらない。この名曲をもっと豪華に演奏し、ミュージカルダンスでもやってほしかった。無名のキャサリン・ロスが登場し、その荒れた家族を助けるのだが、こちらも単調になった。作品の内容は事実と全く異なるようなので、もっと派手なミュージカルにするべきだっただろう。

四月のパリ

デヴィッド・バトラー監督の１９５２年の作品。ドリス・デイとレイ・ボルジャーが主演のミュージカルである。題名からパリが舞台だと思ったら、パリに着くまでの客船のシーンが大部分だった。パリに着いてからもロケはなく、殆どが屋内シーンなのが残念である。ドリス・デイの歌う曲も、有名なものは「April in Paris」ぐらいで、他は知らなかった。良かった点は、レイ・ボルジャーのタップダンスぐらいだろう。

四十二番街

ロイド・ベーコン監督の１９３３年の作品。ウォーナー・バクスターが新作ミュージカルショーを成功させるために、新人ダンサーを特訓するというストーリーである。１９３３年の映画としては現代的な作りで、ドラマとしては古臭く感じない。しかし、肝心のミュージカル場面には、あまり魅力がない。「トップハット」(1935)のアステアの踊りに比べると見どころが感じられないのである。もっとスタンダードな曲を使ったら良かったと思う。

ザッツ・ザ・ウェイ・オブ・ザ・ワールド

シグ・ショア監督の１９７５年の作品。音楽プロヂューサーのハーヴェイ・カイテルは、アース・ウィンド＆ファイアーを売り出す準備をしていたが、会社からの命令で実力のない歌手の世話をするというストーリーである。音楽業界の裏側を描いた作品で、それだけでも結構面白い。しかし、見どころは何といっても、アース・ウィンド＆ファイアーの音楽だろう。「THAT'S THE WAY OF THE WORLD」「REASONS」など、ヒット曲をバックに聞くことができる。この映画を観て、ハーヴェイ・カイテルが好きになった。★★★

虹の女王

デヴィッド・バトラー監督の１９４９年の作品。ジューン・ヘイヴァー主演のミュージカルである。私は彼女の作品を観るのは初めてだ。彼女は小柄だが、明るい笑顔が素敵だった。前半の足の長いレイ・ボルジャーとタップダンスは見ごたえがあり、ミュージカルファンなら感激すると思う。そして主題歌「Look for the silver lining」を使った大団円も見事だった。この歌は初めて聴いたが良い歌だと思った。ただ、中盤から恋人役のゴードン・マクレーが登場してからは退屈になった。実話らしいのでストーリーに加えたようだが、作品としては余分である。ＤＶＤはジュネス企画発売のものだが、カラーが少し悪いのが残念だ。名作とはあまり思えないが何故か記憶に残したい作品だ。双葉十三郎氏も★★★★だったそうである。久しぶりにクラシック・ミュージカルで感動した。★★★★

レ・ミゼラブル

トム・フーパー監督の２０１２年の作品。ヒュー・ジャックマン、 ラッセル・クロウ、 アン・ハサウェイ、 アマンダ・セイフライドが自ら歌う大作ミュージカルである。全セリフが歌で、３時間半もあるので途中疲れる気もした。冒頭のＣＧシーンはスペクタクル史劇のようで違和感がある。ストーリーは登場人物が次々に死んでいくので暗くて重い。特に子供を殺すシーンは気分が悪い。スーザン・ボイルで大ヒットした「夢やぶれて」が何度か歌われるが、あまり印象に残らない。そういう訳でミュージカル映画としてはあまり感心できないが、良い映画を作ろうとした心意気が感じられる作品だろう。ヒュー・ジャックマンは泥まみれになって演技したし、アン・ハサウェイも髪を切り売春のシーンもこなした。ただ、売春はやりすぎだし、彼女は美しくないのが残念だ。この映画が今回のアカデミー作品賞をとっても、そんなに悪い気はしないだろう。★★★。