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「まえがき」に書かれている内容から察するに「授業中に動き回る子ども」など、落ち着きのない子どもへの対処に不安を抱いている周囲の大人(保護者や先生)向けの導入本なのだろう。梅ヶ丘病院だけでなく、発達障害の診断を出せる小児科はいまどこも予約でいっぱいなのだそうだ。
発達障害、足らぬ医師 受診者増加、初診まで3年待ちも(asahi.com) そんな小児医療の状況下で、この本の役割は大きいのだろう。
ただ、わたしにとっては「わかりにくい」と感じられる点が少なくなかった。
治療というのは、普通、医療行為のことだと理解されているのではないだろうか。 読んでいて「ここで言うところの治療というのは子どもの周囲が変わること&投薬だよね?ってことは、医者が子ども本人に施す医療行為はないってことだよね?」と行間を読む読解作業が結構あってわかりにくかったのだ。 この本を一般的なソフトウェアマニュアル(あるいはヘルプ)と比較するのは変なんだろうとは思うけど、わたし的には似てるなあと思う。パソコンを教えていると「エクセルやワードでこういう機能はないのかしら?」と質問されることがある。ソフトウェアの解説本やヘルプには、機能の解説や使い方は載っていても「こういうことはできません」とは書いてない。 そしてこの本は、ドクターが監修している本なんだけど「医者には、これはできないよ」ということがはっきり書いてないのだ。「不安を抱える人をドクターが突き放す」ような表現になることを極力避けているのかもしれない。でもやはり、遠まわしにヤンワリ表現しないでハッキリ「病院に行く以外にも相談窓口はたくさんあるから、うまく利用して。親が外部のサポートを受けながら子どもの特性を学習して、子どもの環境や子どもへの対応を変えるといいのよ」言ってくれたらもっとわかりやすいのにな。まあ表現の好き嫌いレベルの話なんですけどね。 イラストは親しみやすく、ページの構成も読みやすく工夫されていて、文字ばかりの解説書を読むよりはるかに読みやすい。「はじめてなら、これを読んでみて」と紹介しやすい本。 でも曖昧な表現から意図を読み取るのが苦手な人だと「わかったようでよくわかんない本」かも。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Jul 12, 2006 07:26:10 PM
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