父の声を聞くのが嫌悪感だった日々
真夜中、部屋でまどろんでしまっていると、「おぉーい、〇〇(私の名)! おぉーい、〇〇!」と、襖の向こうから父の声。絞り出すような、大きな声。(父はもともと耳が聞こえないので、音量がわからないこともあり)また何を頼むんだ…(やれやれ)と思って動き出そうとすると、「おぉーい。まだ起きてるのか。無理するなー!」と父。…あ、私の身体を案じてくれていたのか。そんな、一年前まで繰り広げられていた真夜中の出来事が、ふと夜中に蘇る。お父さん、ダミ声の大きな声で私を呼ぶ声が、また何を頼まれるのか…と嫌悪感となってしまっていた私を許してください。いや、許されないな。ごめんね、お父さん。あんなに聞くのが嫌だったお父さんの声が、いまこんなに聞きたいよ。写真は、先日行った庭園で、カタクリ。一眼を担いで撮りに行っていたここ数年のなかで、こんなに群生して咲いているのを見たのは初めて。カタクリ撮っている時間があったら、お父さんの大切な話を聞いてあげていればよかった。