テーマ:ペットとの思い出(21)
カテゴリ:ペットとの思い出
グリコがK牧場へ売られてから1ヶ月か2ヶ月程経ったある日、先生と生徒数名で
K牧場を訪問する事になった。久しぶりのグリコとの再会で、私はまるで 好きな人に会いに行くかの様にドキドキと緊張していた。 トラックの荷台に乗りこみ、牧場へ向かう。先生が牧場主と話込んでる内に 私達はグリコを探す。牧場は意外に狭く、牛もほんの数頭しか見当たらない。 その中からグリコの面影を探す。 誰かが「あれ、グリコじゃない!?」と指をさす。 確かにグリコに似てる。そしてその他の牛の中ではグリコと同じ模様、 同じ斑点の牛はいない。 その牛は妙に大きく、毛もボサボサして荒々しい印象が漂っていた。 ほんの数ヶ月の内にグリコはこんなにも成長したのか!?しかも妙にワイルドに なってるけど・・ほんとにこれグリコか?! その牛はうちらを横目で見ながら、ただひたすらに乾草を食べている。 その目がとても冷ややかで、知らない人を見る目だったのがとても悲しかった。 もう私を忘れてしまったのか・・・。 牛の記憶力がなんぼのもんだかを知らなかったが、こんなにもあっさりと 忘れられるとは。結構ショックだった。 手を触れようとすると軽くよけられた。それでもグリコが元気そうに モリモリとエサを食べてる姿を見て、涙が溢れてきた。ちょっとだけ泣くつもりが いつの間にか大号泣になってしまった。久しぶりにグリコに会えた喜びと、 いとも簡単に忘れられた悲しみが入り交ざった涙だ。 散々泣いた後、学校へ戻ってくる。そこで初めてK牧場はもう1つ牛舎があり、 ものすごく広いという事を聞かされた。更にもう1つ、グリコはさっき私達が 訪れた牛舎にはいないという情報が入った。 え!!じゃああのワイルドちゃんは誰!? そばで一部始終を見ていた生意気な後輩の男の子が腹を抱えて大爆笑を始めた。 なんと私は初対面の牛に向かって泣いていたのだ。 小憎らしい後輩に散々笑われ、ちくしょーこいつ覚えてろよ~と腹立ちながらも あまりにまぬけなので、その場で何も言い返せなかった。 道理であの牛は大きすぎた訳だ・・。 後日、本物のグリコに無事に会う事ができた。ひと目でグリコとわかった。 グリコも私達が近づくや否や、「ウモーッウモーッ」と少し大人の鳴き声で 叫び始めた。どっから見ても100%グリコだ。 知らない牛舎で知らない牛達に囲まれ、グリコは少し小さく見えた。 (いや、実際他の牛よりは小さいんだけどね) もうお散歩してももらえる事もなく、グリコグリコと名前を呼んでもらえる 事もなく、グリコは本当の家畜になっていた。 次、いつグリコに会えるかわからない。私はみんなに急かされるまで グリコに触れていた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年02月15日 15時09分28秒
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