まひまひのひつまぶし　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　～フラメンコも踊るIDDM～

[ペットとの思い出] カテゴリの記事

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• 猫の脱毛

  うちのクルミは若干長毛が混ざってるので、この時期毛が抜ける抜ける！ファサファッサと毛を落としながら歩かれてるので、こりゃたまらんと毎週土日にブラッシングをしている。今日の収穫は右の写真。先週もこれと同じかそれ以上の収穫があった。あんなちっこい体にこれだけの余分な毛がくっついてるとはとても思えない。というより、これだけ毛をむしりとってるんだから、体が半分くらいの大きさになってもおかしくない様な気がする。くるみはブラシが大好きで、とかしてやると嬉しくて嬉しくてもうどうしていいのかわかんないと言わんばかりの妙な動きをする。が、1時間くらい経ったところでいい加減嫌に嫌になったらしく今度はひととかしする度に「みゃん！みゃん！」と怒り始めたのでもうやめた。こりゃ夏までにまだまだまだまだ抜けるだろうなぁ。一回り小さくなりそうだ。

  2005年05月15日

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• うちの毛糸玉

  うちの胡桃（くるみ）はちょっと長毛種が入ってるのでこの時期は毛が抜ける抜ける・・。濡れ手で触ると手に毛がべったり付く。GW暇だったので、ベランダに出てブラッシングしてやると、やってもやってもやってもやっても永遠に抜け毛がおさまる気配がない。直系7cmくらいの毛糸玉が4つくらい出来てしまった。こりゃどうにかならんものかと、今度はシャンプーしてみた。最初はいやんいやんしてたんだけど、すすぎのあたりから観念したのか気持ちよくなったのか、くるみは突然「ぼけーーー・・」とし始め、何の抵抗もなく、心配になる程大人しくなってしまった。すすぎながらもブラッシングし、乾かす為にもう一度ベランダへ連れ出し、日の光にあてがった。どうも毛が気に入らないらしく、ペロペロペロペロなめては「ペペペペペッ」と毛を吐き出してる。あんまり毛をなめると後でゲーゲーするので、私が代りにブラシをかけてやるが、また毛糸玉が4つくらい出来てしまった。ダメだ。いくらやってもキリがない。このまま続けたらこの子はいつかハゲになる！と思って諦めた。全体的に少し小さくなったくるみはひたすらにペロペロペロペロ身づくろいに精を出していた。

  2005年05月05日

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• グリコ　～まぬけな再会～

  グリコがK牧場へ売られてから1ヶ月か2ヶ月程経ったある日、先生と生徒数名でK牧場を訪問する事になった。久しぶりのグリコとの再会で、私はまるで好きな人に会いに行くかの様にドキドキと緊張していた。トラックの荷台に乗りこみ、牧場へ向かう。先生が牧場主と話込んでる内に私達はグリコを探す。牧場は意外に狭く、牛もほんの数頭しか見当たらない。その中からグリコの面影を探す。誰かが「あれ、グリコじゃない！？」と指をさす。確かにグリコに似てる。そしてその他の牛の中ではグリコと同じ模様、同じ斑点の牛はいない。その牛は妙に大きく、毛もボサボサして荒々しい印象が漂っていた。ほんの数ヶ月の内にグリコはこんなにも成長したのか！？しかも妙にワイルドになってるけど・・ほんとにこれグリコか？！その牛はうちらを横目で見ながら、ただひたすらに乾草を食べている。その目がとても冷ややかで、知らない人を見る目だったのがとても悲しかった。もう私を忘れてしまったのか・・・。牛の記憶力がなんぼのもんだかを知らなかったが、こんなにもあっさりと忘れられるとは。結構ショックだった。手を触れようとすると軽くよけられた。それでもグリコが元気そうにモリモリとエサを食べてる姿を見て、涙が溢れてきた。ちょっとだけ泣くつもりがいつの間にか大号泣になってしまった。久しぶりにグリコに会えた喜びと、いとも簡単に忘れられた悲しみが入り交ざった涙だ。散々泣いた後、学校へ戻ってくる。そこで初めてK牧場はもう1つ牛舎があり、ものすごく広いという事を聞かされた。更にもう1つ、グリコはさっき私達が訪れた牛舎にはいないという情報が入った。え！！じゃああのワイルドちゃんは誰！？そばで一部始終を見ていた生意気な後輩の男の子が腹を抱えて大爆笑を始めた。なんと私は初対面の牛に向かって泣いていたのだ。小憎らしい後輩に散々笑われ、ちくしょーこいつ覚えてろよ～と腹立ちながらもあまりにまぬけなので、その場で何も言い返せなかった。道理であの牛は大きすぎた訳だ・・。後日、本物のグリコに無事に会う事ができた。ひと目でグリコとわかった。グリコも私達が近づくや否や、「ウモーッウモーッ」と少し大人の鳴き声で叫び始めた。どっから見ても100％グリコだ。知らない牛舎で知らない牛達に囲まれ、グリコは少し小さく見えた。（いや、実際他の牛よりは小さいんだけどね）もうお散歩してももらえる事もなく、グリコグリコと名前を呼んでもらえる事もなく、グリコは本当の家畜になっていた。次、いつグリコに会えるかわからない。私はみんなに急かされるまでグリコに触れていた。

  2005年02月15日

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• グリコ　～予想外の別れ～

  最初に重要な事を書き忘れていたが、実はグリコは、元々生まれたら数ヶ月で淘汰される予定で生まれてきた子牛だった。母親であるクリスがあまり能力の高い牛ではなかった為、グリコはいわば産み捨てのような牛だったのだ。淘汰の判断は先生が行う。先生はいつも冷静で、生徒がどんなに愛情をかけていても、牛の能力が低ければ情け容赦なく淘汰をする。という事は、逆に当初淘汰予定だった牛であっても能力が高ければ淘汰をまぬがれるという事だ。私が躍起になってグリコの飼育管理を行っていたのはそれを狙ってのことだった。頑張った甲斐あり、先生に「最近グリコに惚れてきたよ」と言わせる事ができた。共進会にまで出場させてもらい、予定を大幅に越えてグリコは学校に残っていた。せめてグリコの子を残してから・・とわずかな希望も抱いたりしたが、やはり別れの時はやってくる。グリコと出会って1年半？2年？よく覚えていない・・。が、冷静かつ冷酷な先生の精一杯の情だったのか、必要にかられてなのかはわからないが、グリコは淘汰をまぬがれ学校の近くにあるK牧場への売却で済んだのだ。私は今まで幾度となく、トラックの荷台に乗せられ、私を見つめながら遠ざかっていくグリコの姿を想像してはかき消していた。いずれそういう日がやってくるのは避けられないと思いながらグリコと毎日を過ごしていたのだ。その行き先にあるものが電気ショックによる死ではなく、近所の牧場になったのだ。先生には感謝しなければならない。学校から近くといえど、田舎なので車でないと行かれない。小さい山を1つ超えるのだ。グリコのいない牛舎にもう用はない。私は急激に乳牛から遠ざかった。夏休みも義務付けられた登校日にしか学校には行かなかった。グリコが産まれて数ヵ月後、牛舎でシャンディーという子牛が産まれていた。シャンディーは同じクラスの友人ら2人が担当し、やはり同じ様にとても可愛がられいた。グリコとシャンディーはいつも一緒に放牧や散歩をし、行動を共にしていた。しかしシャンディーは学校に血を残していく為に産まれた良血の牛だった。グリコとは全く違う。私達が卒業した後も、その何年も後もずっと可愛がられながら生きていくのだ。同じ時期に生まれ、同じ様に愛情を注がれているが、その行き先は全く違っていた。私は少しシャンディーとその担当者である友人達が妬ましかった。「仕方が無い」と言えばそれまでだが、割っても割っても割り切れない箇所がどーしてもある。だってグリコは私にとっては家族の様なものだった。私の姿を追い、私を慕い、いつも私の後をついてきた。当初グリコの話は3話程で終えるつもりだったが、なかなか別れの時を書く気になれず、いつの間にか7話目に入ってしまった。これを書く度、グリコが思い出されて辛くなるのでそろそろ次あたりで最後にしたいと思う。

  2005年02月10日

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• グリコ　～真夏の事件～

  昼休み、いつも通り私は牛舎へと向かう。昼休みは先生がグリコや他の牛達を放牧してくれているはずだ。放牧場には「スタンチョン」という変な名前の、牛の首をキープし逃さないようにする器具が設置されている。パッと見ただの鉄格子なのだがそこに首を入れると、ギ～・・ガチャン。柵がロックされる。あぁ文字では説明しにくい。スタンチョンの向こう側に乾草を置くと、乾草だーおいしそーギ～ガチャンッあれ～また挟まっちゃったーという事になる。ごくまれに、スタンチョンが閉まらない様に首を入れてエサを食べる利口な牛もいるが、グリコではない。その日は太陽がジリジリ焼ける夏真っ盛り。いつもなら遠くに私が見えると「べ～べ～っ」呼びながら待っててくれるはずのグリコが今日は見えない。おかしいな、今日はお迎えなしかぁ・・放牧場に着いてグリコを見る。何か様子がおかしい。スタンチョンに首を入れず、その横に寝た状態で何やら四肢をバタバタさせている。「フン～ッフン～ッ！」鼻息もかなり荒い。なんとグリコはスタンチョンと地面の20cm程の隙間に首を突っ込み、抜けなくなってしまっていたのだった。自分の身に何が起こったのかわからず、そのまま起き上がろうとしてもがくグリコ。一体いつからこの体制で？人間なら後ろにズリ下がって首を抜けば済むのに、牛にはその知能がない。なぜグリコがこんな事になったのかは、考えなくても明らかだった。立つのが面倒なグリコは、寝たままこちら側に飛び出した乾草を食べていた。それを食べ尽くし、もっと食べたいと思ったグリコは寝たままスタンチョンと地面の隙間からベロ～と舌を出し届かない、届かない～うーんもうちょっとだ～とやってる内に、首をも隙間に突っ込んでしまったのだろう。あぁ情けない・・なんて言ってる場合じゃない。早く救助隊（先生達）を呼んでこなければ！牛の弱点は鼻だ。鼻カン（鼻輪）をつけるのも、気の荒い牛を大人しくさせる為のもの。牛の鼻を右から叩けば左を向き、前から叩けば後ろに下がる。先生達がグリコの鼻を前から叩く。だがグリコは微動だにしない。長年酪農を営むガタイのいい先生陣でグリコを動かそうとしても無理。（当時、グリコの体重は300kgほど）牛は暑さに弱い。（だから北海道は酪農が盛んなのねー）グリコはこんなあられもない格好で真夏の日にさらされ、焦りと恐怖でパニック状態に陥りグッタリしてきている。これはいけないと、バケツで水をやる。やむを得ずグリコ救出作戦は最終手段に出た。スタンチョンの解体だ。牛は神経質で、騒音をとても嫌う。近くで工事等があると乳がストップする事も。それを耳元でやるのだからとんでもない苦痛だろう。だが背に腹はかえられない。私はグリコのペコッと塞いだ。数分後スタンチョンは解体され、無事グリコは救出された。ふらふらとひどく怯えた様子で放心状態。私が近づくと、ずりずり、ずりずり。・・・なぜか後ずさりしていく。「グリコ、グリコ。大丈夫？」私がまた近づく。ずりずり、ずりずり。後ずさるグリコ。今下がるなら、さっき下がってくれれば良かったんだけどな・・。可愛そうだからと思ってあげたオヤツにも見向きもせず、グリコはしばらく何かに怯えていた。まぬけな真夏の事件でした。

  2005年02月09日

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• グリコ　～私とグリコの遊び方～

  グリコの部屋には牛用のゴム製ベッドが2つ並んでいる。が、グリコがそこに寝ていた所をほとんど見た事がない。私がそのベッドに腰掛けると、グリコがトコトコやってきて広い額を私の体にドン！ドン！と押し付けてくる。更に嬉しくなるとぶ～んぶ～んと首を上下に振る。この時気をつけないとアゴの下からアッパーを食らい、更に運が悪いと舌を噛んで死亡する。もっともっと嬉しくなると、グリコもベッドに上がってきて、半ば押し倒されているような姿勢になる。踏まれたら内臓がつぶされるので大変危険だ・・即脱出。次にブラッシング。牛用のギザギザの金属で出来た「金ぐし」、「毛ブラシ」等で全身を使ってブラッシングをする。女の子なのでたまにはおめかししなくちゃね。全身をやろうと思うとかなりの全身運動で筋肉痛になる。あとはお得意の散歩。そしておやつを手のひらから直接与える。それから頭突きゲーム。やっぱり牛は牛なので、興奮すると無い角を突きつけて突進してくる。あくまでグリコは遊んでいるつもりだが、こちらは結構命がけだったりする。それからグリコが寝ている時に「締掃除」もよくやった。牛の爪は2つに割れているが、その隙間は自分で掃除できないため、ばい菌が入って化膿する事がよくある。ドライバーを使い、ガリガリと掃除をし、最後にヨーチンをプシュッとかけて消毒完了。こればっかりは少し痛がって、あまり喜ばれなかった。グリコはかなりまぬけで、どことなくとぼけた天然の牛だった。上の方にある乾燥を一生懸命もそもそもそもそ食べた後は、大抵頭に乾草を乗っけてボケーーっとしていた。私以外のたくさんの人間達からも愛され、とても人なつっこく愛嬌の溢れる牛だった。私は夏休みの間、土日も含めて1日も欠かさず毎日登校した。こんな風にして私とグリコの1年が過ぎていった。

  2005年02月08日

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• グリコ　～グリコの晴れ舞台～

  乳牛には、その容姿を競う「共進会」と呼ばれる大会がある。目がパッチリしていて鼻が高いとか、乳に谷間がくっきりとか、そういう事ではなく、乳牛としての役割をどれほど果たせるか（つまりどれくらい丈夫で乳を一杯出すか）を競うものだ。共進会には良い牛じゃないと出られない。生まれつきの体型もあるが、飼い方でも大きく変わる。例えば乾草→配合飼料の順でエサを与える（重いエサを先にやると腹がたれる）とか、できるだけ運動をさせ、背・腰・足を鍛える（牛の腹はかなり重いのでそれを支えるだけの強さが必要）とか、数えたらきりがない。グリコは最初から全く期待されておらず、共進会の候補にはあがっていなかった。が、良い牛なら良い牛ほど淘汰の時期が延びる。私はグリコに長生きしてもらう為、上に書いた様な良いとされている事は全て実行していた。散歩もその一環だ。「グリコを共進会に出そうか」突然に先生。少し嬉しかった。そうと決まればそれに向けてグリコのダイエット開始だ。配合飼料を減らし、乾草を増やす。太ってるという事は、栄養を乳にまわせずに自分への肉へとかえてしまう体質という事を意味する。とは言え、グリコは「育成牛の部」へ出場する為、将来たくさん乳を出す可能性を秘めた牛」が優勝の基準となる。あと、皮膚も薄い程良く、首に寄るシワは細かくたくさん寄れば寄る程良いとされている。人間だったら全くありがたくない基準だ。牛の腹はでかい程良いと言われている。（太っている訳でなく、肋間が広いという意味で）腹がでかい→エサを多く食べられる→乳が一杯出るという単純計算だけど事実。本番直前、グリコのおめかしの日がやってきた。まず全身をホースとブラシでシャンプーする。リンスはしない。いい～香りが漂ったところで毛刈りが始まる。季節は真夏。牛の平均体温は38度以上。もちろんエアコンはない。グリコから発される熱気は目を開けてるのが辛い程だった。目に入る汗を拭きながら毛を刈っていく。使用するのは家畜用の特大バリカンだ。汚れた毛は落ち、白黒ハッキリしたぴかぴかの牛に変身した。次は逆毛だ。牛の背中は腹が重くてどうしても下がってくる。これを隠す為に背中の毛を逆立てるのだ！逆立てた毛は人間用のスーパーハードスプレーをかけ、ドライヤーで固める。横から見て、真っ直ぐなキレイな背中が出来上がった。近くで見るとバレるけど。本番当日、引き手は私・・だったと思う。（忘れた）牛を美しく引くのはかなり難しい。歩き方によっては逆毛もむなしく、グ～ッと背中をへこませてしまうし、首を細く長く見せるとか、暴走させない様にとか課題は一杯だ。普通牧場主は牛を散歩したりしないので、まず暴れない様に歩かせる事から始めなければならない。その点散歩が趣味のグリコと私は難なくクリア。が、なんせ共進会は各地の牧場主や審査員達でお祭りの様になるので普段は大人しい牛が突然ロディオになる事はよくある。グリコは最後まで良い子だったが、結果はと言うと、覚えていない。優勝じゃない事は確かだった。まぁ元々グリコが優勝できるはずがないし、めいいっぱいお洒落をして、一生一度？の晴れ舞台を踏んだという事で私もグリコも満足していた。帰舎後、ダイエットを頑張ったグリコにご褒美のおやつをあげた。

  2005年02月04日

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• グリコ　～グリコのイメチェン　～

  普通、ホルスタイン等の乳牛には角がない。角の生えた牛と言えば闘牛だとか、野生のバッファロー等が思い浮かぶ。だが実際、ホルスタインやジャージーには角が生えない訳ではなく、子供の内に「除角（じょかく）」されているのだ。数センチ程角が生えてきたところで、ペンチのお化けみたいなものでバッキリ角を折り、二度と角が伸びない様に焼きゴテを押し当てる。いずれ人間の口に入る家畜なので、麻酔なんてしてあげられない。残酷な作業だと思うのだが、あんなにぶっとくて先の鋭い角で暴走されたらいつ死者が出るかわからない。恐らく私なんてかなり最初の方で殺られていただろう。ここは仕方ないと割り切る。私はグリコが産まれた頃から毎日角の成長具合を写真つきで記録していた。ヤバイ・・いよいよ指先でつまめるくらいの大きさになってきてしまった。毛で隠そうにも隠れそうにない。先生が「そろそろだな」・・・うううついにこの時が来てしまった。当日、何も知らないグリコは私が部屋に入ると「べーべーっ」とはしゃぎながらスリスリしてくる。そういう所は猫とさして変わらない。横倒しにされ、ガタイのいい先生にまたがられ、私や私の友人達に取り押さえられ、ただただビックリしているグリコ。チョキチョキチョキ・・角部分の毛が切り落とされる。ジョッッキン！角がお化けペンチで切られる。角にも神経が通ってるので、相当痛い。そして既に出血している傷口に、熱々に熱された焼きゴテを押し当てる。グリコは白目をむきながら体中で抵抗し、「べーべーっ！」さっきとは違う声をあげる。今まで嗅いだ事のない、酸っぱいような焦げた様なにおいがたつ。早く終わってくれ！！立ち上がったグリコはヨロヨロと、生まれたての様な足取りで半ば放心状態。しばらくは食欲がなくなり、どことなくションボリしていた。「モクシ」をかけると傷口にロープが当たるので、お散歩もしばしお休み。そんなグリコが可愛そうで可愛そうでたまらなかったが、私にできる事といえばおやつを少し多めにやったり、傷口が化膿しない様ヨーチンをかけてやる事くらいだった。この後、グリコファイルは除角後の傷口の経過ばかりになった。傷口が治ってくると今度はかゆいらしい。あちこちに角をゴーシゴシこすりつけている。やがてかさぶたが消え毛が生えてくるのだが、毛の向きが四方八方に散らばり、牛によっては渦巻き頭になってしまう事もあった。幸いグリコの頭はおぼっちゃんの様にキチンと前に下りていた。

  2005年02月03日

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• グリコ　～初めての仲直り～

  子牛は数週間カウハッチと呼ばれるプレハブ小屋の様なものに入れられるが、そののち育成牛舎へと移させる。グリコには6畳一間程の部屋が与えられた。嬉しそうに部屋中を跳ね回る。ぐるぐるぐるぐる走り回り、曲がりきれずにこける。私は毎朝一般生徒より1時間早く登校していた。朝、グリコの様子を見て軽くおやつを与え、なでくり回して教室へ。おかげで私はいつも牛くさかった。周りもすぐに慣れてくれた。私はグリコを我が子の様に可愛がっていたが、本来私は学生でありグリコはその教材なのだ。グリコの体から、学べる事は全て学びとろうと思った。大人用飼料への切替スケジュールとその練習、体温測定、体格測定、医者にかかった際の薬の成分、角の成長具合・・私のグリコファイルはすぐに表紙が閉まらない程に膨れ上がった。昼休みは昼食後、すぐにまた牛舎へと向かう。グリコにもアルファルファと呼ばれる栄養価の高いおやつ（乾草）を与えるのだ。1kgを計って与えるのだが、勘と目分量でキッカリ1kgが掴める私には計りなんてお役ごめんだ。その内ヘイキューブというサイコロ状に固めた乾燥を与えるのだが、これが固くてなかなか食べられない。グリコははむはむはむはむ散々口に入れたり出したりして、ふやけてきたところでようやく食べる。私はドライバーでヘイキューブを割ってから与えてやった。過保護だ。この頃の私の楽しみと言えば、グリコのお散歩だ。「モクシ」と呼ばれる綱をつけ、畑や動物舎の周りを歩く。走る事こそ我青春といわんばかりの子豚の大群、普段は無口なのに人が通ると気が狂った様に鳴きだす七面鳥達、ただひたすらにぶら下がってるだけの尾長猿、先生が学校の裏から拾ってきたと言うぽんぽこたぬき・・・色んな動物達とご挨拶をしながらグリコは私の後をトコトコついて来る。が、牛は突然暴走を起こす。何かに驚いたり突然嬉しくなったりと色々だが、その日グリコは突然嬉しくなったらしく、暴走した。瞬時に綱が離せなかった私は顔が地面につく程大転倒。地面に這いつくばりながら顔を上げれば、嬉しそうに遠くなっていくグリコの後姿が見える。飼い犬に手を噛まれた様なブルーな気持ちで起き上がる気力もなく、そのままガックリとうなだれた。その時、耳元で「フンフン・・」。再び顔を上げればグリコが立っていた。あんなに遠くに走り去って行ったのに、あっというまに踵を返して私の元へ戻ってきたのだ。心配そうに私の顔をフンフンしているグリコは、「暴走しちゃってゴメンネゴメンネ、痛かった？」と言っていた。（はずだ。）ホントはかなり痛かったが、「ううん、大丈夫。ぜーんぜん痛くない」と言って立ち上がった。（ような気がする）こうしてグリコと仲直りができた。

  2005年02月02日

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• グリコ　～水風船の中のグリコ～

  グリコのフルネームは、「エムエヌ・ハイクリス・ゲンマ・グリコ」と言う。別に由緒正しいドイツ人という訳でもなく、グリコは普通の牛だ。そういえば私のプロフィールは「猫と牛とフラメンコが好きな20代」だった。この一貫性のない好みを説明する為にも今日はグリコの事を書こう。私が通っていた高校は家畜・小動物・魚類・爬虫類等、大抵の種類が揃った動物学校だ。獣医や試験場等で働く事を夢見る生徒が集まってくる。私もその一人だった。私は気のやさしい牛に何だかとても好感を持っており、小さい頃から牧場が大好きだった。アルプスの少女ハイジのビデオをどれだけ繰り返し見た事か。（あれはヤギだけどね）そんな訳で私の専攻は乳牛だった。学校には常に乳牛が10頭弱、育成牛が2～3頭、子牛が1～2頭揃っていた。3年生になると一人1頭の担当をさせてもらえるのだが、1年生だった私は特別に1頭をあてがってもらえた。当時の私はそれだけ勉強熱心だったのだ。その牛はクリスと言った。フルネームは「エムエヌ・ベルガール・ハイス・クリス」。この名前には意味がちゃーんと含まれている。例えばクリスの「エムエム」は学校のイニシャルが含まれており、「ベルガール」は「ベルガール牧場からやってきた」という意味があり、「ハイス」も何か意味があるのだがもう忘れた。ちなみにグリコでいえば「エムエヌ（学校名のイニシャル）ハイクリス（クリスの名前から取った）ゲンマ（父名）グリコ（可愛いから付けた）」という具合だ。クリスは妊婦だった。と言っても乳牛のほとんどは妊婦だ。生んだらすぐにまた人工授精をされるからだ。牛は子を産まないと乳が出ない。人間と同じだ。クリスの予定日が近づいてきた。牛の出産は腐る程見たが、クリスが初めての経験だった。牛の出産は夜中か朝方が多い。本能が人気のいない時間帯を選ぶのだろう。通学に2時間以上かかる私は、クリスの出産を見届ける為に毎朝始発電車に乗った。始発は4：45くらいだった。ライブハウスの多い街なので、まだ夜遊びの延長を楽しんでいる若者によく声をかけられた。「お姉ちゃ～ん、こんな時間にどしたのー？」彼らにとっては「もうこんなに遅い時間」だが、私にとっては「まだこんなに早い時間」だ。冬の田舎学校の早朝はきつい。歩いていても制服のスカートが凍りそうだ。早く産んでくれ・・始発生活はクリスが出産するまで続く。結局、クリスが産んだのは放課後だった。どうせなら朝産んでくれ。安産なのか難産なのか、顔から出てきた子が逆子なのか何なのかサッパリわからなかった。普通母親の胎内で破水を起こし、子供はむき出しの状態で出てくるのだが、グリコは破水せず、そのまんま出てきてしまった。羊水が入ったビニール風船の中でボケーっとしていた。一度母親の胎内を出ると、羊水の中ではもう呼吸ができない。先生が落ち着いてビニール風船を手で破った。待ってましたとばかりにバシャーーッ！！とすごい勢いでビニール風船は破裂し、グリコが飛び出してきた。結果的にはとても順調なお産だったらしい。後はTVで見る様な作業をするだけだ。ワラで体をふいたり、子牛がヨロヨロと立ち上がるのを見守ったり。それからの私の楽しみはグリコの哺乳。生まれた子牛はすぐに母牛から引き離す。一緒にいる時間が長い程、引き離した時の母牛の興奮が高まるからだ。それでも半日程は「うちの子返せーうちの子返せー！」と鳴きまくる。一方子牛の方はどうでもいいらしく、「ミルクくれーミルクくれい」と鳴きまくる。哺乳瓶でミルクを飲む子牛の顔は、真剣そのものだ。雑念は一切なく、ただひたすら「ミルクを飲むのだ」という顔だ。たまに白眼もむく。私は予め、クリスはこれが最後のお産だと告げられていた。だからこそ1年坊主の私に担当させてくれたのだ。最後のお産という事は、乳牛の淘汰を意味する。涙こらえてクリスを見送った後、私はグリコを任せてもらう事になった。こうしてグリコと私の楽しい学校生活が始まった。

  2005年02月01日

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• くるみ

  母と同じマンション内に引越しをし、一人暮らしを始めた我が家にやってきた猫がくるみだ。ネット上の里親探しBBSで見つけた。初めてくるみを見た瞬間、これまでの猫達とは違ったので驚いた。毛がふわんふわんだ。長毛と短毛がの雑種だったのか、とても中途半端なふわふわ加減。毛糸玉を抱いているかの様だった。くるみは我が家に来るなり、ヨチヨチそわそわと落ち着かず、部屋の隅っこをよたよたしながら歩き回っていた。その姿が何だかとてもはかなげで頼りなく、なかなか「猫を飼っている」という実感が得られなかった。子猫に対し、初めて「早く大人になってくれ」と思った。くるみは女の子の癖に空中半回ひねりをたまに見せてくれる。網戸を見せればたちまちてっぺんまで登り切り、そこでセミの様にじっと止まっている。これが裏側から見るとおかしい。寝る時は真夏以外は必ず布団に入ってきて、私の腕枕で仰向けになって眠る。人間と同じだ。鳴き声は大抵が「あっあっ」たまーに「あっあっあっ」になる。あ～と伸ばした鳴き声を聞いた事がない。テレビを見てれば必ずテレビの前に立ちはだかる。すっごい邪魔だ。パソコンをやってれば必ずキーボードをまたいで立ちはだかる。かなり邪魔だ。お風呂に入れば必ず入ってくる。私はお湯の節約の為、半身浴をするのだがお湯から出ている肩や膝におそーるおそーる手をかけ、足をかけ、ぐらぐらしながら乗ってくる。お湯の中に手を入れようか入れまいかと悩みながら手を出し、手を引っ込め、手を出し、手を引っ込め・・これを繰り返す。その姿は再生→巻き戻し→再生→巻き戻しを繰り返すビデオテープみたいでとてもおかしい。音で表すならDJかキズの入ったCDだ。くるみは暑くなると長くなり、寒くなると一気に縮んでしまう。顔とお尻をきゅっと挟んだかの様に体長がみじか～くなる。手のひら2個分くらいに収まるのではないだろうか。首も体に引っ込んで、まるですっぽんだ。くるみは今のところ特に病気や怪我もなく、とても健やかに過ごしている。くるみとの共同生活は色んな発見を見せてくれ、結構飽きない。

  2005年01月31日

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• もずくときなこ

  別に書くのが面倒になったから2匹一緒に書く訳ではなく、この2匹は同時に我が家にやってきたのだった。知り合いから4匹の捨て猫がいるとの連絡を受けたが、さすがにうちには既にムギ、ひじき、もなかの3匹が居座っており、それぞれが2匹分程の存在感を誇っていた為4匹なんて到底飼えやしない。あちこちに電話をしまくり、2匹の里親を見つけた。突然の里親依頼を受けてくれるなんて感謝極まりない。この感謝の気持ちを「猫選び優先権」として進呈した。里親達には先に好きな猫を選んでもらい、残った2匹をうちで引き取る。更に去勢・避妊手術代のオプションつきだ。4匹の中には雄2匹雌2匹がおり、内1匹の三毛猫の顔ったら、人間で言えばオードリーヘップバーンの様な美しい顔立ちだった。こりゃ間違いなく売れるだろうと確信し、その確信通り1番に売れていった。そしてもう1匹のメス猫の顔・・目の下にはくっきりとシワがあり、しかも大きくたるんでいる。まるでおばあちゃんだ。このおばあちゃんはきっとうちで引き取る事になるだろうな・・と確信し、そしてその通りとなった。しかしそのおばあちゃん、後にシワもとれ、たるみも消え、なんとまぁ可愛らしい女の子へと成長する。それがもずくだ。一方きなこはチーターを小さくした様にスリムで引き締まった体、ツンととがった顔、多分人間にしたら結構男前だ。その仕草もリンとしていてアスリートの様だ。なのにすごく気が弱く、もなかにケンカを売られれば買う前にしっぽを巻いて逃げる。色男、金と力はなかりけりだ。2匹はいつも一緒に行動し、1つ下の階に引っ越した私の部屋へ絡み合う様にして毎日遊びにきてくれた。上の階から下の階の私の部屋までの道のりを覚え、母宅のドアを開けただけで勝手にうちまで遊びにきてしまうのだ。まだ荷物が少ない私の部屋が楽しいらしく、2匹はドタバタドタバタ走り回り、そして疲れて実家へ帰っていく。この2匹は今のところ、ベランダからは落ちていない。ベランダから落ちない一生を送れるよう、祈るばかりだ。

  2005年01月30日

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• もなか

  ひじきからこっち、うちの猫の名前は全て和風・・しかも食べ物になってしまった。私が命名するようになったからだ。食べ物になってしまったのはただの偶然だ。もなかとの出会いは高校時代の下校中だった。小さくて弱弱しい感じでもなかは道端でヒーヒーと鳴いていた。とてもじゃないが一人で生きていける様な大きさではない。友人達と「これはいけない」とみんなで拾い上げ、その足で獣医を探す。獣医曰く「猫ウィルス性鼻器肝炎です。今夜もつかどうかわかりません」そんな長い名前の病気は知らん。しかも見た目は元気なのだ、育たないなんていわれたって実感が湧かない。が、獣医は貧乏学生の私達を察してか「お代はこの猫を立派に育てられた時でいいですよ」つまり、育たなかったらいらないよって事だ。別にお代をケチってる訳ではなく、私は絶対育ててやるという意気込みだった。もなかは生まれて数週間程の超子猫だった。子猫用哺乳瓶でひたすらミルクを飲ませた。前号で書いたひじきもお尻をなめたりと、育児を手伝ってくれた。人間が食べさせ係り、ひじきが排泄係りの連携プレーだ。そして3日後再びあの獣医を尋ねた。もなかは元気に育ってる事を告げた。お代を払ったかどうかはもう覚えていない。そしてもなかはベランダから落下した3匹目の猫となった。またもや私の留守中。TVを見ていたらしい母の真上の窓辺から「キキキッ」という誰もが耳をふさぎたくなる様なひっかき音がしたと言う。なんだ？目をやると、今窓辺に座っていたもなかがいない。ちなみに窓は網戸が閉まっていたが、その網戸が猫の手によって一部穴があいていたのだ。もなかはそこから身を乗り出し、落ちた。大慌てで下まで下りると、そこには鼻血を垂らしてボケーとしたもなかがいた。爪が折れたのと鼻血が出ただけで、もなかの体に外傷等はなかった。うちのマンションは猫を飼っている家が多いのだが、お隣りの猫も斜め向かいの猫も1度ずつ落ちている。4匹に1匹くらいはにゃんぱらりに失敗しケガを追うが、逆に言えば4匹に3匹は無傷なのだから、猫ってすごい。もなかは意地が悪い。そして人相（猫相）も悪い。人間になったらヤンキーだ。柄シャツを好み、くわえタバコでギャンブルにハマるタイプ。暇を見つけては他の猫達に意味もなくケンカを売る。が、頭の脳天の毛が「チョン」と立っている。つむじみたいなものだろうか、いくら寝かせても絶対寝ない。やっぱりヤンキーだ。まだ中年くらいの年なのに毛並みがあまりよろしくない。なんとなくいつもボサボサしていて、パサついている。母はよくこたつで横向きで寝てTVを見ているのだが、もなかはその横向きになった母の骨盤の上に座るのがとても好きだ。はっきり言って見た目かなり安定感がない。骨盤の側面の幅なんてたかが知れてるのに、そこにぐ～らぐ～らしながらも必死でしがみつきながら眠る。素直に下で寝れば楽なのに・・・。

  2005年01月29日

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• ひじき

  拾った時の記憶が一番ハッキリしないのがひじきだ。中学生の頃、私が学校から帰宅したらひじきは既にうちに住み着いていた。私が学校へ行っている間に、母がうちのマンションの駐輪場から拾い上げてきた。ひじきは雄なのに、母性本能がとても強い。まだ日記には登場していない、次々にやってくる子猫達の面倒をよくみてくれた。お尻をなめて排泄を促してやる。まず子猫にエサを食べさせ、残りを自分が食べる。子猫が甘えてくれば優しくなめたり遊んだり、まるで母猫の様な姿だった。おかげで子猫達はひじきが大好きで、大人になった今でも彼に甘えている。ひじきはとても頭のいい猫だ。どんなにジャラして興奮させようが、おいしいオヤツを手から差し出そうが、絶対に人間の手を噛まない。しかも噛まないように気をつけているのがわかるからすごい。手を口に突っ込んでみると、手を噛まないように口を開けっぱなしにしてくれる。顔は少しガラが悪い。体も太り気味でムギ程ではないが、でかい。人間になったら職業は穏やかなヤクザ、普段着は作務衣、好きな酒は日本酒といった感じだ。ファニーに続き、次にベランダから落下したのはひじきだった。急に姿がなくなったひじきを探し、1～2日が経過した。母は私が外出していた夜、再び駐車場へ探しに出た。小声でひじきを呼んでいると、かすかに駐車場のどこからか猫の弱気な鳴き声がする。ひじきはうちから3軒以上隣の部屋の真下のベランダでうずくまっていたらしい。幸いひじきは巨体にもかかわらず、無傷だった。（怯えてフルフルしていたが・・）そしてひじきは思い出した様に突然奇病にかかる。最初の奇病は「手が巨大になる病」。別に外傷もなく思い当たるふしもないのにひじきのお手手はいきなり巨大になっていた。（片方だけ）平常時の2～3倍くらい全体的に大きくなっている。赤くなる訳でもなく、ひじき自身もケロリ元気に走り回っている。痛みはないのか？まるでグローブをはめてるかの様で、笑っちゃ悪いがやっぱりおかしい。ひじきの巨大化したお手手は、数日後に自然に元に戻った。そして次なる奇病は「上唇飛び出し病」。これはちょっと可愛そうだった。口内が化膿していて、上唇が腫れあがってしまった。横顔を見ると上唇だけ前方にものすごく飛び出していて、シルエットがとっても変だ。上唇が屋根になっていて、これも笑っちゃ可愛そうだがやっぱりおかしい。最近は特に頭が大きくなったり尻尾が長くなったりする事もなく、元気に取っ組み合いをしている。

  2005年01月28日

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• ムギ

  ムギは近くの駅近辺に段ボールで捨てられてたヨチヨチの子猫だった。拾った時は夜だったから気づかなかったのだが、家に連れ帰ってみるとなんと両目が潰れていた。これから盲目の猫の世話をするのか･･と覚悟をしたが、濡れタオルで顔をふいてやると「パチッ」可愛い大きなおめめが開いた。なんの事はない、目やにで両目が固まってただけだった。母と私は胸をなでおろす。ムギは自分の両手で哺乳瓶をつかんでミルクを飲み、それはまるで人間の赤ちゃんの様だった。ムギを飼う事に対し父は猛反対をし、一時は一家崩壊になりそうな勢いだったがそれでも私と母は粘り続け、いつの間にか飼う事に成功。なぜかムギはそんな父に一番なついた。（ちなみに母はとっても嫌われていて、近づくと攻撃されていた）父は自分があんなに反対した事を忘れ、ムギをその名の通り猫っ可愛がりした。そして父は惜しみなくエサを与え、ムギはとんでもなく巨体に仕上がってしまった。そんなに太ってはいないのに体重が7.5kg。体長がものすごく長いのだ。まるでトラの子の様だった。子猫時代は近所のスーパーまでよく連れていった。私と母が自転車をこぐと、その後ろを一生懸命に走って追いかけてくるのだ。首輪もリードもつけていなかったので、当時ムギは近所から珍しがられていた。そしてムギは尻癖の悪い猫だった。人間の目を盗んでも盗まなくても、ありとあらゆる所におしっこをかけまくる。もちろん去勢手術はしてあるのだが、スプレーのなごりと本格的なおしっこと両方を兼ね揃えた最悪な尻癖だった。服も布団も物も絨毯も、ピアノですらムギにとってはトイレでしかなかった。これではさすがに必然的に叱る事が圧倒的に多くなる。可愛がる時間よりも叱り付けている時間の方が断然長かった。何度叱っても何を試しても治らず、カッとなった時には叩いてしまう事もしばしばあった。ムギはまだ10年やそこらで突然ぽっくり逝った。前日まではいつもと全く変わる様子もなく、エサも普通に食べ、いつも通りおしっこを振りまき、人から隠れる様子もなかった。なのに朝起きたら突然部屋のど真ん中で冷たくなっていた。外傷も何もない。あまりに突然の事で、母と二人呆然とした。一体なぜ？なんの前兆もなかった。唯一考えられるのは、若干の肥満と大きすぎる体のせいで心臓に負担がかかり心臓麻痺を起こした事くらいだ。謎は残るままだが、私と母はムギを埋葬した。もっと可愛がってあげればよかった・・いつもペットを亡くした時に思う事だが、ムギばかりは本当に可愛そうな事をした。叱っても叱らなくても尻癖が治らないならなぜもっと愛情を注げなかったのか。相手は弱くて小さいただの猫だ。もっと広い心で接してあげられたら良かった。思えば私が中学の頃、父が出ていった時からムギのおしっこ癖は始まった。ムギなりの反抗か、悲しみか、ストレスかの表れだったのかも知れない。

  2005年01月27日

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• ファニィー

  ファニーはシャムが混ざったスリムなスレンダーボディが自慢のオス猫。シャムの混血だけあって、クールでいつもツンツンしているおすましさんだった。幼稚園児だった私なんて相手にされる訳がない。いつも素通りされていた。ファニーとの出会いは近所の川沿いの公園。その頃私は毎週日曜に必ず父と川沿いの公園へ出かけ、父が洗車している姿をじっと見ていた。ある日曜日。洗車中に雨が降り出した。私と父が公園の木陰に座りこんで雨宿りしていると、未来にファニーと名乗る予定の猫がやってきた。そして雨宿りをしている父の股の下で更に雨宿りを始めた。私はそれがすごく羨ましく、父と場所を代わってもらい、私のスカートの中で雨宿りをさせてみるのだが、10秒と待たずにすぐに父の股の下へ移動してしまう。何度場所を交代しても同じだ。そんな事を繰り返してる内に、きっと父は情が移ったのだろう、洗いたての車に猫を乗せてお持ち帰りしてしまった。小学生1年の頃。学校から帰ると母がぐったりとうなだれていた。「ファニーがベランダから落ちたの」と泣きながら母。洗濯物を干していた母の足元にいたファニーが、突然消えたと言う。下をのぞくと今ここにいたファニーが1階のベランダにうずくまっているのが見えたらしい。うちはマンションの4階だ。ファニーはニャンパラリがうまくできなかったのか、骨が皮を破って外につきだしていた。痛さと恐怖で敵意剥き出しのファニーをやっとこさでバスケットに入れ、財布も持たずその足で即病院へ駆け込む。（バスケットとお金は1階の住人に借りたらしい）手術をしてしばらくは下半身を引きずっていたが、若さもありすぐに元気になった。ファニーは母にしか懐かない猫だった。他人なんて大嫌いだったし、家族である私や拾ってきた父ですら「普通」のランクに位置していた。ファニーが腎臓を患って亡くなった時の母は目も当てられなかった。自分が悲しむ事を忘れてしまう程の悲しみっぷりだ。数年前のクリスマスイブ、友達の家に泊まる予定だった私に突然母から呼び出しがかかったのだった。「ファニーね、医者に今夜が最後だと言われたの。どうする？帰ってくる？」当たり前だ。日本の末端にいたって帰るに決まってる。医者の言葉通り、ファニーはイブの夜に息を引き取った。恐らく、ファニーもマロンと同じく18年程は生きたと思われる。点滴と注射だけで生きた最後の3ヶ月間ばかりが思い出されてならない。

  2005年01月26日

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• マロン

  マロンはロシアンブルーが混ざった雑種のネコだ。頭のてっぺんに栗色の模様が混ざっていたので母がマロンと名づけた。（当時私は幼稚園生）マロンは鼻が悪いネコだった。一回に4～5回くしゃみを連発し、それを1日3～4セットは繰り返す。その度に服や家具やその他色々な物に鼻水を飛ばす！出かけた先でマロンの鼻水が服についていた事に気づくなんて日常茶飯事だった。が、とっても頭がよく「私がくしゃみすると人間が嫌がる」というのを察知し、くしゃみが出始めると人気のいない所へ走って逃げる。鼻水を飛ばしながら。そばにいられるといつシブキを飛ばされるかわからず、爆弾を抱いている気分だった。とはいえ、一番苦しいのはマロン自身だ。嫌がっては可愛そうだと思いつつもついつい遠ざけてしまったり。マロンは成猫になってから我が家にやってきた。路上でウロウロしていた所を私達親子に見つけられ、あまりの人懐っこさに情が移って連れ帰ってしまったのだった。鼻水を飛ばしながらも、我が家にやってきてから約16～17年生きた。その前に何年生きていたかわからないが、猫にしたらかなり長生きな部類に入るだろう。頭のマロン色を残し、全身ダークグレーのツヤツヤとしたとても美しいメス猫だった。鼻水飛ばされても、もっともっと可愛がってあげればよかったと今も深く後悔している。

  2005年01月25日

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