2020/12/08(火)07:02
ハロウィンに続いてクリスマスも中止か。
ヨーロッパや南米は、キリスト教社会ですが、
米国や日本のように、
けっしてクリスマスを派手に祝うわけではありません。
クリスマスが、
現在のような盛大な商業イベントになったのは、
20世紀の米国においてです。
そのことに大きく貢献したのは、
おもにニューヨークのユダヤ人です。
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20世紀の米国では、
クリスマス向けのポップソングがたくさん生まれました。
ビング・クロスビー「White Christmas」「I’ll Be Home for Christmas」
ナット・キング・コール「The Christmas Song」
フランク・シナトラ「Let It Snow」
トニー・ベネット「Winter Wonderland」
ジャクソン5「Santa Claus is Coming to Town」
ジーン・オートリー「Rudolph the Red Nosed Reindeer」
ダイナ・ショア&バディ・クラーク「Baby, It's Cold Outside」
バンド・エイド「Do They Know It’s Christmas」
…などなどの名曲です。
これらを作ったのは、
アーヴィング・バーリン、ウォルター・ケント
メル・トーメ&ロバート・ウェルズ
フェリックス・バーナード
ジュール・スタイン&サミー・カーン
ジョン・フレドリック・コーツ
ジョニー・マークス
フランク・ロッサー
ミッジ・ユーロ
…といった人たちですが、全員ユダヤ人です。
キリスト教徒の多いヨーロッパや南米では、
このようなポップソングはほとんど生まれていません。
◇
ユダヤ人のクリスマスに宗教的な意味合いは皆無でした。
彼らにとってクリスマスは、たんなる「稼ぎ時」だったのです。
キリスト教徒たちがクリスマス休暇を取り始めるころ、
ニューヨークで商売をするユダヤ人たちは、
サンタクロースの扮装に身を包んで、
店先を華やかなイルミネーションで飾り、
クリスマス向けの商品をたくさん並べて、
ここぞとばかりに売りさばいたのです。
これが「20世紀のクリスマス」を大きく変えました。
◇
このスタイルは、日本にも伝わりました。
日本人にとっても、
クリスマスに宗教的な意味合いは皆無でしたから、
商業イベントとして楽しむことに何の躊躇もなかったのです。
クリスチャンでもないのにクリスマスで騒ぐな!
とはよく言いますが、
むしろクリスチャンでないからこそ、
ユダヤ人も、日本人も、
心おきなくクリスマスで大騒ぎすることができるのです。
逆に、ヨーロッパや南米の人たちのほうが、
クリスマスを商業化することに抵抗が強いため、
あくまで慎ましく過ごそうと努めるのです。
◇
日本において、
商業的なクリスマスソングがたくさん生まれたのも、
米国と同じような事情によります。
松任谷由実「恋人がサンタクロース」
山下達郎「クリスマス・イブ」
坂本龍一「Merry Christmas Mr.Lawrence」
KUWATA BAND「MERRY X'MAS IN SUMMER」
佐野元春「Christmas Time In Blue」
稲垣潤一「クリスマスキャロルの頃には」
松田聖子「Pearl-White Eve」
辛島美登里「サイレント・イヴ」
DREAMS COME TRUE「雪のクリスマス」
…などなど。
米国をも凌ぐほどで、枚挙に暇がありません。
いずれも名曲ですが、
作ったのは誰一人としてキリスト教徒ではありません。
おそらくは、どこかのお寺の檀家の人たちです。
◇
しかし、今年はコロナ禍です。
ハロウィンに続いて、クリスマスも自粛になるでしょう。
とはいえ、これは、
経済的なダメージではありますが、
すこしも宗教的なダメージではありません。
むしろ、
外出自粛のステイホームで過ごすクリスマスのほうが、
本来の姿に近いのだろうと思います。