2021/07/26(月)01:08
マスターズ松山英樹の優勝スピーチ。
先週の松山の優勝スピーチについて、
メディアの評価が割れています。
東京新聞:口下手スピーチは10年前と同じ
日刊ゲンダイ:ちょっと残念だった日本語優勝スピーチ
わたし自身は、わりと好意的にとらえています。
◇
大坂なおみも、
最初の優勝スピーチはしどろもどろだったし、
渋野日向子も、ろくなスピーチが出来ないまま、
「Thank you」とVサインで終わらせてしまいました。
もし、今回、
松山英樹が流暢なスピーチをしていたら、
かえって大坂や渋野に対して嫌味だった気もします。
大坂や渋野は、
上手なスピーチができなかったのだけれど、
今回の松山の場合は、
うまく「できなかった」のではなく、
あえて「しなかった」ようにも見えます。
外見だけ見栄を張るのを拒んだのではないでしょうか。
◇
日本人選手のスピーチ下手というのは、
選手個人の問題でもなければ、
スポーツ文化にかぎった問題でもなく、
もっとひろく、
日本社会全般の文化的な問題です。
それは、つまり、
日本人の社交のありかたの問題であり、
日本人の自己主張のありかたの問題です。
◇
ノーベル賞受賞者のようなインテリであれば、
外交上の体裁も考慮して、
「欧米人と同じような振る舞い方に努めよう」
という考えも働くでしょうが、
スポーツ選手は、そこまで器用ではありません。
もちろん、今後、
日本人選手が国際舞台で活躍する機会が増えれば、
しだいにスピーチは上手くなっていくかもしれません。
しかし、
出来もしないのに外面ばかり繕っても仕方ない。
それで競技がおろそかになっては本末転倒だし、
かならずしも欧米流を真似るだけが国際性というわけでもない。
◇
>親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりして居る
夏目漱石の坊ちゃんは、
愛媛県松山市に赴任してきた江戸っ子ですが、
嘘をついたり見栄を張ったりするのが嫌いな性格です。
松山英樹は、江戸っ子ではありませんが、
見栄を張るのを嫌う不器用なキャラクターは、
むしろ坊ちゃんに似ているんじゃないでしょうか。