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クラシックどっぷり日記 ~音楽回想~

クラシックどっぷり日記 ~音楽回想~

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2010.07.26
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歴史の1ページが、今日行われた。

まったくの無名であり、アマチュア指揮者である、根本昌明氏がすべてプロを相手に奇跡を起こしたからだ。

 IMG.jpg

私は、半信半疑の面も実際にはあったが、数回の練習風景の内容を読んで、正式に意識が向かっていきました。

 DSCN0510.JPG

大きなオペラシティホール。
次から次へと人が来場し、客席を埋めていく。
興味本位の人もいれば、TVで見たからという人もいるだろうし、彼に共感できるという人々が、次から次へと。

ホールの7割~8割程度埋まった感じがしました。

変わった5分前のチャイム、何かが起きる前触れを教えてくれているように感じさせてくれました。
演奏会前にコーディネーターが登場し、根本氏の意見を述べてくれます。
彼の世界観は大きいです、初めてやる協奏曲をわざわざウィーンからデームス氏を呼んでしまうのだから。彼に心打たれない限り、参加はしてくれないと思います。

団員が入場し、ピアノでチューニング。上出からデームス氏と根本氏が登場。驚いたのは根本氏の姿だった、彼は上下緑色綺麗なスーツで登場、遠くて判断しかねますが、やはり靴ではなく、足袋を履いているように感じました。そして、固定概念ですが、意外と大きくデームス氏と同じくらいの背丈でした。

そんな彼が、どんな指揮をするのか、観客らも息を飲みます。
手が振りかざされ、若干長め余韻がありながらも有名な皇帝が開始されました。
まず驚いたことは、八十歳を超えているのに、音のしっかりさを感じた演奏。そして東フィルの音質の違い、生で他の演奏を聴いたことがあるわけではありませんけど、ラジオでは幾つかありますけど、音が清んでいるんです、当時にタイムスリップしたような、純な音が聞こえてきたんです。

これは何事?!としか言いようがありません。
まさか、ここまで凄いとは。それでいてデームス氏とほとんど顔を合わせることなく、オケを合わせていくさま。本当にアマチュアなのか?アマチュアじゃなくてはいいのでは?と感じます。

デームス氏と東フィルと互角以上に戦い抜いている根本さんは凄いですね、ソロ部分も自分が弾いているかのように、指を動かしながらの指揮、圧巻です。
デームス氏も音が透き通っており、ウィーンの風を運んできてくれているようでした。
彼にとっての「皇帝」とはこのことなんだと感じました。

演奏が終わり、観客から暖かい拍手喝采とブラボーの声、高齢なのに、幾度もデームスが登場しました。根本氏と握手をして、観客の前に幾度も。本当に80歳を越えているのか?という

まさかのアンコールをしてくれるとは、まさかの演奏、豪華すぎます。

そんな中、私は体調と戦っていました。寝不足か熱中症か水分の取りすぎか、それとも演奏にヤラレタのか?
休憩中は、ホールを出てロビー辺りでくつろいでいました、動悸っぽくなってまして、少しは落ち着いた感じがしました。多分、個人的な意見、根本氏の緊張が自分にも伝わってきたのではないか?と感じました。

あれだけの演奏をやられれば、メインの第九は必ずやってくれると確信しました。
不思議な音程のチャイム音、少したってから団員が入場。配置が少々面白く、ソリストがオケの後ろで、オケも半円のような配置、管が全て横並びでしたね。

緑の根本氏が登場、あの名曲の出だしが開始されます、彼は過去に1楽章だけを振っているので何となく流れがわかるのですが、迫力が違いますよ。やっぱり録音と生では差がありすぎてしまいますね、リットあり、ティンパニの強烈な打撃あり、金管がバリバリ、これぐらいないと!という意味では凄い共感ができます。
ただ1楽章がこれで最後まで持つのか?という心配ありました、指揮者とオケとの真っ向勝負。指揮姿も振っているのがわかりにくいように小刻みに振ってみたりとフルトベングラーを連想させます。元々吹奏指揮をやっていたこともあり、打楽器と管の使い方が上手いです、迫力も臨場感もありますし。

彼の1楽章は重々しいもので、説得力があります。
そんな中、彼は2楽章以降は、振ってなかったんです。
一体、どのような演奏をしてくれるのか、大変楽しみでした。
2楽章も、巧みな技を出し、堂々としており、ティンパニのクレッシェンドなんか、金管を消すんじゃないか?!というくらいの迫力!ところどころ唸り声が聞こえます。
彼の音楽は、身体全体、精神全霊で音楽と戦っているんです。

終わり、合唱とソリストが入場。

3楽章は、綺麗な旋律、やはりどこか違う。
東フィル、こんなに清んだ音が出せるのか、これはマジックではないのか?という洗練された音色、根本氏の妥協しない音色が団員たちにも刺激を与えたのでしょう。
4楽章へのまたぎは、ほぼ休むことなく、怒涛の入りで始まります。

「今までは音楽ではなかったのだよ、友よ。」というのが伝わってきますね~。
結構ホルンとトランペットが大事ですね、これだけでここまで演奏が変わるのか!と関心。
合唱とソロが入れば、鳥肌でした、何という堂々とした指揮振り、オケもソロ、合唱と指揮をしないといけないのに、ここまで冷静に指示が出せるとは。
ソロと合唱が大集結した際の、歓喜の歌は、聞きほれてしまいます、ティンパニと金管の高らかになる音。ソリストの甘い声、合唱の迫力、どれも凄い。

最後の最後まで、楽しませてくれました、クレッシェンドで怒涛にかけ終わると思いきや、いったんpに落としての再クレッシェンド!これは巧みな技、感性ですね。

終わったと同時に、ブラボーー!!と拍手喝采、スタンディングオベーションが凄かったですよ。本当にこれが、プロではない演奏なのか?指揮者一人でここまで大きく変われるのか?!
本当に驚きばかり。
彼の長年、愛してやまなかった「第九」というものが、これほどまで大きなものだったとは、素晴らしいですね。

幾度か出てきていただきまして、最後には根本氏のスピーチ。
「神」という見えないものをどのように表現するのか、わかってもないのにそれを演奏者にどう伝えるのか、彼は、命を絶とうとしたことがあり、その時に、神の存在が徐々にわかってきたようで、今日の演奏会の運びとなったわけです。

お金というもので、ホールを借り、楽団、ソリストを雇い、そこまですることか、という意見もあるかもしれません、でも彼にはそれを夢で終わらすことができなかった、借金してでも、何とか伝えたい、表現したいという彼の切実な思いが形になった演奏会でした。
全ての人が、根本マジックで操られていたのだと私は確信します。

根本夫妻、よくこのような素晴らしい演奏会を開催してくださってありがとうございました。
そして、お疲れ様でした。
もし、また機会がありましたら、また開いていただきたいです。(大変だろうと思いますけど)
CD化・DVD化を楽しみにしたいと思います。





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Last updated  2010.07.26 07:18:24
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